見出し画像

2023 映画ベスト10!

久しぶりのnote.更新です。
基本的に長文を打つときはキーボードなのですが、いかんせんPCを持ち運んでいる時間がなく、スマホだと長文を打つのがどうしても億劫になってしまい更新が滞ってしまった2023年でした。反省。

さて、時々お邪魔しているローカルFMラジオ番組「ぱるるんシネマ倶楽部」で、2022年から映画ベスト10企画に参加させてもらえているのですが、映画好き4人が1時間枠で、(外国語映画10本、日本映画10本)x4人分を話すとなるとどうしても表面的なことしか話す時間がありません。
2022年の反省も踏まえて、各作品について短くコメントも用意して臨んだのですが、そもそもそのコメントを出す暇もない密度でして。
放送が終わったので、インスタにもベスト10あげるつもりなのですが、コメントはキャプションにしても長ったらしくなってしまいそうなので、ここnote.で補足的にコメントを足した私のベスト10完全版を書いてみようと思い書き始めています。

というわけで、2023年の私のベスト10は以下のようになりました。
2023年は鑑賞本数231本、うち劇場が211本でした。
なお、順位付けはしておらず、順番は鑑賞順です。

2023年の印象

2023年は、去年の『スラムダンク』から、アニメ作品の良作が年末まで豊作だった印象。クオリティも、ストーリーテリング力も。
前半は映画作りや映画館を賛美するような作品が多い(コロナ禍の映画館のよくない状況からこれが最後と思う監督も多かったのかなぁなんて話をしました。ベスト10には入らなかったけど、『フェイブルマンズ』『エンパイア・オブ・ライト』『銀平町シネマブルース』すごい良かったです)、後半は戦争を扱った作品が集中して上映されていたなぁという印象です。狙ったわけではないのかもしれないけど、結果として映画の世界から今の世界情勢に対抗するようにも見えました。

✴︎外国語映画ベスト10✴︎

  1. グリーン・ナイト/ The Green Knight
    A24, デヴィッド・ロウリー監督作品。
    公開は2022年なのですが、鑑賞は2023年1月だったのでランクイン。
    もともとあまり予告編で見かけていなくて、ノーマークだったのですが、たまたま見かけた予告でロウリー監督の作品と知り、絶対に見に行かなければと、駆け込み鑑賞。
    同監督の『A GHOST STORY』という作品がとても好きで、特に時間の表現方法がとても魅力的なのですが、本作でもそれが忌憚なく発揮されていて見に行って良かった…。
    J.R.Rトールキンが現代英語に翻訳したことで広く読まれてきた『ガウェイン卿と緑の騎士』という14世紀の作者不詳の叙事詩が元になっていて、その中世の世界観も、主演のデヴ・パテルの頼りなさも、バリー・キオガンのやばさもとってもとっても好みでした。

  2. バビロン/ BABYLON
    『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督の最新作。
    1920年代のハリウッド、サイレントからトーキーへの過渡期のスターと新人俳優の栄枯盛衰をバイオレンスに描いた作品。
    1回目に見た後の謎の高揚感のあと、賛否ばっちばちで、そういうのに色々目を通したあとにもう1回見に行ったんですけど、やっぱり心躍っちゃうのが勝ってしまいました。しかし、マーゴット・ロビーの振り幅というか、ここ最近の頭イカれた感じになる役には勝手に心配になってしまいますね笑。でも『Saltburn』のプロデュースもやっていたりするのでなかなかタフなんだろうな。すごく汚い描写が多いので潔癖な人にはお勧めしません。

