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日本で使われている急須は「功夫茶」では熱湯を注ぐ茶器だった

私がフォローしているまるやま ゆみさんは、ヨガインストラクターで日本茶アドバイザーという珍しい肩書をお持ちです。

ヨガインストラクターと日本茶アドバイザーという組み合わせは、まるやま ゆみさんが好きなモノだそうですが、面白い組み合わせですよね。

私がまるやま ゆみさんをフォローするようになったのは、ご自身が好きなモノを何一つ諦めることなくお仕事にされているからです。

今は毎日連続投稿という自分で科した義務に振り回されてできていないけれど、noteを続けている中で私にも目標ができてきました。

それは中国茶の文献を日本語に訳したものを有料記事として投稿できるようになること。

香港で資料を手に入れた時からずーっと翻訳したいと思っていたのに、時間を作ることができずに早10数年。。。

アラフォーになって人生折り返し地点が見えてきたので、絶対にやらないと後悔したまま人生を終えてしまう。

そんな状態の私にはまるやま ゆみさんがとても素敵で、フォローするようになったのです。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

世の中には様々な種類のお茶がありますが、お茶というのは全てお茶の木(Camellia sinensis「カメリアシネンシス」)が原材料になります。

品種は違っても、カメリアシネンシスの茶葉を使うと「お茶」と呼ばれ、
カメリアシネンシス以外のものから作った加工品は「茶外茶」扱いになります。

そして、「お茶」は中国が発祥。
漢の時代(紀元前206年~220年)にはすでに飲まれていたようです。
ただし、その頃は茶葉と生姜やネギなどを一緒に煮て飲んでいたそう。

その後の歴史を端折ってお伝えすると、宋の時代(960年~1279年)に「点茶法」といって茶葉を細かくして茶筅で攪拌して飲む方法が生まれました。

この「点茶法」が日本に伝わって、日本の抹茶を点てる文化=茶道となります。

さて、今回お話ししたいのは急須についてです。

日本茶を入れる時に使う急須と言えば、多くの方が本体の横に取っ手がついているものを思い浮かべると思います。

急須の役割は【茶葉を入れてお湯を注ぎお茶を抽出させ、それを湯呑に移すもの】ですよね?

まるやま ゆみさんがこちらの記事で急須の歴史を書かれているので、ぜひ読んでいただきたいのですが、日本で使われている急須は実は中国がルーツなんです。

中国では清の時代(1644年~1911年)に「功夫茶」という淹れ方が、発案されました。

「功夫茶」の淹れ方

この淹れ方が烏龍茶を飲むのに、香りもお茶の色も楽しむことができる最適な淹れ方だ、と広まったそうです。

日本茶と違って、中国茶(特に烏龍茶)はこの写真のように小さな茶器(「茶壷」と言います)を使って淹れていきます。
「功夫茶」の淹れ方は、現在の中国茶の淹れ方とほぼ同じです。

こういった淹れ方、見たことありませんか?

烏龍茶は高温で淹れて香りや味を引き出すので、全ての茶器にお湯をかけて温めます。
もちろんこの茶壷も温めるのですが、清の時代には現在のようにガスやIH、電気ポットなどもちろん無く、炭火でお湯を作っていました。

現在ではお茶を淹れる時にやかんや電気ポットを使いますが、当時その役割をはたしていたのが「急須」です。

「功夫茶」用道具

この写真で一番奥にあるのが「炉」です。
前面に空いている口の中に炭を入れます。

写真右側にあるのが、急須です。
現在のやかんやポットの役割をします。いわゆる「湯わかし」です。
中国語では「銚子」といいます。
この「銚子」を「炉」の上に乗せてお湯を作ります。

この写真では分かりづらいかもしれませんが、日本の急須と同じで本体の横に取っ手がついています。

「功夫茶」の淹れ方説明

この「銚子」が茶器を温めたり、お茶を淹れるのに使われていました。

日本の急須は、それ自体がお茶を抽出するためのものなので、取っ手がもっと太く長くて握りやすいようになっていますね。

まるやま ゆみさんの記事から引用させてもらうと

急須は、中国で発明されたものです。本来はお湯を沸かすための道具だったようです。それが、儒学者であり篆刻や絵画方面でも活躍した高芙蓉(こう ふよう)によって、1756年に私たちが知っている用途に使われるようになりました。

まるやま ゆみさん記事「伝統だと思い込んでいるもの」より


茶道は日本の文化ですが、抹茶を点てるという方法の原案は中国から伝わったこと。

急須を使ってお茶を淹れるのも日本の文化ですが、急須の元となった「銚子」が実は中国では違う使われ方をしていたこと。

こうやって比較したり並べたりしてみると、日本茶も中国茶もつながっていることがわかります。

現代も多くの人が本来の目的とは違う形で商品を活用している例がたくさんあるように、昔から同じことが行われてきたのですね。

今回まるやま ゆみさんの記事を読んで「そう!そうなのー!」と興奮してしまい、資料を引っ張り出してきて記事を書きました。

記事を投稿するときのハッシュタグに「なんだかんだでお茶系は全部好き」というハッシュタグがあるのですが、私と同じ気持ちの人がいることを知れるととてもうれしい。

お茶のジャンルの垣根を越えて、お話ができるようになると良いな。

サポートいただきありがとうございます。 いただいたサポートでお茶を買いに行き、記事にさせていただきます😆