平安ステークスコース論

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平安ステークス 各馬考察
平安ステークス 注目血統

優駿牝馬(オークス)コース論
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平安ステークス(京都ダート1900m)

コースデータ

・右回り
・スタートから1コーナーまで 386m
・最終直線 329m
・高低差 3.0m
・最終直線坂 平坦

特徴

・スタート地点はスタンド前直線の右側で、1800mのスタート地点から100m後ろに下がったところ
・スタート後1,2コーナーを通過し向こう正面途中まで平坦
・向こう正面の途中残り1000m手前くらいから約200mくらいの間に高さ3.0mの坂の上り
・上り切った後100m弱くらいの緩い下りの後、さらに約200mかけて一気に下り
・残り500m手前くらいからゴールまでは平坦

このコースを使用するOP以上の競争

G3
平安S(4上)

OP
アルデバランS(4上)

コース考察

○外枠は不利を強いられやすい

京都ダート1900m・枠順別1着割合(2015年~・1勝クラス以上・16頭)
京都ダート1900m・枠順別馬券内割合(2015年~・1勝クラス以上・16頭)

 分布上1~6枠までは概ね大差なく、7,8枠の成績が悪いという感じ。3枠がやや凹んではいるものの、合理的な説明がつかないため長い目で見れば他枠とさほど変わらなくなるだろうと判断。
 1~6枠でも目立った差が見られない(1着に関しては母数の少なさが原因の偏りと考えられる)ため、特定の枠が有利というよりは特定の枠が不利と考える方が妥当。

 後述する脚質別成績と併せての考えになるが、このコースはスタートしてから1コーナーに入るまでの距離が2F弱と短くないことで、序盤の位置取り争いが激しくなりやすい傾向にある。
 そのため頭数が多くなった場合外枠の馬だと狙った位置を取りづらくなってしまうことで、相対的な不利が発生していると考えられる。

 参考までに、このコースは古馬1勝~OPまででテンの速度平均があまり変わらないコースで、その速度は7.06-11.25-11.81=30.12(2.5F)。
 当然外枠の場合内ラチ沿いに寄せながら走らなければいけない都合で位置を取るためにこれ以上の速度が要求される可能性があり、また短距離ではないので外を回るロスも無視できない。

 無論馬単位で見れば砂を被りづらい枠の方が好成績を挙げられるという場合もあるのでそれは勘定すべきだが、あくまで傾向論としては内>外という話。
 このあたりは阪神とは逆の傾向になっているので注意したい。

○典型的な足切りコース

京都ダート1900m・全頭脚質分布(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)
京都ダート1900m・馬券内脚質分布(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)
京都ダート1900m・馬券内脚質分布円グラフ(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)

 ダートなのである程度前目に位置しなければいけないというのは当然の話ではあるのだが、京都の場合向こう正面で3.0mの上り勾配を有しているという特性上、捲りによる後方からの進出が物理的に邪魔されやすい。そのため、序盤からテンポを取れることが他場よりも重要になってくる。
 根本的な母数に大きな差が生じている逃げ+先行と差し+追込で馬券内の数がほぼ互角ということは、このコースは本質的に先行有利。
 このデータ内における「差し」馬も、馬群全体の半分より前の位置を確保できている場合がほとんどであり、基本的には位置を取れないと話にならないというコースになる。

 他場においてダート1800mをベースにスタート位置を後ろにずらしたコースでは阪神ダート2000m・中京ダート1900mなどがあるが、それらが概ね差し有利に働いているのとは違い、このコースは距離が延びても先行有利の本質は一切変わっていないことには気を付けたい。
 具体的には、これらのコースで好走してきた馬をタフな中距離ダートが得意と判断してこのコースで狙うと、先行勢のスピードについていけずに後方のままレースが終わるということになりかねない。
 このコースにおいては、ダートの基本的な考え方(持ち時計・上がり時計・位置取りなど)を踏襲していくのが無難だろう。

参考タイム

京都ダート1900m1着タイム・1着上がり平均(2018年~)

