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勝手に愉しむ❗️<その10> 〜冷たい古典主義・シェフェール〜

The NATIONAL GALLERY, LONDON 
<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>

開催が延期されている<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>。
入手できる情報をもとに予習しながら一人で勝手に愉しんでいます!

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【第7章 イギリスにおけるフランス近代美術受容】ー French Modern Art in Britain ー

いよいよ最終章までやってきました。
公開されている展示室 第7章の画像(冒頭の写真)を見ると、壁はグレー。これまでと異なり展示作品の色彩だけが目に飛び込んできます。
ちなみに、ゴッホ『ひまわり』だけの別室が設けられているようです。

フランス近代美術 ”受容“ という言葉、意味深です。両国の歴史、宗教、文化そして地理的要因などから踏み出さなくてはならない壁があったということですね。よく知らないのが恥ずかしいのです…。

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展示作品すべてを楽しめるようにしたい!という思いから、特集雑誌やメディアであまり取り上げられていない作家やテーマについて投稿してきました。
そういう意味では ここで注目すべきは アリ・シェフェールでしょう(↓自画像・今回出展していません)。

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出展番号「52」アリ・シェフェール『ロバート・ホロンド夫人』(1851年)

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初めて名前を聞いた方も多いのではないでしょうか。私の手持ち図鑑にも名前が載っていませんでした。
(弟のアンリ・シェフェールも画家で、シャヴァンヌを教えたそうです!)
アリ・シェフェール(1795−1858年)はオランダ出身のフランスの画家です。ジェリコー、ドラクロワと同門になったこともありましたが、流行のロマン主義にはあまり関心がなく「冷たい古典主義」と呼ばれる独自の作風を展開したそうです。
「冷たい古典主義」ですか…。

出展作品は、フランス贔屓のイギリス人芸術愛好家の夫人が物思いにふける様子を描いたもの。抑え気味のトリコロール🇫🇷カラーをまとう夫人を 知的に倫理的に描いている作風は、アングル作品を思い起こさせます

シェフェールは ヴェルサイユ宮の「戦争の間」の壁画など 国家注文をこなし、大作を手がける歴史画家として国際的名声を得ました。しかし王族との強い結びつきもあってか、1848年のフランス第二共和政発足後にシェフェールの人気は失墜していきました😢。

実は、国立西洋美術館はシェフェールの作品を所蔵しているのです!わたくし、以前 観てます✌️。
『戦いの中、聖母の加護を願うギリシャの乙女たち』(1826年)

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当時 ヨーロッパ各国のギリシャ独立戦争に対する熱狂の頂点にあった時期に描かれた本作はサロンにも出展されたそうです。
1822年からオルレアン家の ルイ=フィリップの子供たちの美術教師を務めていたシェフェール。この作品は描かれるとすぐにオルレアン公ルイ=フィリップによって購入されたそうで、カンヴァスの裏面
     L.P.O.(Louis-Philippe d’Orleans)
イニシャルと王冠のマークが記されているそうです‼️ 興奮するのは私だけでしょうか😤

「対角線を用いたドラマティックな手法や明暗の強調、そしてドラクロワ風の暖色系の華麗な色彩を使い、画面全体を宝石箱のような美しさに仕上げている」(作品解説:高橋明也氏)
ふむふむ🤔。こちらはロマン主義の画家のような作風ですね。
初期はロマン主義のような作風…後期は新古典主義のような作風…🌀。

公開情報からは よくわかりませんが、会場では おそらくアングルの『アンジェリカを救うルッジェーロ』の近くに展示されているはず❗️(←希望的憶測)
アングル作品とシェフェールを この目で比べてみたいものです。

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     <その10・終わり>

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