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こんにちは、音楽療法士の井上です。



今回は、私たちが行っている「音楽療法」についてお話したいと思います。






音楽療法は一言でいうと、人の「より良く生きたい」という願いを音楽でサポートするものです。



対象者は出生前から高齢者まで、健康な人から重度の障害がある人までと様々です。



それぞれの対象者に合わせた音楽療法(=セッション)をするため、リハビリテーションからケアまでと目的も多岐にわたります。



こちらでは主に通・入所の高齢者を対象に、
身体機能の維持、認知機能の向上、余暇活動の提供などに重点を置いています。

特に「余暇活動の提供」である点は大切で、「楽しんでいただくこと」を前提として行っております。

※「余暇活動」
 …生活に必須な食事、睡眠、仕事や家事など以外で自由に過ごすことのできる時間のことです。この時間に行われるものとしては読書、スポーツ観戦、運動、ショッピングや釣りなどが挙げられます。近年余暇活動が高齢者の身体的な機能や認知機能の維持に関係する可能性が指摘されています。


例えば、高齢者を対象とした活動で用いられる「回想法」が挙げられます。



回想法とは、
昔の写真を見たり音楽を聴くことでよみがえった、昔の記憶について語り合う認知症リハビリテーションの一種です。

もともと回想法は1960年代にアメリカの精神科医が開発した手法で、「自分の過去とのことを話すことで精神を安定させ、認知機能の改善も期待できる心理療法のこと」と定義されています。(長寿科学振興財団)
現在では、日本でも認知症の非薬物療法のひとつとして位置づけられています。




歌は今までの人生の出来事と結びついていることが多く、
歌にまつわる思い出を話したり聴くことでコミュニケーションが活発になり、
人生を振り返り再確認することで自己肯定感につながるといった効果があります。



そしてリハビリテーションですが、音楽療法では「楽しんでいただくこと」を前提としているため、無理なく続けられるメリットもあります。


最後に、私たち音楽療法士が大切にしていることで締めくくりたいと思います。




・対象者と真摯に向き合い、謙虚な姿勢で相手を理解すること。
・もしわたしがあなただったらと、相手の立場に立って考える=思いやりを持つこと。




コンサートや音楽教育といった他の音楽活動と異なるのは、音楽療法では「対象者の心の動きに合わせて活動内容を考える柔軟性」が求められている点です。



いつも活動の中心である対象者のニーズに応えた活動を行っております。

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