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中小企業の人材活用事例集 6 - 株式会社エスケイワードさま

中小企業庁が出している事例集 (正式名:中小企業・小規模事業者の人材活用事例集)に掲載されている全50社レビュー

6本目は、愛知県の株式会社エスケイワードさまです。トップ画像はHPからお借りしました

全てはインターネットでの情報に基づく、著者の分析、見解であり、エスケイワード様へのインタビューに基づく内容ではありません

特にエスケイワードさんの超・長期的な取組みと、私のリサーチ能力不足で、かなり推測も入っており、まとめ方もいつもと違うので、ご理解ください



まとめ

筆者作成



エスケイワード社を一言でいえば、超・長期的な取組を実直に行う会社


中小企業庁の事例集をみると、一瞬、昔ながらの版下作り企業から最近になってWebサイト構築へ変換したのか?と勝手に想像してしまいました

中小企業・小規模事業者の人材活用事例集


しかし!

1998年にインターネット事業へ参入してる


早っ!


当時は、インターネットが世の中に出始めた時期


検索エンジンはYahooのようなディレクトリ型が人気で、千里眼(日本製)などのロボット型もいくつか出てきて、Googleってすごいサービスがアメリカで大人気らしい日本でも広まった時期


そんなインターネット黎明期


私のイメージ、大ハズレ。笑


事例集だけでは、あまりわからないので、エスケイワードさんの企業沿革とネットで収集できた人事系施策の歴史を対比させました

筆者作成

調べられた限り、順番は

①業務改善活動   2005〜
②新卒採用        2007〜あたり
③ダイバーシティー  2017〜

のようです

エスケイワードさんの事例は、何か問題があったので、とりあえず何となくやってみたら成功した的な(よくやりがちな)単発の成功事例では決してないことがわかりました


愚直・実直で現場によるイニシアチブ


そんなイメージがクリアになって私には見えてきました

①〜③それぞれについて、わかる範囲ですが、何をされたのか見てみましょう

1.業務改善活動

エスケイワードさんは名古屋を本社とされており、業務改善にはトヨタ生産方式を用いられました

「はばたく中小企業・小規模事業者 300 社」受賞の際のニュースリリースにから引用します

2005年に発足した「業務改善チーム」の活動が今年で13年目となります。当初のオフィス環境はモノにあふれ、置き場も保管方法も様々で「ムダ」だらけでした。そこからオフィスにあるモノの置き場や置き方、使い方、など1つ1つにじっくり向き合い社内ルールと運用方法を一から作っていきました。環境を整備・整理・整頓していくうちに、オフィスという環境の中で働き、皆で協力して業務改善にも取組んでいくにつれ、社員のマインドも熟成し、13年経った現在はエスケイワードの社内風土として根付いてきていると皆が実感できるようになってきています。

https://www.skword.co.jp/news/2018/20180404.html



残念ながらこれ以上の情報はネット検索では見つけられませんでしたが、事例集に記載のある業務進捗の管理、データ化による残業削減、これも改善活動の一環・成果ではないでしょうか


事例集ではしれっと残業が大幅削減と書いてますが、めちゃくちゃ削減されてます!

なんと2014年は月間残業時間の平均が34時間だったそうですが

直近では残業5時間(月間)


単に残業を減らしたわけでもなく、ビジネスの成果も出している


ここが一番大事

2019年→2022年で売上が16%上昇!


労働生産性、大幅アップです


ここまでまだ6社しか見てませんが、どこの会社も業務改善、オペレーションの改善、データ化等を対応されており、基本中の基本だということがわかります



2. 企業戦略と連動した人材戦略(新卒採用)

業界内の給与水準が向上し、中途採用が難しくなってきた

自社を見ると、中途採用のみで採用をしていたこともあり、平均年齢が高くなっていた

▼ ここからは私の推測です

動きの速くて激しいWeb業界、今までの人材でできることも限られている。とはいっても、高い給料で即戦力を採用するのも持続的ではない

▼ そうだ

自社採用で、育成をしていこう (2007年当時と思われます)