 なお、馬場状態や頭数等を一切考慮していない平均値であることに注意したい。

京都ダート・距離別古馬平均1着タイム

 また、これまでの京都ダートのレースを見る限り、改修前に比べて全体的に時計の掛かる馬場になっている。上はそのグラフ。
 特にペースがレース単位であまり変化しない1200mと1400mで顕著になっており、1200mでは大部分が稍重以上の乾いた馬場での開催になった2018年よりもさらに遅い平均タイムになっている。

 砂洗浄の効果が出ていると推測されるが、結果として時計の掛かるタフなレースが多くなり、また上がりも使いづらくなったと推測されるので、やはり中団より後ろから進める馬にとっては厳しい環境であるといえるだろう。


過去の平安ステークスラップ推移

2013 7.0-10.7-11.0-12.6-12.9-13.2-12.9-12.1-12.0-12.5 35.0-36.6
2014 6.8-11.0-11.7-12.8-12.7-12.7-12.4-12.0-11.8-12.7 35.9-36.5
2015 7.0-11.1-11.3-12.8-12.6-11.9-11.7-12.0-12.2-12.5 35.8-36.7
2016 7.0-11.3-12.0-12.8-12.2-12.0-11.7-11.9-12.4-12.9 36.7-37.2
2017 6.9-10.6-11.1-12.5-12.1-12.1-12.4-12.5-12.6-12.9 34.8-38.0
2018 7.1-11.5-12.5-13.1-12.5-11.9-11.7-12.1-12.3-12.6 37.7-37.0稍
2019 7.1-11.2-11.6-12.9-12.8-12.9-12.2-12.1-12.5-12.8 36.3-37.4
2020 7.1-11.1-11.9-12.9-12.4-12.3-12.2-12.3-11.7-12.1 36.5-36.1

 テン3Fは参考値。

 ニホンピロアワーズ・チュウワウィザード・オメガパフュームなどG1級の古馬強豪も出走してくるレースだが、1900mでの開催になってからの8年の内5頭が2コーナー通過3番手以内から勝っているという露骨なレース。
 なお4番手以下から勝った馬は17年グレイトパール・19年チュウワウィザード・20年オメガパフュームで、いずれも当時は極めて能力が高かった馬。

 13年・17年は序盤の展開が芝並みに速いが、逆に言えば過去8年で2回もこういった形の展開が出てくるというところには要注意。
 コーナーまでの入りが短くなく、平坦でスピードを殺す要素もないため、行こうと思えばいくらでも速度を出せるのがこのコースの特徴の一つでもあり、先行争いが苛烈になったり後ろを離した逃げを望む馬がいればテンは速くなりうる。

 また最終直線にも坂がないため、特に関西圏でこれまで使われてきた阪神や中京の最終直線と比べると、最終1Fのペースダウンが小さい。
 阪神や中京の場合こういったラップを刻んだ時は差し馬が台頭しているケースが珍しくないが、平安Sに関しては先行勢の押し切りが多数派なため、前の馬がスピードを削がれることなく走り切れているというのが想像できる。

 当然19年のような例外(チュウワウィザード・モズアトラクション・オメガパフュームによる完全差し決着)も出てくる時はあるものの、概ね前にいればいるだけ有利なレースであるといえる。

主観

 コースそのものの考え方としても、平安Sというレースに対する考え方としても、とにかく縦の位置取りを重視したい。
 これまでも書いてきた通り、前にいるだけで大きなアドバンテージが入ってくるコースなため、特に下級条件や小頭数の場合先行能力だけで決着がついてしまうことすら想定される。

 特に今の京都ダートが上がりを使いづらくなっているという状況ということもあり、よりその傾向は顕著に現れると予想できる。
 ダートで位置を取れる能力が重要視されるのは一部の例外を除いて必須ともいえるが、このコースにおいてはより重要。
 完全にそれだけで決めるのはやや怖さがあるが、先行能力の高い馬を盲目的に信じるのも一つの選択肢とすらいえる。


文責:もじゃ

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