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dress in the closet

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わたしの心をつかんだ服たち。
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わたくしの一部になって

わたくしの一部になって

わたしとは何か。
そんな根源的な問いを幾度となく行うようになったのは何歳の時からだろう。
誰かの何かになりたくてもがいていた日々からは遠く離れた午後二時三十九分のファミレス。
あの頃の自分には想像のつかない場所で生きている。

わたしとは何か。
その答えの一つは、かつて読んだある本に書いてあったこんなことだ。

自分というのは選択してきたものの積み重ねである。

ナンバーワンになれなくても、誰

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散らない花も、ほどける春も

散らない花も、ほどける春も

風はまだ冷たい。
進路はぜんぜんオールグリーンじゃない。
でもたくさんの春服たちを見ているとウキウキするのは本当。
冬の黒や灰色やカーキを脱ぎ捨て、軽くて柔らかな花たちを纏いたくなるのは当然の摂理。
分厚いタイツも、ムートンブーツも脱いで、素足のままでピクニックをしようか。
たくさんの季節をめぐるけれど、明るくなる季節も一等すきだ。

mameの花柄マキシ丈ワンピース。
15SSのもの。
普段のわ

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まいにちを戦い抜く服として

まいにちを戦い抜く服として

薄い皮を剥いていくように冬が去っていく。
今月の上旬はあんなに寒かったのに、今じゃもう灰色のコートは何処かに捨ててしまいたいほどの陽気。
この一ヶ月はほんとうに肌で季節の変化を感じられるから、とても楽しい。

“March comes in like a lion and goes out like a lamb.”

変化のない日々なんてないのだけれど、この三月は殊にわたしの周りもわたし自身も変

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鈴蘭には毒がある

鈴蘭には毒がある

いつからかは忘れたけれど、ずっとワンピースに心惹かれている。
でも幼い頃はワンピースを着せてもらうことはなくて、いつもスカートだったりキュロットだったりズボンであったりを着ていた。
動きやすくて着回しができて悪くなかったけれど、どこかでワンピースに憧れを抱いていた。

それが表れたのは大学生の時、バイト代を持ってラフォーレやルミネを訪れた。
地元とは比べ物にならない服たちの中でワンピースがひときわ

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