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自然の恵みを臨む [天空回廊]

全く予期せず日帰り旅行に行くことってあるのですね。

以前から、
「せっかく関東に住んでいるのだから、一度は日光東照宮に行きたいねぇ」
と話していたのは確かです。
それを聞いた旦那さんのお友達・黒さん(仮名)が、
「私が車でお連れしますよ、明日!」と。
旅行好きの黒さんは、一人で全国鉄道の旅に出る強者。
「あら、ではお願いしましょうか」

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朝3時50分に我が家に迎えにきてくれた黒さん。
黒さんの隣・助手席に旦那さんが乗り込み、私は後部座席にドーーンっと陣取り、出発時からリラックス。行き先や道順、ご飯の段取りまで全て黒さんが決めてくれます。
「外せないのは、日光東照宮と天空回廊ですね。まだ小雨が降っているので、天空回廊は最後にしましょう。紅葉が始まっているのでちょっと散策コースも織り交ぜてご案内しますよ!」
素晴らしい。全てお任せします✨。

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佐野サービスエリアで軽食を摂り、まだ小雨降る[いろは坂]で
「いぃーー!」
「ろぉぉーー!!」
「はぁぁぁーーー!!!」
と叫んだ後にまず向かったのは[竜頭りゅうずノ滝]。
小雨と霧の朝7時、到着。

[男体山]の噴火によってできたという溶岩が作った階段状の岩場は、幅が10mほどもあります。その上を、なんとも大量の水が、猛スピードで流れ落ちていくではないですか!いやぁ〜。なんという迫力でしょうか。。。

橋の上から大量の水が流れていくのを見下ろし(写真・上)、遊歩道すぐ近くにある 階段上の渓流を猛スピードで流れる荒々しく迫力の光景(写真・中央)に、とにかくビックリ!。

「こんなに大量の水はどこからくるの?山に染み込んだ雨だけでこんなに大量の水がいつも湧き出すの?」黒さんに質問攻め。

「そうなんじゃないですか。。。この水、[中禅寺湖]に流れ込んでいるんですよ」
ほーーーっ。

そして滝の正面に到着(写真・下)。
うわーーっ、紅葉とのコントラストが美しい!。
滝つぼ近くが大きな岩によって二分され、その様子が竜の頭に似ていることから[竜頭ノ滝]。竜の頭と二本のヒゲなのでしょうか。
あのゴツゴツした溶岩でできた岩場は竜の背中だったのですね、納得。

そういえば8月に山梨県の[吐竜ノ滝]に行きました。岩場のあちこちから漏れ出る滝に激しさはなく、とても静かな景色でした。
きっと全国に “” と名前がついた滝があるのでしょうね。いろいろな竜を見るために全国を回るのも面白そうです。

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次に到着したのは[戦場ヶ原]。朝7時50分 小雨と霧。

草紅葉の[戦場ヶ原]

展望場所の目の前に広がるのは400ヘクタールの広大な面積を誇る湿原 ⁈
看板の説明を読むまで、そこが湿原であることに気がつきませんでした。
「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」と認められてラムサール条約に登録されているそうです。
かつて湖であったものが湿原化した場所で、整備された自然研究路を2時間ほどで歩けるハイキングコースもあるそうな。。。

[戦場ヶ原]の名前の由来は、
中禅寺湖をめぐって[男体山]の神様と[赤城山]の神様が争った「戦場」がココ!
という神話からきているそうです。神様の戦場って…面白い。
これは、[男体山]をバックに広大な湿原の中をハイキングができる時期にまた来るべし!ですね。

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次に向かったのは[湯ノ湖]。朝8時15分 小雨。
朝霧の中から現れた静かな湖が見えてきました。
あら、素敵なホテルが建っています。白樺と紅葉が美しい庭に囲まれた「KAMENOI  HOTEL」(亀の井ホテル 奥日光湯元)。
こんな場所に滞在して執筆活動に集中できたら、幻想的で美しい物語を書くことができそうです。これまでの人生で固執してきた全てのモノがいとも簡単に手放せそうな気がするから。。。
いつか 海の近くに住みたい!と思っていたのですが、訂正します。
「湖の近くに住みたい!」と車の中で宣言。

車を降りて、湖の近くを歩いてみました。
[湯ノ湖]は周囲約3kmで、湖岸にある散策路は1時間ほどで一周できるそうです。朝の散歩に最適ですね。
山々に囲まれた静かな湖面に移る紅葉と ゆっくり漂う霧が神秘的で、こころ清らかに湖岸に立っていたら湖の精に出会えそうです。