一旦新卒採用という戦略を決めると、打ち手も王道にしたがって明瞭に実施されています

ポイントは3点、これらは全て密接に関係しています

  1. 欲しい人材像の設定

  2. そういう人材がどこにいて、どうやって引きつけるか、母集団の確立

  3. 入社後のミスマッチの解消


まず1.欲しい人材像の設定から見ましょう

会社の経営理念、ビジョン、ミッションに共感する人材が大事だと明確に打ち出されています。web業界らしくwantedlyを活用され多くの社員さんの生声を紹介することで、ミスマッチを防ぐ意図がわかります
https://www.wantedly.com/companies/skword/stories


「採用で失敗すると取り返しがつかない」という現場の声をよく聞きます。
能力開発などできる面も多いと思いますが、理念への共感は、あきらかに採用段階でマッチングを見ておくべきです、アンマッチな方が入ると双方にとって不幸せなことになってしまいます

理念などは、現在ではSK bookとして公開もされています。中小企業でここまでの質で実施されている会社さんは珍しく、力の要れ具合が読み取れます


理念の浸透。言葉にすると大げさで普通は既存の社員に対する言葉と思いますが、採用では ”理念への共感” が大事ですね



2の母集団の確立も、戦略的に実施されています。通常の新卒採用に加え、職業訓練校まで間口を広げ、かつ出前授業などの形でしょうか。実際に授業も行い、会社への認知度向上の取組をされているようです


ここまでされているということは、普通の新卒採用でも多くの工夫をされているのではないでしょうか?その辺りは今回、調べきることができませんでした


3のミスマッチの解消は1、2と連動しています。会社の理念、カルチャーに共感する人材に入って欲しい。そのため、公式なSK bookなどWeb企業らしく様々な発信を続けています。

また非公式な情報としてwantedlyで従業員の生声を多く紹介することで実際の仕事や職場をより解像度を上げてイメージしてもらうことに成功しています

というわけで、

  1. 人材像の設定

  2. 母集団の確立

  3. ミスマッチの解消


採用にあたり、これらの3要素を上手に連携され、すべて対応されています


どの会社でも使えるアプローチだなと思いました



なお事例集に書いてる、キャリアパスの見える化はさっぱり情報がつかめませんでした


どなたかご存じでしたらお教えくださーい



3.ダイバーシティー

エスケイワードさんは多様性のある人材が働いています

具体的には、下記のような環境です

  • 外国人:現在は中国、スペインの方が働いてるようです

  • 女性:約半分(うち管理職・役員の女性比率は約25%)


事例集には、多様性については言及されていませんが、2007年にマルチリンガル(多言語)対応を開始してから、外国人労働者も雇用されているようです。ネイティブスピーカーがいた方がいいですよね


事例集にはまったく書いていませんが、外国人社員と日本人社員を賃金・待遇面で対等に扱われています。社会問題となっている技能実習生の問題とは全然違います。こちらも当然なのですが、なかなか中小企業で実施されているところは少ない素晴らしい事例なのかと思いました。


また、女性社員も約半数のため、妊娠・出産、子育て、短時間勤務、キャリアブレイク、マミートラックなどは、当初の大きな課題であったと思われます


ダイバーシティー推進委員会は2017年に発足と比較的新しいようですが、それ以前は何もしてないとは、まったく思いません


本当に推測なんですが、育休などへも相当早くから理解が浸透され、普通に取れる環境が整っていたのではないでしょうか

よくあるのは制度はあるが機能していない。笑

エスケイワールドさんは、制度に魂がこもった運用が、現場レベルでできている


きっと改善マインドセットのあるエスケイワードさんなので、できることから、1つずついろんな施策・アイデアを積み上げてこられたんだなと

ダイバーシティーありき、採用ありきではなく、経営方針に基づく人材戦略&継続的な現場による改善活動


これらの両輪がうまくかみあわさって、長期的な取組をつづけられ、発展されているのが、エスケイワールドさんなんだなと思いました


”中小企業なんで、一人一人が理解して納得しないと動かないんですよ” と員ビュー記事で社員さんがお話されていました。現場からのボトムアップもエスケイワールドさんを語る上で、外せないキーワードです

いつも長文になっちゃってますが、最後までおよみいただきありがとうございます


参考資料

https://www.chubu.meti.go.jp/koho/kigyo/112_skword/index.html

https://www.chubu.meti.go.jp/b12mono_woman/kigyou/kigyou015.html


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