  3. 長ぐつをはいたネコと9つの命/ Puss in Boots: The Last Wish
    ドリームワークス、『シュレック』シリーズに出てくるプスを主人公にしたスピンオフ作品。シュレック全く見てないのに、なぜこれをみようと思ったのかは忘れてしまったけど、結果的に見てすっごく良かった。
    命が9つあるから、また死んでもいけるっしょ☆って思ったらライフがあと1しかなかった…! っていうプスが、願いを叶える星を手に入れにいく話なのですが、とにかくアニメーションがとても丁寧(素人目ですが)で、キュートでポップなのに人生の真理をついたようなセリフやキャラクター(ウルフ)も登場して、途中から嗚咽止まらず。メインのモフモフCG?ももちろんなのだけど、アクションシーンで使われる2D クレヨンで書いたようなアニメーションもとても好みだった。フローレンス・ピューや、オリヴィア・コールマンが声を当てていたのもテンション上がった。

  4. ガール・ピクチャー/ Girl Picture (Tytöt tytöt tytöt)
    フィンランド初のZ世代青春映画。Z世代ではないけど、とてもいい作品だなぁと思いベスト10入り。そんな派手な映画ではないのだけど、10代特有の、自分の見えていたり知っていたりする世界が全てなんじゃないかと思ってしまうが故の閉塞感やいっぱいいっぱいな感じ("私の半径3mが世界"って感じ)を、スタンダードサイズの画角がとてもよく表現していてすごく印象に残っています。
    そして北欧ならではの色使いやファッション、「Moi!」という挨拶がとにかくかわいい。

  5. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 / Guardians of the Galaxy Vol. 3
    ありがとうジェームズガン !!! まじで色々あったけど私はあなたの作品のキモ造形とジョークが大好きです。そもそもGotGシリーズは全然馴染みがなかったんですが、好きな人の好きなシリーズ(ベタだなぁ)、ってことで見始めたら一番好きなマーベルシリーズになってしまいました。箱推し。DOLBY CINEMA 3Dで見たんですけど、今の3D作品って10年前とかのよりもだいぶクオリティが上がったんだなっていうのもびっくりでした。これでガーディアンズとも最後か〜ってしみじみして、また1作目のOP映像見返して最高の始まりと最高の終わりだな〜と思いました。ディズニーはほんと惜しいことしたなぁ。

  6. ジュリア(s) / Julia(s)
    これは2023年というより、オールタイムに入れたい。フランスから来たwhat ifの究極形の映画だと思う。
    正直人は選ぶ。話を飲み込むまでにちょっと脳みその切り替えが必要。だけど、この演出に慣れたら最後まで見てしまう。30歳を過ぎた今だからこそ抉られるくらい刺さる映画。今出会えてとっても良かったなぁ。
    年末年始の再放送で久しぶりにMIU404を見返していて、「誰と出会うか、出会わないか。この人の行く先を変えるスイッチは何か。その時が来るまで、誰にもわからない。」という志摩ちゃんのセリフがあったけど、まさにそれを映画というフォーマットですばらしく描いてくれた映画だなと思います。
    観た後は(あんなにifを提示しておいてそのラストかぁ….)っていう若干の拍子抜け感を感じたのだけど、観てからしばらく経って思い返すとあのラストで良かったかも、と思えています。あんまり大規模な公開ではなかったんだけど、これは多くの人に見てもらいたいです。

  7. ウーマン・トーキング 私たちの選択 / WOMEN TALKING
    今年のアカデミー賞で脚色賞を受賞した作品。2005年から2009年に実際にボリビアで起きた事件を元に描かれた小説から着想を得て作られた映画。自給自足で生活するキリスト教一派の村で起こるレイプ事件、そこから女たちが決断していく、という作品で、その決断までのプロセスを丁寧に描いた作品。
    そもそもこの村の女たちは読み書きができず、レイプについても「悪魔のしわざ」「みんなやられているから」で片付けられていて現代社会では考えられないくらい飼い慣らされている感じがとても居心地が悪かった。そんななか、彼女たちをサポートしていく役が大好きなベン・ウィショーだったのもとても嬉しかったし、後続にあげる『悪い子バビー』とも共通するのだけど、やはり育つ環境によって人というものはこうなってしまうのか、という恐ろしさを感じた。そういう当たり前を疑い、抜け出す過程のさまざまなポジションのキャラクターが描かれていて、役者陣がみな好演でした。

