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メンタルコーチング日記 慶應義塾大学女子ソフトボール部 〜2周目〜

大きく状況が変わった.変わり続けている.

4人しかいなかった部員が,試合ができる人数にまで増えたこと.

緊急事態宣言により,春リーグが延期したこと.

さまざまな要因に影響されながら,練習を続けなければならない状況下にいる.

部員が増えたこと.とても良いことに聞こえるが,これは不安要素にもなり得る.少人数での練習で冬を越えた3年生は,10人を越える「チーム」の動かし方をまだ知らない.練習中,そしてその練習メニューに本人たちの「焦り」が垣間見える.彼女らがこれから様々な問題にぶつかりながら,「チーム」になっていくことは,およそ間違いない.

チームをマネジメントする側はこのことをどう考えているかと言えば,おそらくそんなに心配していないだろう.3年生の愚直さ,真面目さはよく知っているし,1年生もそれに答えてくれそうだという期待もある.

「チームになる」とはどういうことなのか,よく考える.最近見ているYoutube「ソヤマン」で興味深い話があった.(https://youtu.be/JdjqT8WWW8Q)


強いチームの3つの共通項

共通目標

共通言語

共通感情


チームとして共通の目標を持つこと,ノウハウを共通の言語として持つこと,共感し合うこと.これが揃った時に,ソフトボールが必ずしも強くなっているわけではないと思うが,間違いなく「強くなる」チームになっているはずだ.

メンタルコーチングの中で,「時間軸」はかなり重点的に意識して話を進めている.それはチームとしても,個人としてもだ.少なくともこの「チーム」は,今年の秋には終わりを迎える.自分がよくする言い方としては,チームという生き物が「死ぬ」わけである.これまでの間にどれだけ選手たちが,共通した「目標・言語・感情」を築けるか,ということが重要になってくる.

ただし秋リーグが終わっても,選手たちは死なない.そこにあるのは,「ソフトボール選手としての死」だけである.選手たちがこの部を通して得たいと思っているであろう「人間としての成長」という,見えづらくて,大きすぎて,漠然としている何かに,導いていくこともコーチの役割であると感じている.自分がどうなりたいのか,「自己実現」とはどういうことか.選手たちに投げかけていかなければならない問いであり,自分自身にも問い続けなければいけないテーマである.

人間は明日のことだって予言することはできない.「コロナ禍」の今は,それをより強く感じる.別にこれまでも明日のことを予言できたことなんてない.でも「来週試合がある」と思って練習していれば,大体その翌週には試合があった.雨で延期ということもあるが,とても頻繁に起こることではない.

24日が初戦かと思っていたら,予定が変更になり2日に開幕.かと思えば緊急事態宣言により一時中断となった.時間軸を基準に物事を考える上で,その時間軸自体が曖昧であると,当然考え方が難しくなる.去年や今年,学生スポーツに臨む多くの選手たちが,この課題に取り組んでいると思うと,心苦しさもあるが,その分強くなるんだろうという多少の期待もある.「強さ」というのがなんなのかはわからないが,去年の中等部の3年生の判断を見て自分はそう思った.

揺れ動く時間軸の中で,揺るがない自分を持った人は強い.それを目指すべきなのかはわからないが,「ソフトボール選手」としてだけではなく,「人間」としての自己実現に向けて,時間をかけて戦っていきたい,そのお手伝いをしたい.そう考えている.

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