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楽器を使用する理由

皆さん、こんにちは!
音楽療法士の鈴木です。




私は介護施設を利用されている方や発達に障がいのあるお子様や大人の方、精神疾患をお持ちの方に対して、
様々な音楽の活動を通して、心や身体に働きかけ、
お元気になれるような音楽療法サービスを提供しています。




音楽療法では活動の中で楽器を使用する場面が多いのですが、
特に私は、対象の方の好みや身体の状態、課題に合わせて、毎回たくさんの種類の楽器を用意しています。




今回は「楽器」と「楽器を使用する意味」について、掘り下げていきたいと思います。





「楽器」とは、音を出すことを目的とした器具を指し、
一般的に音楽を演奏するために用いられる道具の総称です。




楽器には様々な種類がありますが、
太鼓やカスタネットなどの打楽器、ギターやバイオリンなどの弦楽器、フルートやトランペットなどの管楽器、
ピアノなどの鍵盤楽器におおまかに分類することができます。




これらの楽器にはそれぞれの構造の違いによる特性があります。




音楽療法ではその特性を利用して心身や脳の活性化、運動機能の向上、筋力の維持・向上をはかること、
エネルギーの発散などを目的として楽器を使用します。




これらに加えて集団での活動では、様々な音色が混ざり合い、
音が合う・リズムがそろう・ハーモニーが生まれるなどの経験から、
役割認識を得、達成感や一体感を感じることができます。



では、音楽療法でよく使われる楽器それぞれの特性と、その楽器を使用した活動の目的と効果を見ていきましょう。

楽器


打楽器
打楽器は構造が複雑ではなく、操作もわかりやすいものが多いため、
楽器の演奏経験の少ない方も取り組みやすい楽器といえます。

手首の柔軟性を高め、握力の向上、上肢の筋力の維持・向上などの効果が期待できます。


演奏方法とその目的は、
自由に鳴らし発散する、一部のリズムをそろえて鳴らし一体感を味わう、楽器別のパートに分かれて異なるリズムパターンで鳴らすアンサンブルにより、集中力を高め、自己の役割を遂行することで達成感を得る、
など数多く挙げられます。






音階を持つ楽器
音階を持つ楽器とは、音楽療法や音楽教育などの場面でよく使われている、
トーンチャイムやハンドベル、デスクベル、サウンドブロックなどのことを指します。

これらは一つの楽器が一つの音になっており、一人が一つまたは複数の音を担当します。

一つ一つ音が違うため自己の役割を認識しやすく、
その役割を遂行することは集中力を高め、他者や周囲にも注意を向けなければなりません。


運動機能については、
トーンチャイムやハンドベルは手首の柔軟性を高め、筋力の向上を、
デスクベルは音の出るボタンが小さく、サウンドブロックはバーの中央をたたくため、手と目の協応動作が必要になります。






吹く楽器
吹く楽器は自分の息で空気を送り込み音を出す特性があるため、腹式呼吸を行い、心肺機能の活性化へとつながります。

口をすぼめることで口輪筋や頬の筋肉を使い、
また、息が鼻に漏れないようにするためには軟口蓋が正常に機能する(持ち上がる)ことも必要ですが、
これらは食事の際にも必要な筋肉・機能であり、吹く楽器を演奏することで誤嚥防止の効果が期待できます。






弦楽器
弦楽器にはギターやバイオリンなどがありますが、音楽活動の場面で扱いやすい楽器はギターや、オートハープという楽器があります。

弦楽器を演奏することで期待できる効果は、
弦に手で触れることで振動を味わうことができ、指先への刺激となります。


対象者と近い距離で楽器を介して触れ合えることが大きなメリットです。

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鍵盤楽器
鍵盤楽器というとピアノやオルガンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。


鍵盤楽器は、細い鍵盤を指で押して演奏するため、細かい指の動きや手と目の協応動作が必要になります。
これは脳の活性化へとつながり、認知症の予防になると注目されています。





いかがだったでしょうか?




音楽療法で使用する楽器には、
これまで触れたことのない楽器が多くあり、参加される方もどれがいいかなと選び、楽しそうに演奏されている姿が印象的です。



また手作りで楽器を工作することも楽しいですよね。
様々な楽器を組み合わせて、楽しく演奏活動に取り組んでみてください。



レッツプレイ・ミュージック!

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