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明茶房カフェの「腐乳トースト」

2008年5月の出来事ですが、調べたことなどをつけ足して記事にしています。
現在は移転してしまっている「明茶房」湾仔店に行った時のお話しです。

茶友に誘われて「明茶房」へ初めて行ってきました。

日本のガイドブックに載っていたりして結構有名なこと&通っている学校と同じ駅同じ出口という好条件にも関わらず、今までなかなか足を運ぶに至らなかったお店です。

  1. ガイドブックに載っていて有名→品質への疑い

  2. 学校から結構歩くと思い込んでいた

以上2点が、せっかくの機会を無駄にしていた理由。

でも行ってみたら、今まで行かなかったことをとてつもなく後悔しました。

なぜなら、学校からたった数十メートルの距離に有り、なおかつお店のコンセプトなどに大感激したからです。

明茶房のお店の様子

明茶房カウンター

茶殻写真パネルのあるカウンター

お店に入った途端、ドドーン!!と目に飛び込んできたのは様々な茶殻の大きな写真パネル。
それを見た途端、お店のお茶に対する真剣さを感じ、ノックアウト寸前。

大量の茶器

そして茶葉ごとに使用する茶器のディスプレイの数々。
茶壷は実際にディスプレイ棚から取って使用し、養壷もしている為、みんなテカテカです。

明茶房茶器棚

※この写真はカウンター横にディスプレイされている販売品見本です。

2階もあります

2階はセルフサービスでお茶を淹れられるよう、茶盤付きのテーブルがずらりと配置されています。
階段を上る途中には、茶器についての説明と実物がディスプレイされていたりして「茶具文物館」の様です。

もう興奮がとまらない!!!!!

明茶房の自信の品々

茶葉の自慢は「鳳凰単欉」

さて、こちらのお店、鳳凰単欉(ほうおうたんそう)が一番の自慢だそうです。
茶葉は茶缶に入れて販売されていますが、ディスプレイされている缶の内の1つが香りや乾燥茶葉を見れるようにサンプルとして開封されています。

私が色々なお茶をクンクンしていている内に、店長と茶友が「芝蘭 水仙」の蓋を開け話をしていたので、においを嗅いでみたら驚くことに「乳香」を感じました。

「芝蘭 水仙」←鳳凰水仙種から作られた芝蘭香(※芝蘭とは香りのよい蘭の花という意味)だから花や蜜っぽい香りがするものなのに、何故か「乳香」。
一瞬で気に入ってしまったものの、その後は「乳香」を感じることはありませんでした。
一体あの「乳香」はなんだったんだろう??今でも疑問です。

食べ物メニューにもこだわっています

明茶房腐乳トースト

こちらは「腐乳トースト」です。
「腐乳」とはお豆腐を発酵させてから塩につけたもの。

においが強いのですが、中国料理ではとてもポピュラーな調味料です。
オブラートに包んで強いにおいと書きましたが、いわゆる醗酵臭で、慣れていないと嫌なにおいかもしれません。
お粥に入れて食べたりもします。

そんな「腐乳」をトーストに塗って、ザラメをふりかけてあります。
ザラメの食感を楽しむこともでき、甘じょっぱい味がなんとも絶品!
思い付きが天才!

私が「おいしい」を連発して食べていたら、隣でお茶を飲まれていた欧米人マダムが「『腐乳』は『ブルーチーズ』のようよね」とおっしゃっていました。
なるほど、チーズはトーストと相性抜群だから、おいしくて当たり前なのか。

それから「鹽魚ヌードル」。これも美味しかったです。
また、点心類も香港のシェフが作っているというこだわりよう。

点心類は真似できないけれど「腐乳トースト」や「鹽魚ヌードル」については、お店で使っている瓶詰などを見せて説明してくれたので、家で作ってみようとしました。

ですが、お店で食べた時には気にならなかったにおいが、自分で作ったら強くてお店の味には程遠かったです。

楽しい時間は過ぎるのが早い

飲んだお茶の種類については記録が見当たらず、書くことができないのですが、お茶と食べ物を楽しみながらたくさん話をしました。

茶友のお子さんの下校時刻がせまってきたのでお開きになったのですが、なんだかんだで3時間以上の滞在。

お会計はとても良心的でした。
2種類のお茶&2種類の食べ物で188HKD。

茶葉を購入

明茶房の「芝蘭 水仙」

贅沢な時間を楽しみ、自分のお土産用に「芝蘭 水仙」を購入しました。
55g入りで160HKD。
缶には産地や製法、味の特徴、性質などの説明を書いたラベルが巻かれた上に「品種・年・時期」が分かるようにシールが貼ってあり、これがまた私にはたまらない!

湾仔店は来月には閉店してしまうけれど、本社は太古にあるし、デパート内にブース出店したりしているそうです。

安心してお茶を買える&通えるお店が増えて嬉しいな。

明茶房について

明茶房を立ち上げたのは、麥蕙蘭(Vivian Mak)さんです。
彼女はもともと芸術家で、お茶の世界に精通していたわけではありません。

「たまたま芸術家からお茶屋さんになっただけ」だそうですが、明茶房ブランドを中国茶界の寵児として作り上げ、オスカーや香港国際映画祭などの賞品にまで押し上げました。
また、ラスベガスのホテルやミシュランガイドに載るお店で、明茶房ブランドのお茶が提供されています。

ですが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。

彼女が中国茶界と関わるきっかけになったのは、あるクライアントが「紫砂壷」の制作を依頼したとき。
これを機にお茶について理解を深め、多くの人にもっとお茶について知ってもらいたいと思ったそうです。

当時は多くの中国茶メーカーがお茶についての詳しい説明がないまま販売をしていたため、香港で有名な「馬騮搣(まろみ)」が鉄観音の一種ということを知らない人が多くいたような状況だったそうです。

そこで、茶葉を手にとる消費者が分かりやすいように「写真つき・種類・産地・製茶時期」などのデザインを作成しました。

当時としてはとても珍しい試みだったため、お店に並べられるととても目立ったそうです。

実はブランド立ち上げ当初は海外向けだったので、茶葉の名前は中国語ですが、説明は英語と日本語のみでした。

海外市場に販路を開拓しようとしたものの、日本では交渉がまとまらず、フランスの茶業博覧会では模造されてしまったことで断念し、開拓先を香港国内にシフトして自ら営業をかけ、デパートなどへの契約をとりつけました。

その後、湾仔の明茶房カフェをオープンさせたのですが、当時はとても画期的な取り組みだったそうです。

湾仔のカフェは地主との契約が更新できなかったため、閉店となってしまいましたが、移転後のカフェは多くの人がもっと気軽にお茶と楽しめるようにと茶芸教室を開くなどしています。

割れた茶器が展示されていた

実は私が明茶房を訪れたとき、地主さんとのトラブルが発生していたようです。
地主と言っても、個人ではなく鉄道会社で不動産開発も行っている「香港MTR」が相手。

付近の工事の振動によってお店の茶器が割れてしまい、抗議されていたそうです。

店内にはその割れた茶器と、割れた理由を中国語と英語で書いた紙が一緒に展示されていました。

あの時、私たちはただただその憤慨を聞くことしかできませんでした。

現在明茶房さんには、日本人のスタッフの方がいらっしゃるようで、日本語でいろいろと発信されています。

ご興味のある方は是非ホームページをのぞいてみてください。

スタッフのTOMOKOさん、明茶房で働けてうらやましい!

サポートいただきありがとうございます。 いただいたサポートでお茶を買いに行き、記事にさせていただきます😆