中小企業の人材活用事例集 4 - 株式会社ヴァレイさま
中小企業庁が出している事例集 (正式名:中小企業・小規模事業者の人材活用事例集)に掲載されている全50社レビュー
4本目は、奈良県の株式会社ヴァレイさまです。トップ画像はHPからお借りしました
全てはインターネットでの情報に基づく、著者の分析、見解であり、株式会社ヴァレイ様へのインタビューに基づく内容ではありません。私の誤解もあるかもしれませんので、ご理解ご了承ください。
まずは、株式会社ヴァレイの創業者で社長の谷さんのnoteをお読みください
要約
ヴァレイさんは、アパレル業界と縫製業界のマッチングを行い、顧客のニーズに丁寧に応えられる体制にしました
隠れた人材の掘り起こし&活用で効率的・最適な生産体制の構築
仕事をしたくても、いろんな事情で働くことができない職人さんを、日本全国で自社採用した(と思われ)
職人さんと、発注したいアパレルさんを結びつけるMY HOME ATELIERと名づけたネットワークをつくりました
独自の生産管理システム(Kintoneで作成)により属人化を防ぎ、無駄を省く
スキルを活かして無理なく働ける仕組みづくり
職人さん情報をデータベース化した(所有機械、スキル、経験、家庭事情など)
個人に応じた仕事を発注
ここが成功ポイント
いろいろあげたいところですが、3つにしぼります。
1.経営者の理念
社長の谷さんは、「日本の縫製業を次世代につなぐ」というめちゃくちゃ熱い理念を持たれています
谷さんのお母様も縫製工場を経営されており、母子家庭で非常に貧乏で育ったとYoutubeでおっしゃっていました
そのような生まれ育った環境が強く影響されていることは言を俟ちません
日本全国の縫製工場が安い賃金で、エアコンも買えないような職場環境で働いている現実
いくら頑張って朝から晩まで働いても手取りはごく僅か
その現実を変えたい
努力が報われる社会をつくる
谷さんの思いがつまったYoutube、ぜひご覧ください!
2.分散型組織の運営
めちゃくちゃ難しい組織運営をされてるんだろうなというのが、私の最初の感想です。洋服を作るって、家庭でできないのです
まず大きな生地を裁断する場所も機械も個人は持っていません
なので分業体制をきっちりされています。本社工場ですることと、日本全国の職人さんの自宅でできることを明確に分けています
そんなバラバラな生産プロセスだと、輸送コスト、管理コストなどがかかってしまい、コスト高になると思ってしまいますが、独自の生産管理システムで見える化を行い、無理無駄を省き、コストも抑えていると思われます
生地が奈良県の本社と日本全国を行き来して、最終的には奈良の本社から出荷される仕組みを作ったのがすばらしい
3.職人さんへの愛・リスペクト
谷さんのYoutube動画でもありましたが職人さんへの想い、リスペクトが非常に強く感じられます
朝から晩まで、お母さんが働いて、子どもと遊ぶこともできない現実
そんな社会って幸せなのでしょうか?
努力しても、報われない社会って、私たちが望む社会なのでしょうか?
そういう社会を変えて、縫製業界を変革したいという熱い思いにとても共感しました
谷さんがスゴイのは想いだけじゃないんです
行動しています
戦略的に、超・戦略的にです
ヴァレイさんのようなマッチングサービス的なものって、実は意外に多いのかもしれません
有名(僕が知ってる)なのは、この2つでしょうか
CADDiさん:製造業 と 町工場
ラクスルさん:印刷したい人 と 印刷会社
こういうマッチングは、設備などが稼働していない隙間時間を有効活用することで、発注者は単価を下げることができ、受注者は稼働率をあげることができる、Win-winの仕組みです
ヴァレイさんは、職人さんを単に ”空いている設備” と見なさずに、日本の縫製業を変革するという熱い思いをもたれ、職人さんへの愛があふれています
調べた限りではわかりませんでしたが、おそらく職人さんも、単に待っていて仕事を下請けとしていただくというマインドは持っていないのではないでしょうか
ヴァレイの一員として誇りをもち、丁寧に1品ずつ洋服を創られているのだと感じます
自社ブランドも伸びているということですので、職人さんみずからのアイデアや、職人さん同士でのコラボにより何か新しいことも生まれそうな、そんな未来の姿が見えました
何をしてどうなった?
やったことはすでに書いたので、どうなったかの結果部分です
いわゆる単なる下請けだと、現状の縫製産業の構造そのままで、価格も安く、利益を出すには至らないかもしれません
ヴァレイさんは生産管理を確実に行いコストダウンするとともに、適性な価格設定をされ、利益を継続的に生み出せる仕組みに仕上げました
自社ブランドも立ち上げ、単価も上昇し、経営の安定化に寄与していると思われます
何よりも職人のネットワーク化で自社工場をもたずにリスク分散を図りつつ、同時に規模の拡大ができるモデルが素晴らしいなと思いました
谷さんが見ている世界は、きっと利益の先にあるのでしょう
だからこそ、足下の利益を生み出す事の重要性が痛いほど感じており、戦略的な事業運営をされています
参考資料
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