  8. クロース / CLOSE
    奇しくも、日本映画でベストに入れた『怪物』と同時期に公開された、私の中では『怪物』と双子みたいな作品。監督が自分と同い年だった。わお。
    本当に仲のいい友達だと思って世界を築いていたのに、学校に入学してから周りからの「それ以上なんじゃないの?」という視線で自意識だけが高まっていって仲違いする親友の話。あんまりマイノリティについての話を不特定多数が見るところですることがまだまだ苦手なので(勉強不足もあるので)、詳細は差し控えますが、みんな「いちばんすきな花」を見ましょう…大体このドラマのセリフに出たことをちょこちょこ思いながらみた作品でした。そして、主演の男の子2人の透明感にやられた。

  9. 悪い子バビー / Bad Boy Bubby
    日本公開は今年の下半期ですが、もともと30年前に公開されたオーストラリア映画。母親に「外に出たら毒で死ぬ」と洗脳されたまま35年間引きこもり、社会と関わりを持ったことがなかったバビーが、社会に放たれた時何が起こるのか?
    母親の模倣から始まり、道中で出会うバビーを面白がって面倒をみてくれるやつらとの出会いや、初めての恋や、バビーにしかできないこと…とにかくぶっ飛んでる作品で、どう表現したらいいのかわからない。今撮影するのも難しそうだけど30年前でもどうやったらこんな映画撮れるの…
    見てて気持ちの良い映画ではないけど、そこかしこにキラッと光る真理(のようなもの)にハッとする場面も多々。音楽は偉大だし、世界はそもそも普通じゃないんだよな、って思った。

  10. サタデー・フィクション / Saturday Fiction (蘭心大劇院)
    1月に公開された『シャドウ・プレイ 完全版』で初めて触れたロウ・イエ作品。
    2019年に公開された『サタデー・フィクション』が2023年10月に公開。ノワールな感じがたまらなく好きで、今作もきっと好きだろうな、というのと、オダギリジョーと中島歩(濱口組参加前!!)が参加していることもあり鑑賞。めちゃくちゃ好きすぎて本作も2回観に行った。
    1941年、真珠湾攻撃1週間前の12月1日からの1週間の上海で繰り広げられるスパイたちの攻防と人間ドラマ。全編モノクロ、劇場から現実へ、現実から劇場へ、くるくる回るように流れる映像が"魔都"と呼ばれた上海を体現しているようで観ているだけでワクワクした。多国籍なキャスト陣もとてもかっこよかったな。説明はまじで最小限of最小限で難解さはあるけれど、とてもハードボイルドな作品でした。

✴︎日本映画ベスト10✴︎

  1. BLUE GIANT
    原作未読。ジャズは詳しくないけど好きなので、っていうのと、山田裕貴・間宮祥太朗・岡山天音のCV気になったので。とんでもなかった。正直、ロトスコープは『スラムダンク』と比べてしまってちょっとどうかな〜って思うところはあったのですが、それをものともさせないくらいの音楽シーン。トットちゃんと似てるんだけど、音を奏でている時の脳内イメージみたいなのが、アニメにしかできない表現でぶっ飛びました。さすが上原ひろみ….

