コロナ禍における研究室運営について
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コロナ禍における研究室運営について

こんにちは、杉浦(裕)研究室の杉浦です。現在学科では研究室配属に向けた個別説明会の時期です。その中で「コロナ禍でどのように研究活動をしているのか」という質問をたくさんいただきそうな予感がしたので、事前に記事としてまとめておきます。教員視点での記事となるため、実際の学生メンバーがこの状況でどのような苦労があって、それをどう克服しているかについては、研究室の個別説明会の学生座談会で直接質問をしていただけると良いと思います。説明会当日に向けて匿名での質問も募集しているようです。

時系列に沿った振り返り

まずはコロナ禍での研究室活動の流れを時系列に沿って振り返ります。当研究室では、新人研修を2月下旬からフルオンライン化をしました。3月末に予定していた追いコンをキャンセルしたため、最後に直接挨拶を交わすことができなかった卒業生もいました(卒業生たちには後日プレゼントを郵送しました)。
4月からはキャンパスがロックダウンとなり入構が厳しく制限され、フルオンラインでの研究室運営が必須となりました。研究室では、春学期の授業が本格的に始まる4月末までの間、週2~3回のオンライン「朝礼」を実施し、その日の体調や研究進捗の報告、雑談などをしました。本格的な授業の開始後は、この授業によって生活リズムも整うことが予想されましたので、朝礼の開催頻度を下げ、通常と同じ頻度での定例ミーティングや一対一のミーティング(1on1)を実施しました。
緊急事態宣言解除後も、しばらく学生がキャンパスに入構するには都度申請と必然性が必要であったため、その時期にオンサイトで研究活動するメンバーはいませんでした。
9月下旬から理工学部では学生も申請無しに入構ができるようになり、現在はキャンパスでの研究活動を一部再開しています。

研究教育を止めない運営のフルオンライン化

2020年3月から9月までの7ヶ月間はフルオンラインでの運営となりました。
杉浦(裕)研究室はハードウェアを伴うインタラクションの研究をしています(最近ではソフトウェアのみで完結する研究テーマも増えてきましたが)。研究において、ハードウェア開発と被験者実験においては、コロナによるキャンパスロックダウンの影響を強く受けました。情報工学科の中でも比較的コロナの影響を受けていた研究室の一つだと思います。
ハードウェアについては、可能な範囲で学生の自宅に送付をして対応をしました。また現実的に自宅での実施が困難なハードウェアを絡む研究テーマは、別のテーマに切り替えをしました。変更先のテーマとしては、過去に研究室で取得したデータセットを用いて新たな解析をしてみる、性能を向上するような処理をしてみる、データを違う目的として活用してみる、などです。
被験者実験については、スマートフォンのアプリなどで配布してできるものはオンラインで実施、それができない内容に関しては、一緒に生活しているご家族への依頼や、上述のようにすでにあるデータセットで評価が可能なテーマに切り替えてこの間の研究教育の継続をしました。
このような状況で現在の研究室メンバーはとても良く頑張り、例年と同程度の研究成果を出し、この夏にはほとんどのメンバーが学会での発表や投稿をすることができました。2020年4月に入学した留学生は未だに日本に入国することができていませんが、リモート環境においても意欲的に研究を進め、この夏締切の国際会議に投稿ができました。

フルオンラインの課題

上述の通りフルオンラインでの研究室運営ではハードウェアの伴う研究活動や被験者実験に大きな制限がかかりました。
また、対面におけるフラッとはじまる相談や雑談についてはフルオンラインの状況下での実施は難しいのが現状でした。教員や先輩、同級生との何気ない会話の直接的・間接的にも研究の進捗や自身の成長への寄与は無視できないほどに大きいと日頃から感じており研究室の場での活動意義を伝えてきました
例えば、教員が実際に作業をしている学生を後ろから覗くことでハマってしまっている課題を早めに指摘できたり、元気が無くなってきている様子を察知できます。また先輩が作業をしている様子を後輩が覗くことで獲得できるスキルも多いと考えています。
対面の価値とその価値の数値化の難しさについては東工大の首藤先生のコラムが参考になります。
フルオンラインの状況下におけるこのコミュニケーションの課題は、既存のツールを工夫して使ったり、各社からの新たなツールの登場も期待しつつ、当研究室の専門領域であるヒューマン・コンピュータ・インタラクション分野が解決すべき課題であるため、これ自体を”Future Communication”という新たな研究テーマとして掲げて、長期的に考えていこうと思います。

2020年10月段階での研究室ハイブリッド運営

研究室では、感染対策や時空間ゾーニングをした上でオンサイトでの研究室活動を一部再開しています。感染対策としては、キャンパスが出しているガイドラインの周知と徹底、マスク着用、各部屋への消毒液配備、間隔をあけた座席配置変更、一部パーテーションの設置、定期的な換気、などをしています。
時空間ゾーニングに向けては、部屋の最大同時入室者数の上限を定めています。研究室で活動をする予定の人は事前に共有のGoogleカレンダーに記入をします。全メンバーが誰が研究室に来る予定かを事前に把握できる状態にすることで、調整の手間を省いています。下の写真はとある一週間のGoogleカレンダーの入力様子です。
9月下旬に学生の事前申請無しでの入構が許可されてから一ヶ月程度が経過しました。社会人ドクターや入国できてない留学生を除いて、研究室メンバーで1回以上キャンパスを訪れて研究活動をしたメンバーは全体の80%、週に1回程度かそれ以上のメンバーは56%となっています。
その他、全体ミーティングはフルオンラインで実施をしています。1on1ミーティングはオンラインかオンサイトかを学生側が選択できるようになっています。被験者実験は、対策をとった上で対面での実施を一部再開しています。国際学会、国内学会ともにコロナ禍以降、オンライン参加となっています。

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今後について

最後まで読んでくださりありがとうございます。
春学期のほとんどは対面での指導が実現できなかったことが悔やまれますが、現在は対面での教育も一部回復しつつあります。今後この状況が続く限りしばらくはオンサイトとオンラインのハイブリッドでの研究室運営になることが予想されます。またこの状況が悪化し、キャンパスロックダウンとなった場合にはフルオンラインの運営に戻ります。
当研究室を志望してくださった方の中で、配属後はフルオンラインで研究活動を続けようと考えている方は、本記事より現在の研究室運営のハイブリッドの状況やフルオンラインの課題をご理解をいただいた上で志望をしていただければと思います。
引き続き当研究室に興味がある方は研究室がわかる3つの記事、研究室の運営方針研究内容学生生活を見てください。どれも1年前に作成された記事ですので今と多少内容が合わない部分もありますが、本質的な部分では変わらないと思います。


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慶應義塾大学理工学部情報工学科 / 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻情報工学専修 杉浦裕太研究室のnoteです。学会の参加報告やイベントの宣伝などをします。https://lclab.org/