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選手兼任監督就任 茨城アストロプラネッツ車いすソフトボールチーム

この度,茨城アストロプラネッツ車いすソフトボールチームとプロ契約し,選手兼任監督に就任しました,小貫怜央です.

昨シーズンまでは東京レジェンドフェローズというチームでプレーしており,選手兼任監督としての契約期間は今シーズン限りということで,短い期間でこのチームを強くしていくことが私のミッションとなっています.

やらなきゃいけないこと

プロスポーツの世界において,短い期間で結果を出さなければ首を切られるということは当然あることなのでしょうが(Amazon Prime Videoで見れるAll or Nothingが好きです),自分はそんな経験は当然初めてなので,やることを整理していくこと,そしてそれをあらかじめ選手たちに伝えておくことが重要だと考えています.

まず自分がしなければいけないことは,

自分が何を考えていて,どんなプレイヤーであるか

選手たちが何を考えていて,どんなプレイヤーであるか

を共有していくことだと考えています.

以前から関係性のある選手たちだけなら良いですが,初めて話したりプレーを見る選手が少なくありません.選手たちに上手くなってもらう以前にその選手のことを知らなければ当然ですが何もできません.上手くなってもらうアプローチを考える期間を長くするためにも,まず選手を知るという部分を早めに取り組んでいきたいところです.

また同時に信頼関係を築くためには,自分のことを知ってもらうことも重要だと考えます.自分がどんなプレイヤーであるか,自分がどんなことを考えているかをできるだけ伝えていくことも重要であると考えています.

やること① 動画を用いた技術面の向上

技術面でまず自分が思いつくのは,練習の様子を動画に記録しておくことです.これを共有すれば,各々の練習の振り返りになるのはもちろんですが,自分が選手のプレーを見れる時間を無限に増やすことができます.プレーしているその場でアドバイスすることももちろん重要ですが,残した動画を後から客観的に見ることが非常に重要であると自分は考えているので,非常に有効な指導法であると考えます.また動画に残っていると,その場でなく後からでも誰かに相談したり質問することが可能である点も非常に大きいです.

また動画を使った逆のアプローチとして,練習や技術に関するレクチャー動画を自分が撮影して選手に見てもらうというのも有効です.反転授業という言い方があるようですが,その場でわざわざ話すのも良いですが,動画を使って予習をしてきて貰えば,その場では実践や質問に時間を使うことができるわけです.さらに動画なら後から復習することもできるために非常な有効な手段と考えています.

やること② オンラインで思考を探る

慶應義塾大学女子ソフトボールでオンラインのコーチングセッションを行っていることもあり,近いことをこのチームでもしようと考えています.練習は選手が10数人か多い時は20人以上が参加します.練習時間内でできるだけ多くの選手とコミュニケーションを取らなければいけないし,それが仕事であるのは事実ですが,技術面の観察とコミュニケーションを同時に完璧にこなすことは当然ながら難しいです.またその場でのコミュニケーションは,関係性を築くという面では良いかもしれないですが,それだけで選手の考えていることの深い部分には触れられないようにおもいます.個人の考えている深いところに触れていく,そしてその人に対してのサポート体制を整えていくためにも,コーチングセッションは非常に有効だと考えています.

プレイヤーとして

自分は選手兼任監督ですから,当然選手としても役割を果たす必要があります.ただ自分はこのチームを強くすることがミッションであり,選手としてバリバリ活躍することでそれを達成するのは,監督の立場として好ましくありません.なぜならそれはただ補強により加入した選手が一時的に活躍したに過ぎないからです.むしろプレイヤーとしてやっていくべきなのは,より技術の高いプレーを見せること,そして魅せることではないかと考えます.

こんなこと書くとそんなに自信があるのかと言われそうですが,現段階の車椅子ソフトボールのレベルで考えられるある程度の技術に関しては吟味してきたつもりでいます.それを最前線のプレイヤーとして見せていくことは当然だと考えます.また自分がこれまでにまだ吟味してきていなかった部分を,プラネッツの選手が見せてくれるはずなので,その部分についてより研究していくというのが自分にとってのミッションです.

誰のためにやるのか

プロ契約をし,監督になる以上はチームのために働くことが前提になります.ただ,チームのためだけでなく,自分のために働いていきたいと自分は考えます.

プロ契約で監督になるなんて,なかなか訪れないチャンスが22歳の自分に訪れたわけです.車椅子ソフトボールの指導者になるというのは,自分の目標としてきたところであり,指導者としての技量は少しずつ積み重ねてきた自負があります.

東京レジェンドフェローズでは1年間ほどチーム代表者として活動し,自分主導で大会にも出場しました.ただその時点のチーム状況では,技術的な指導は一部でチーム全体の雰囲気作りに注力していました.そこも指導者として非常に重要な部分だと考えていますし,その面では非常に良いアプローチができたと考えています.ただ技術面のアプローチがあまりできなかったため,もっと自分にできることがありそうだとずっと考えていました.

車椅子ソフトボールには現在,ほぼちゃんとした指導体制がありません.他の車椅子スポーツの技術の流用か,野球・ソフトボールの技術の流用のどちらかです.ただ4年半ほどプレーした自分に言わせれば,車椅子ソフトボールには車椅子ソフトボールの技術があります.これは野球もソフトボールもその他の車椅子スポーツも体験した自分だから言えることです.

多くの人がまだ吟味しきれていない,車椅子ソフトボールならではの技術を追い求める,そんな長い旅の1ページとして,茨城アストロプラネッツでの活動を「利用させてもらおう」と考えています(これでwin-winだと思います).

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