  2. 少女は卒業しない
    『カランコエの花』中川駿監督、原作朝井リョウ。
    役者がみなこれから楽しみな若手の役者(+藤原季節)ばかりでずーっと見応えあった。『ケイコ 目を澄ませて』でもいいアクセントだった佐藤緋美が特によかったなぁ。
    前述の『BLUE GIANT』も、後述の『白鍵と黒鍵の間に』もそうなんだけど、演奏シーンがちゃんと演奏された上で「す、すげぇ…!」とちゃんと感動できる映画が多くなったんだなぁと実感した。かつて見た映画では、"この人たちの歌や演奏はすごいんですよ!"という設定で、歌のシーンだけ無音っていうのがあったりしたので、それよか、個人的には満足度高いです。そして河合優実のお弁当の件が最高だった。
    ただ、この作品を見て高校時代の自分を思いかえして、私はone of モブだったなぁなんてことを思いました笑

  3. ベイビーわるきゅ〜れ2ベイビー
    殺し屋高校生コンビの続編。卒業したので殺し屋フリーターコンビ。
    前作からアクションがめちゃくちゃかっこよかったものの、前作はセリフが綺麗に拾いきれていない部分も目立ち、上映会でかけた時におじさんたちの哀しげな背中を覚えていて笑、そこは気になってはいたものの、2ベイビーでは整音も抜群に改善されていて見やすかったです。ギャグセンは1の方が好きな人もいるかもしれないけど、2も普通に面白かった。
    髙石あかりの、ちさとの時の喋り方のクセ強感が増してかわいかった。伊澤彩織のバキバキのアクションも健在。銀行のシーンかっこよかったなぁ。中井友望も『少女は卒業しない』とのコントラストがえぐい。
    丞威と濱田龍臣コンビもよかったです!

  4. 怪物
    予告編からずーっと楽しみにしていた是枝裕和監督, 坂元裕二脚本, 坂本龍一音楽のオリジナル作品。見に行ったのは雨の嵐の夜だったので特に印象に残った。幸いなことに、この作品がクィアパルムドールを獲ったというのを見終わったあとに知ったのでバイアスなく見ることができた。
    公開当時から『羅生門』スタイルと言われていたので、たまたまこの時期高松にいて、ソレイユさんで上映していたので合わせて見れたのものよかった。本作に関しては、みんな自分からみた「ほんとう」の視線から語られる物語だった。主演二人が素晴らしかった。黒川くんは『いちばんすきな花』(生方脚本)、柊木くんは『時をかけるな、恋人たち』(瑛太主演)でも見かけることができて良かった。ラストは開かれているから、決めつけて批判するのも違うと思いました。
    窓に打ちつける雨が星空みたいになる演出が何回見ても印象的。

  5. アイスクリームフィーバー
    飛び抜けておしゃれに振り切ったファッション的な映画でもあり、みんなやりたい『恋の惑星』オマージュもおっしゃれに決まっていて、とにかく眼福すぎた映画。ポスタービジュアルからフォントからファッションからアイスから〜〜〜〜〜うわ〜〜〜〜〜。千原徹也監督はもともとアート方面の方なのでとても納得なんだけどもう本当にきゅるんとする映画でした。原作も川上未映子なのもまたよし。劇中に出てきたアイス(チョコミント)、チョコミント食べず嫌いしていたのですが、猿田彦珈琲系列の tikitakaアイス監修だったので食べちゃいました。美味しかった。アイスと銭湯と一目惚れって、もう絵になる !!!

  6. 福田村事件
    100年前に関東大震災があったその日に公開。色々話を聞いて、印象がどんどんいかがなもんか、になりつつ、なにも情報を入れないで観に行った時の印象はとても強烈だったのでベスト10入り。瑛太すごかったなぁ。
    100年経っても、震災や事故などが起きるたびに飛び交う流言やデマは変わることがなく、もしかするとひどくなっているかもしれない。
    演出や内容や制作背景に対して色々とあるかもしれないけど、2023年に公開された意義は確かにあると思える作品でした。1世紀も経つとこんなにも覚えていることが少なくなるのか(もちろん覚えて繋げていこうとする人はいつの時代もいるけども)。自戒もこめて。
    森さんの『虐殺のスイッチ』という本を合わせて読んでもらうと、肉付けが厚くなるかなと思います。

