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2024年10月の記事一覧
異人館の神さま(9) 小説
大股で迷いなく進んでいく女に遅れないように小走りでついていく
建物の入り口は解放されていた
階段の横には自販機が設置されている
短めのスカートで段差の狭い急な階段を一つ飛ばしで上っていく女
なんか色気に欠ける がっかり美人
女は三階まで一気に上がると横にあった電灯をつける
「ほらこっち 私 暗いの嫌 辛気臭くって」
その女はノックするでもなく扉を開けると中に入っていった
「つ~か~さ~
異人館の神さま(10) 小説
5、なんでこんなに腹立たしいんだ
それは音もなく入り込み そして居間の中を満たしていった
細子は青地に白く風の模様の入った単衣に朱色地に金色の蝶柄の帯を締め
ハーフアップの髪には大きな空色のリボンのゴムを付けていた
「…臭い」
細子は目の間にしわを寄せる
「なんでしょう、この臭いは?」
さっきまで居間を満たしていた司の淹れた紅茶の香りはすっかり姿を消し
鼻の奥にツンとする異臭が漂ってい
異人館の神さま(11) 小説
司がタオルを持って出て行ってから四半刻あまり
なぜか司までが服も髪もベタベタで玄関に居た
「だからさあ、司 そんなに怒んないでよ」
「怒っていません」
「怒ってんじゃん」
「いいえ!怒ってるんじゃないんです 怒る事なんて何もない。
ただ なぜだかとても腹立たしい」
「やっぱり怒ってるんじゃん」
「違います、すみません細子さん 近づかないでください」
玄関に出てきた細子に静止をかける
異人館の神さま(12) 小説
あとでこの時の様子を聞くと
延幸は蛇口から直に顔や頭や手足を洗っていたが
全然らちが明かないので司がホースを繋ぎ全身に水をかけていたら
飛んできた臭い水のせいで司も異臭を放つようになり
自分も洗い流そうと水をかけ
結果二人ともべっちゃんこになってしまった
とにかく、くさいんだ
ものすごく、くさいんだ
堪らなく、くさいんだ
とんでもなく、くさいんだ
どうやっても、くさいんだ
ーーと、いうような話
異人館の神さま(13) 小説
司の入浴中
「そー、君が細ちゃんなんだね」
延幸はさわかやな笑顔を浮かべて言った司の服は少しキツそうでズボンの丈が短かった
「噂は聞いてるよ。ふーーん かわいい。」
細子がアッと思った時にはすぐそばに顔があった
ち、近い…
「あはは、かわいい」
近づくとぷーんとまだ少し臭い
「うーん、これからデートなんだけど…これじゃあ無理だね 断るよ」
パタパタとズボンのポケットを探り
「あ