ADHDな僕らのための「今はこれでいいいや」集中術

僕は生まれつきADHDという発達障害を抱えている。

飲食バイトはオーダーが一度に覚えられず、半年も続かない。遅刻は常連。財布は4回、スマホは2回無くしたことがあり、今も見つかっていない。

なかでもやっかいなのが、「複数のことに気をとられて、一つのことに集中できない」という特性だ。

ADHDは、集中を維持するための脳内物質を適切に放出できない。そのため、一つの対象に焦点をあて続けるのが難しい傾向にある。

だからいまこの文章も、様々な誘惑のトリガーを断ち切るためにカフェにPCを持ち込んで書いている。

そんなぼくが以前一度だけ、そのような自分の特性にもかかわらずTOEICの勉強に一点集中できたことがあった。

短期的に春休みにTOEICで730点をとらなければいけなくなった。

お金のなかったぼくは、何度もTOEICを受けたくないのと、高得点をとることで大学から報奨金1万円がもらえるシステムがなんだかとても魅力的にみえて、夢中で過去問に取り組んだ。

そのとき、ほんとうはサークルの活動や就活、院試の勉強などなど、やらなきゃヤバイことが目白押しだった。

でも、「まぁ、1万円もらえるし、TOEICの点数高いのかっこいいし、今はこれでいいか!」といった風に、「TOEIC以外のやるべきこと」を「放置」できていたのだ。

しかも、単語をひたすら覚えて、勉強に打ち込むその過程が、とても楽しかったのを覚えている。(もちろん、現実逃避といえばそれまでなのだけど。)

「きになることがありすぎる」ADHDな僕らにとって集中するために必要なのは、この「今はこれでいいか!」という感覚なのではなかろうか、と最近思う。

「やらなきゃいけないこと、たっっっっっくさんあるけれど、とりあえず今はこのタスクができてるからいいか!」という安堵感。

この安堵感によって脳のメモリをリフレッシュさせると、不安でグチャグチャだった頭が急にさえて、集中力が戻ってくる。


(どうにかこの安堵感を人為的に生み出すことができないかと思い、最近は「タスクシュート」というタスク管理手法にチャレンジしている。)

https://taskchute.cloud/users/top


ADHDでなくとも、生きている以上、目の前の「やるべきこと以外」にも気を配らないといけないのが当たり前だ。

大昔から人間は、外敵に襲われたり、急な気候変動から家族を守ったり、そういう「目の前のこと以外にも気を配れ」という本能を発達させてきたのだから。

その一方で、現代では目の前のことに神経を研ぎ澄ませて集中しないと、高いパフォーマンスを発揮したり、資産を積み上げることは難しいという矛盾がある。

アレもコレも、やらなきゃヤバい。真面目な人ほどこの罠にハマるように思う。でも、あえて「目の前のこのタスク以外、今はどうでもいいや」と割り切って目の前のことに身を任せてみる。そうすると、フッと心が楽になって、手が進む。

この安堵感は、もはや現代に許された狂気ではないかと思う。「多方面に気を配れ」という本能を手放し、あえて「没頭するという危険」を自らに許してしまう狂気。

この狂気を自分のなかで飼い慣らすことができたなら、集中力の問題はいつか問題にならなくなるのかもしれない。

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