  7. 白鍵と黒鍵の間に
    「映画ってめっちゃ魔法みたいじゃん….」って思っちゃった作品。
    2回見に行ってしまいましたよ。今年も見ますよ。
    バブル時代の銀座、というまだ自分が生まれてもいない時代に対して、ぶっ飛んでて嘘くさい、というよりも、あ〜〜〜こんな感じだったんだなぁっていう謎のノスタルジーを感じる。それが当時の銀座の魔力だったんだろうな。
    基本的にジャズだからなのかもあるのか、あの頃のone of themだけど可能性に満ち溢れた自分と、ある程度地位を確立したけど行き詰まった自分がメビウスの輪みたいにぐるぐるnonchalantにスウィングしていて、映画自体の空気もすごくファンタジックでノスタルジックで、意味がわからない演出やシーンも含めて、とても魔法みたいな映画だった。
    実際に自分がそこにいたらおっかないんだろうなって思うんだけどね笑。しかし、ゴッドファーザーの件はあんなに笑うと思わなかった。
    原作の南博の書いた「Nonchalant ノンシャラント」が最高だった。

  8. 愛にイナズマ
    石井裕也監督作品。『月』は現時点でも見れてません。
    石井監督は本当に構想から撮影して上映するまでのスパンがすっごく短くて、毎度熱量というか密度がすごい。いろんな理不尽に対して映画という武器で戦っている感じの監督。あんまり自分の中でベスト!ってなる作品がないのだけど(色々考えてこんがらがってあんまりわかってない気がするので)、本作も考えてこんがらがってしまうところはあったけど、「ハグってなんだ?存在の確認だろ?」っていうセリフ、絶対忘れたくないなぁと思ってしまったのです。とはいえ、結構笑えるシーンもあるし、家族で立ち向かおうと思ってぶん殴られる池松壮亮も良かった。
    窪田正孝の立ち位置も不思議だったけどああやって自分のことをわかろうとしてくれる人が近くにいればいいなと思った。

  9. ある精肉店のはなし
    10年前に公開されたドキュメンタリー作品なのですが、円盤・配信共に見れず劇場公開でしか見れないということでベスト10に入れました。基本的に毎年どこかしらで上映会はしているみたい。牛を自らで育て自らで屠り、解体し、お肉にするまでをやっていた精肉店を追ったドキュメンタリー。皮はだんじりで使う太鼓となって続いていく。お肉が好きであるという加害性を自覚しつつ、動物をかわいいとも思う自分なので、これは絶対に見逃せないと思った。出会えてよかったドキュメンタリー。死ぬって結局生きてることのその先、と思う派なので『山女』でも思ったけど、人や動物の死に携わることが穢れや咎とされることに疑問で。そのクセ自分たちはそういう"汚れ仕事"を回避して綺麗な部分を、最初から綺麗でした、と言わんばかりに享受するのはいかがなものか?このお肉屋さんの、部落差別の話、学校の社会で習った全国水平社宣言についても今こうして知るとすごく熱いものを感じた。

  10. 窓際のトットちゃん
    ノーマーク。まさかの年末に滑り込み傑作。原作は知ってるけど未読。
    予告で見てみようかなぁとは思ってはいたのだけど、あんまり期待しておらず。大人にはわかるように、子供にはわからないように、のいい塩梅の演出や描写が、大人から子供への歴史の橋渡し的な映画となるような作品で、そういう意味でもとても見る意義のある映画だった。
    アニメーションもすばらしく、メインの作画とは別に、子供のイマジネーションを表す全く別の表現のアニメが数種類挿入されているのだけど、これが『BLUE GIANT』の演奏描写シーンと同様、アニメだからこそできること、が、がーんと眼前で繰り広げられている感じ。
    トットちゃんのお母さんが戦時中で、そんな華美な服装をするな!と詰められるシーンや、食べ物がじわじわ食べられなくなるシーンは、見ていて泣きそうになるし、本当にこういう時代があったということが怖い。
    もともとシリア紛争をきっかけに、映画化の構想が始まったということだけど、奇しくもロシアウクライナ、イスラエルパレスチル間の争いが激化している最中での上映となったことも偶然じゃないのかもしれない、と思えるほどリンクしていて、映画を見たから世界を変えられるわけじゃないけど、何かのきっかけになるような映画だと思うのでぜひ見てほしい。

