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【国際ニュースを分かりやすく解説!】台湾総統選:赖清德の「新局」発言


台湾副総統 赖清德の『新局』発言

1. 新局発言とは?

民進党の総統候補である赖清德は9日、自身が総統に当選することは、「インド太平洋地域に『新局』を作り出すことにつながる」という発言をしました。これは、台湾海峡の緊張を高める可能性があると考えられています。中国は一つの中国原則を堅持し、台湾の独立運動に断固として反対しています。赖清德の発言は、中国本土と台湾の関係に新たな波紋を投げかけるもので、地域の安定と平和に影響を与える可能性があります。台湾海峡は、長年にわたり地政学的な緊張の渦中にあり、このような発言は双方の関係において敏感な問題となっています。

2. 赖清德とはどんな人物か

赖清德(ライチンテ、Lai Ching-te)は、台湾の政治家で、台湾民主進歩党(民進党)に所属しています。彼は1960年に台南市で生まれ、医学の学位を持ち、台南市長を務めた経歴があります。赖清德は、台湾の独立志向が強い政治家として知られており、中国本土との統一に反対する立場を取っています。彼の政治キャリアは、台湾の民主主義と地方自治の推進者としての役割から始まり、台南市長としての成功した施政で評価を高めました。特に、公共サービスの向上や透明な行政運営に重点を置いたことが評価されています。民進党内では中心的な人物の一人であり、台湾の主権と民主主義を守るための積極的な姿勢で支持を集めています。しかし、彼の中国に対する強硬な姿勢は、台湾海峡の両岸関係において緊張を高める要因となっているのも事実です。

3. 台湾の総統選

2024年の台湾総統選挙は、1月13日に行われます。この選挙には、主に3人の候補者が立っています。与党・民進党からは頼清徳氏、最大野党・国民党からは侯友宜氏、そして野党第2党・民衆党からは柯文哲氏です。
選挙戦では中国との関係が主要な議論点となっています。頼清徳氏は、現在中国から批判されている民進党を代表し、中国との関係改善を目指しています。彼は「当選すれば、中国が台湾政策を見直す機会になる」と述べています。また、民進党の勝利だけでなく、立法院(国会)での過半数の議席獲得も重視しています。
一方で、国民党の侯友宜氏は、民進党政権が戦争を引き寄せていると批判し、中国との対話や交流を拡大し、衝突のリスクを下げることを主張しています。彼は防衛力の強化を通じて中国を抑制する方針です。また、民衆党の柯文哲氏は、防衛費をGDPの3%に引き上げるとともに、文化や経済の分野で中国との交流を進める姿勢を示しています。
この選挙は、台湾の国際的な立場、特に中国との関係において重要な意味を持っています。台湾の民進党は中国との対話の相手とは見なされておらず、台湾への圧力を強めています。頼清徳氏は、自身の当選が民進党政権の継続を意味し、中国が民進党政権との関係構築に動くことを期待しています​​​​​​。

台湾の歴史:占領・独裁と民主化

1. 日本の占領(1895年-1945年)

1895年、清朝と日本との間で行われた甲午戦争の結果として、清朝は下関条約を通じて台湾を日本に割譲しました。これにより、台湾は日本の植民地となり、日本は台湾での近代化を推進しました。鉄道の建設、教育制度の導入、公衆衛生の改善などが行われ、台湾のインフラが大幅に強化されました。しかし、この時期はまた、日本による厳しい支配と文化的同化政策により、台湾の人々の抵抗も生じました。

2. 国民党政府の政権樹立(1945年以降)

第二次世界大戦後の1945年、台湾は日本から中華民国に返還されました。この転換は、国民党政府による台湾の支配の始まりを意味しました。同時期、中国本土では国民党と共産党との間で内戦が繰り広げられていました。国民党政府は、中国大陸での共産党との内戦に敗れた後、1949年に蒋介石を中心とする国民党のリーダーシップのもと台湾へ逃れました。台湾は国民党の最後の拠点となり、国民党政府は中華民国政府として台湾を統治しました。
台湾での国民党政府の支配は、一党独裁制の下で進められました。この時期、政治的な弾圧や文化的抑圧が行われ、台湾の人々にとっては困難な時代でした。中国大陸での内戦の結果、国民党と共産党の間の対立は、台湾の政治的及び社会的状況にも大きな影響を及ぼしました。台湾は国民党の最後の避難地となったため、政治的な緊張が高まり、台湾内部の対立も深まりました。

3. 民主化

1980年代後半になると、台湾社会における民主化への要求が高まりました。1987年には戒厳令が解除され、政治的な自由が拡大しました。その後、民主的な選挙が行われ、多党制が導入されました。1996年には、台湾史上初の直接大統領選挙が実施され、台湾の民主化は大きな節目を迎えました。この民主化運動は、台湾の政治的アイデンティティと自己決定の権利を強化し、現在に至る台湾の政治的独立性を形成する基礎を築きました。

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