【旅する日本語】まだ知らない青
空の色はどこも一緒だと思っていた。
海も湖も、もうだいたい知っている青だと思っていた。
好きな映画監督が、ある作品に「青を入れないように撮った」と言っていたことが始まりで、
青は私にとって特別な色になった。
日本にいるときは、街を歩きながら青を撮り続けて作品にしたこともある。
それでも自分の頭の中にある色鉛筆で塗れない青はなかったし、もう出会えないと思っていた。
ヨーロッパの国をいくつか回るうちに、何度も知らない青に出会うことになり、その度に涙が出た。
もしかしたら涙も青かったかもしれないと思うくらいに、
目に焼き付けようと努力をした。
なぜなら、写真にはその青はその青のまま映らないから。
悲しみ、冷静、諦観、Gの音… 私にとっての青の意味は旅をするごとに増えていき、
奏でるGの音も変わるかもしれない。
音楽好きとしても、映画好きとしても、青を探しに旅に出ることは、やめられなくなりそうだ。
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