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異人館の神さま(8) 小説

着いた…

けっこう大変だった
乗りなれない路線の乗り継ぎって全然わからん
良かったたどり着いて

白地にエンジの小花柄の巾着から取り出したハンカチで汗を抑えた細子は
見た目には出さないように注意していたが心の中では自分に拍手喝さいの嵐だった

いや、まだこのオレンジのファイルを司さんに届けるまでがミッション

適当な紙袋に突っ込んできたファイルをちょっと持ち上げて反対の手で紙袋の上からファイルを撫ぜる
司の大学の名前は知っていても学部もどの建物かも知らない

ってここからどこに行けばいいんだ? 大学って無駄に広すぎでしょ?人も多いし
守衛さんに名前で聞いてわかるかなあ?

守衛に近づこうとしたその時 人待ち顔で立っていたすこぶる美人に腕を掴まれた

「あんた、細子さん?」

「そうですけど…」

美人は細子を上から下までじろじろと見て鼻でふっと笑う
なんか嫌な感じがした

「そのファイル、私が頼んだものだから 受取るから帰れ」

「えっと、いえ そういうわけにはいきません 司さんがどこにいるのか知っているなら教えてください」

なんか胡散臭い
この女には預けられん 何がダメってシュッとした顔がキレイ過ぎるし背が高くてスタイルもいいときている 完璧だ
強いて悪い所をあげるとするならちょっと服が身体のサイズと微妙に会っていないところくらい
司さんの隣にはこんな人が居るんだ…

女は大きなため息を一つ

「司 忙しいのに、こっち」

そういうと大股で歩き始めた

つづく


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