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母とのこと

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わたしがいつも不安であること。母に接するとすぐイラっとしてしまうこと。小さいころからの記憶の中から、理由を見つけたい。
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大切なものを掃除機に吸い込まれる恐怖 | 母とのこと #4

わたしの頭の中は、ひとつのことをしている途中で他のことを思いついて、その途中でまた違うことを思いついて…という調子で、とっちらかった状態になりやすかった。だから、おもちゃなどを片付けなさいと言われても、やろうと思っていても最後まで続けてできず、途中で違うことをやったりしがちだった。ただ、頭の片隅には片付けなければ、という意識はあり、後でやろうと思ってはいた。 だけど、母はそれが我慢できなかったのだろう。 「さっさと片付けないと吸い込むよー!!」 …と、掃除機で脅しながら

わたしの歯みがき粉| 母とのこと #3

弟が生まれたときのことは、おぼろげに覚えている。 家に母がいなくて、父が連れて行ってくれたところに母がいた。 ちょっと見上げるような目線で母を見たのを覚えている。 きっと病院のベッドの上にいたのだろう。 そのとき母が弟を抱っこしてたのかどうか、 そのとき弟に会ったのかどうか、は、覚えていない。 ただ、家に母がいなかったこと、 父が連れて行ってくれた、病院であろうところに母がいたこと、 だけを覚えている。 *** 初めて弟に会ったときのこと、母と弟が家に帰ってきたとき

登校拒否、じゃない | 母とのこと #2

わたしは、朝、起きられない子だった。 なかなか寝つけなくて、そしていったん寝ると、朝になっても起こされてもなかなか目が覚めなかった。起こされても最初の何度かは聞こえてさえいなかったと思う。 中学だか高校だかの頃は、自分が昼寝していた横の部屋で、壁に穴を開ける工事をしていたのにも気づかず寝ていたことさえあった。わたしが昼寝している間に出かけた家族が鍵を忘れて、何度も何度もドアをたたいたり呼び鈴をならしたりしても起きなかったりもした。弟が集合住宅の外壁をつたって3階まで登って

オルガンの練習と、母と弟 | 母とのこと #1

幼稚園のころ、オルガンを習っていた。 家で練習するように、って言われていたのだろう。 記憶しているその日、オルガンに向かっていたら、母が弟を抱いて様子を見に来て、練習しているわたしの横に立った。 わたしがオルガンをひいていると、弟がオルガンのふたに興味を持ったのだろう。ふたに手をかけてしまい、オルガンのふたがバタンと閉まった。 オルガンを弾いていたわたしの手は、当然、挟まれた。 はっきり覚えてはいないけど、わたしはたぶん、びっくりして、そして痛くて、泣いたと思う。