✳︎番外編✳︎

今年は4Kレストアもたくさん上映された年。
新作ではないし、すでにみたものをも含まれるけど、特に以下3企画は大大大満足でした。上映してくれた劇場様ありがとう〜〜〜

  • ブルースリー 5作品 (WBLC) + 『燃えよ、ドラゴン』リマスター
    自主上映会で上映した『カンフースタントマン』という香港映画のスタントマンに焦点を当てたドキュメンタリーをみたときに、どの人もこの人の話になると途端にめっちゃくちゃ悲しそうな顔をする、ブルースリー…
    私自身はまったく通ってこなかった香港アクションだったのですが、これを機に、そしてたまたま同時期にWBLCという企画が上映中ということを教えてもらったので足を踏み入れてしまったブルースリーの世界。
    コメディで使われるくらいしか知らなかったけど、すんんんんごいかっこよくて後追いにはなってしまうけど、今年はブルースリーについて深く知っていきたい年になりました。

  • BOND60 007 『スカイフォール』
    公開当時も劇場に見に行った『スカイフォール』。私をベン・ウィショーに出会わせてくれたありがてぇ作品(そこかよ)。この企画で昔のボンド映画も上映してくれて、『ゴールデン・アイ』もすごく面白かったです!
    ただやっぱり個人的な思い入れとして『スカイフォール』は外せない。前も2回映画館行ったけど、今回も2回映画館行ってしまった。朝いち回にも行ってしまった(夜型人間です)。
    やっぱりボンドとQのファーストエンカウントシーンは本当に好きなんですけども、ハビエル・バルデムの悪役にも愛着が湧いてくるんですよね。
    昔のボンドも面白いのは確かだけど、ダニクレ版の暗さ、湿っぽさ加減が大好物です。Q推しなのでQばっかり見てはいますが、ボンドが電車に移ってパパッとカフス直すシーンも大好き。マニーペニーも綺麗だし、マロリーもかっこいいし!ただ、今、ターナーさんの顔を見ると『MEN 同じ顔の男たち』を思い出してゾワっとします笑。
    このあと、人生で初めてバーで ボンドマティーニ 作ってもらって飲んだの2023年のハイライト…。

  • LARS VON TRIER RETROSPECTIVE
    2023年超楽しみにしていたレトロスペクティブ。
    デンマークでカルト的人気があったというドラマシリーズ『キングダム』の最新作『キングダム <エクソダス>』公開記念での上映。
    巷で胸糞映画の常連になっている『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の監督。奇跡的にまだ見たことがなかったのですが、トリアー作品は、去年か一昨年あたりにアマプラで見た『ニンフォマニアック』が衝撃的で、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』も見たいと思っていたところ。ちょうど良いタイミングでの公開でした。(最近、旧作はレストア上映が増えているので、見たことない名旧作でも少し我慢していると、円盤や配信ではなく映画館で見れるのでその機会を狙っています)
    しかし、まぁ、ダンサー〜は、可愛いもので、『アンチクライスト』が久しぶりに結構邪気を喰らってしまいまして、ラースフォントリアー、面白いけど絶対知り合いになりたくない監督です。でもなんか見ちゃうんだよなー。『ニンフォマニアック』もディレクターズカット版で1も2も見れて、もう少し見逃してる作品はあるんですが、それは追い追い…。
    今、ご病気みたいですが、次作制作とミューズ募集しているみたいなのでトリアーさん、ほんと、頑張ってください!
    知り合いにはなりたくないんだけど、トリアーの作品見てると、自分の代わりに狂ってくれてるみたいな感覚になるのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?