ふと我に返り 後ろを振り向くと、そろそろ先を急ぎたそうな男性陣。
では、次にいきましょう!
いつか「KAMENOI HOTEL」に泊まれますように。。。

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後部座席でウトウトしていたら、「着いたよー」と。9時20分。曇り。
そこは[日光白根山]。なんと群馬県⁈
「ちょっとロープウェイに乗って山に登りましょう!」

標高2,000mの山頂まで片道15分かけて一気に登ります。霧が晴れて現れたのは突然の虹。虹がすぐ眼下の木の根元から出ている(写真・上)ではないですか!こんな近くに虹を感じたのは初めてです。

大気に広がっていた霧が、空を覆う雲に巻き込まれるように上がっていく景色(写真・中)に息を呑みました。
山頂に到着。
そこは意外にも青空。冷たい風が吹く中、さらに高い山を目指す登山者の人たちを見守る鳥居がドーーンっと構えていました(写真・下)。
大きく息を吸い込むと、これまで嗅いだことのない霊気が体内に流れ込んできました。これが山の匂いなのですね。

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そしてやはり外せない[華厳の滝]へ移動。
97mの高さを毎分0.5トンの水量が落ちてくる滝は、圧巻。

大昔、この滝を発見した人は度肝を抜かれたことでしょう。自然の恵みと脅威を見せつけられた古代の人を想像すると涙が出そうになります。
かたや、写真や映像でこの絶景をインプットしている私たちは「マイナスイオン大量摂取!。しばらくは仕事頑張れるね」と呑気のんきに見学(笑)。

「この水はどこから湧いてくるの?」

「これは、中禅寺湖から流れているんです」と黒さん。

てことは、[竜頭の滝]→[中禅寺湖]→[華厳の滝]と続いているんだ。
「その先は?」

「その先は大谷川に流れて最後は海に出るんですよ。」黒さん。

わおぉーーっ。天の恵み、山、滝、湖、滝、川そして海が繋がってるぞ。凄い!

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そして、一度は行っておきたかった[日光東照宮]。

近場の駐車場は満車、満車でしたが、そこは手慣れた黒さん。少し離れた市営駐車場に車を停めて「いざ、東照宮へ!」。ふと気がつくとその駐車場はなんと[日光美術館]!

「美術館があるよ!」という私の声も聞こえないほど先に進んでいる男性陣。仕方ない、今回はあきらめます。

神橋しんきょう(写真・上)を横目にいよいよ社寺へ向かいます。
岩に彫り込まれた世界遺産のマーク(写真・下)が誇らしげです。

世界遺産、徳川家康がまつられた神社、豪華な建造物に漆や極彩色、そして動物たちがたくさん隠れてる。。。この程度の知識しかなかったのですが、とても楽しめました。

きっと知れば知るほど楽しめる場所に違いない!と思いつつ、見どころ満載な観光地で子供のように大はしゃぎして来ました。

青空に白い雲、豪華絢爛な建造物に圧倒されっぱなしでした。

避けて通ってきた日本史ですが、これから少しずつ勉強したいなぁ。。とちょっとだけ思うのでした。

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そして最後は、2013年にオープンしたという「霧降高原キスゲ平園地遊歩道」、通称:[天空回廊]
以前、どこかの駅のホームで[天空回廊] の看板を見て「行ってみたいねぇ」と軽い気持ちで話していました。

いえいえ…。とても軽い気持ちで行くところではありませんでした。
1,445段の階段が、空に向かって続いています。いつの間にか霧に包まれた高原は、「あとどのくらい登るのかしら?」と上を見上げても(写真・上)、「どれくらい登ってきたのかしら?」と下を振り返っても(写真・下)階段しか見えません。

きっと天気が良い日には高原の景色が楽しめるのでしょう…と想像する余力もありませんでした。
先頭は黒さん、その次に続く旦那さん。私はなんとか二人に置いていかれないようについて行くのですが。。。
途中、軽やかな足取りで私たちを抜き去っていく年配の男女。どんな肉体をしているの⁈

小休止の度に「最後まで昇っても霧で何も見えないかも…。ここで止める?」と何度提案しようと思ったことか。。。
しかし、こんなことで挫けてはいられません。体が悲鳴をあげて足が上がらなくなるまでは、頑張ろう!と。

到着しましたよ。一番上の展望台に。

私たちは雲の上、天空に到着したのですね。そしてこの景色。
山、滝、湖、川そして海へと続くこの世の中を自分の手で創造した、神にもなれる気持ちです(笑)。旅の最後にここに来られて幸せです。
しばらくの間三人とも、無口で展望台に仁王立ちしていました。
このあと1,445段の階段を下らなくてはならないことも忘れて。。。

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帰宅したのは22時。
18時間の日帰り旅行は、疲れも見せず運転し続け私たちを案内してくれた黒さんの行動力とパワーなしには実現しませんでした。

ありがとう、黒さん。

<終わり>

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