見出し画像

点描のフレーム

Agenda 2020 <3月・②>

『Temps gris, La Grande Jatte 』(1886−1888年)この作品は、手帳の表紙になっています。

画像6

先週に引き続き ジョルジュ・スーラ(1859−1891)、
今週の言葉がこちらです。
**********
« Le cadre est dans I’harmonie opposée à celle des tons des teintes et des lignes du tableau. »
**********

画像1

「Cadre」 … フレーム?
あらっ、そう言われて見れば、スーラの作品には独自のフレームが描かれているものがあります(↓絵の周囲をご覧ください)。

画像4


今週の絵、先週の『グランド・ジャット島の日曜日の午後』にもフレームが!

画像4

しかもフレーム部分にも 多彩色の点描が施されているではありませんか⁉️

画像6

これに関して書かれた論文(米村典子准教授・九州大学)を見つけたのでザックリ読みました。
スーラの描くフレームは、
▶︎接する画面の画像に合わせて色が変化している
▶︎スーラの点描技法が時期によって変化していったのに合わせて変化している
▶︎展示するために製作されたのではなく、制作過程に組み込まれ 重要な要素となっていたことがわかっている
そうです。ふむ🤔

これにより、
▶︎ 完成品を展示するときなどに、額縁で作品が隠れることがない(画家が定めた位置で確実に表象部分の限界が決定される)
▶︎ 額縁は 作品と、外の世界への空間の広がりをもたらす窓の役割を果たすのであるが、スーラは自らが描く平たいフレームによって外の世界への広がりをせき止め、奥行きに対抗する平面性を画面にもたらしている
との事。ふむふむ🧐
難しいですが、何となくわかるような気がします。

たまたま古本屋で見つけた本に、スーラが手紙(1890年8月28日付)の中でフレームについて触れた一文を見つけました❗️
(先週投稿部分の文章も見つけたので、前回の投稿に追記しておきます)
「フレームは、絵の色調、色相、線の調和に対立する」

言葉の真意そのものは理解できないのですが、フレームは作品の一部であり スーラの考えや思いが込められていたということ、ガッテンしました👌
絵画の新たな鑑賞術を教えてもらいました。

<おまけ>
先週からスーラのことを考えていました。
生い立ち、影響を受けた人、他の画家たちとの交流、新印象主義誕生の背景など何冊かの本で読みました。その中に自分が知っている知識や実際に触れたワードが出てくると嬉しいですね😊
・“アングルの弟子に師事”(スーラが模写したアングルの『アンジェリカ』)
・“アマン・ジャンと共同のアトリエを借りた”(スーラ『アマン・ジャンの肖像』)
・“その技法をサン・シュルピス聖堂 ドラクロワの壁画から学んだ”

画像3

この手帳を使うようになって、毎週一人の作家について考える機会を得ました。すぐに忘れてしまうことの方が多いのですが、楽しんでます。

                                    <終わり>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?