【法律事務所】最初の月5万の顧問先5社と契約するまでの実践

顧問先を増やして顧問料で経営を成り立たせようと考えている弁護士は多いと思います。顧問先の数や規模などはその弁護士のブランド価値にも大きく影響してきます。

ただ、現実は顧問先を持っている弁護士は6割を切っていて、登録5年未満の若手では約2割です(「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査報告書2020」自由と正義第72巻第8号(2021年))。

統計上の数値からすれば弁護士をやっていれば誰でも普通に顧問先を持てるわけではないようです。

顧問契約獲得のためのセミナーはいくつもありますが、〇年で○○件!みたいな超人ばかりなので、並みの営業力、マーケティング能力の弁護士にはなかなか現実的ではないかもしれません。

実感として、最初の5社くらい契約できれば、勝手やコツが分かってくるのと紹介のネットワークができてくるので、常人でもその後は年1~3社ずつくらいコツコツ増やせるのではないかと思います。私の顧問契約実績がだいたいこんな進捗状況です。

顧問先をたくさん持っている弁護士による顧問契約獲得のコツをまとめるとだいたい以下に集約されます。なお、ウェブマーケティング系は省きます。

・経営者の知り合いを増やす
・経営者との接触を増やす
・得意分野を作る
・キーマンのファンを作る
・営業の師匠をもつ(営業マンと良い関係を築く)

いろいろ自分が実践してきた中では、なんだかんだ経営者の知り合いを増やすことが一番重要で、これを意識・実践するようになれば3年で5社くらいは契約できるのではないかと思います。

1年じゃなくて3年ですよ。すごい人は1年でできるかもしれませんが、並みの弁護士では3年かかると思います。

たくさん顧問先を紹介してくれるキーマンは重要ですが、なかなか狙ってできるものではないので、運よく出会えればいいのかなと思います。

得意分野も弁護士が多い東京や大阪では必要かもしれませんが、地方だとパイが小さいので、あまり業種や分野を絞りすぎると危険です。

例えば、山形県でIT企業専門と打ち出したところで、どれだけの需要があるのかというところです。

地方であれば企業の仕事をよくやっているというだけで既にだいぶ尖っています。

このnoteでは、私が実践してきたもので、多くの弁護士が実践可能な3点について検討していきます。

営業の師匠をもつ(営業マンと良い関係を築く)

営業の師匠は紹介営業で結果出している人が対象になりますが、基本的には生命保険の営業マンになると思います。もっと具体的にいうと法人を営業対象としているプルデンシャルのCOT、TOTの方です。COT、TOTというのは要するにめちゃくちゃ保険手数料で稼いでる人に与えられる称号のようなものです。

プルデンシャルの営業マンの方とのコネを作っとくといいよというのは、若手弁護士で顧問先を多数持っている人は割と共通して言っています。有名なところでは笹原先生のnoteの記事が参考になるかと思います。

営業の師匠をもつ効果は2つあります。

1つは営業のイロハを学べるということ、2つ目はその人のコミュニティに入れることです。

ただ、1つ目の営業のイロハなんかはプルデンシャルや紹介営業で成功している人が書いた本を読めば十分だと思います。そこに書いてあるような知識を身に着けた上で、師匠となるような営業マンと出会い認めてもらうことが重要です。

大事なのが2つ目の営業の師匠の金持ちコミュニティに入れてもらうことです。

幸いなことに弁護士の肩書は世間的に非常に強力で、お金を持ってなくても肩書だけで営業マンの紹介を受けるという関門は突破することができます。

営業マンの顧客あるいは見込み顧客となった後、その営業マンのコミュニティに入れてもらえるかどうかは、ひとえに本人の人格が重要になってきます。

具体的にはこんなことが見られているのではないかと思います。

・貸し借りの概念を理解しているか
・空気を読めない言動をしないか
・お金に汚くないか
・対等な関係性が築けるか(相手を下にみたり、逆にへりくだりすぎたりしないか)

とりわけ営業が強い人や金持ちコミュニティの人たちは、貸し借りをすごい意識しています。これが理解できないとコミュニティからは基本的にははじき出されてしまいます。

特に営業マンの人に対して意識しておいた方がいいこととしては、まず弁護士というのはよほどの人以外あまり金を持っておらず営業対象としては微妙だということです。

これは普段チヤホヤされがちな弁護士には辛い事実ですが、彼らにとっては本来価値が低い存在であることをよく理解しておかなければなりません。そのため、人として好かれるか、使い勝手の良い存在になるのが重要になってきます。

具体的な行動としては、以下のように落とし込んでいくのが重要です。

・人(仕事じゃないよ)の紹介を受けたら借りだと認識してきちんとお礼を言う
→できれば紹介で返す。営業マンからすれば何人か自分から紹介しても手ごたえ(返礼)がなければフェードアウトという感じになることでしょう
・おごられたら、別の機会におごり返す
→おごりを頑なに拒否する必要はないが、高額契約は期待できないのに金もかかるとなると関係を継続しづらい
・高い敬意をもって接する
→士業の人はだいたい営業マンを下に見ていてこれができていない。逆にいうとこれが最大の好機。
・誘われたらなるべく断らない
→急な誘いほど大事。食事やゴルフのメンバーの穴を埋めてくれる使い勝手のよさは営業マンにとって貴重な存在

あとはその営業マンの上顧客と仲良くしておくのもポイントです。すると営業マンの上顧客とのイベントに参加させてもらえるようになります。

コミュニティに入れちゃえば、あとはその営業マンの力で関係値の高い経営者の知り合いが勝手に増えていきます。

経営者の知り合いを増やす

経営者に知られていなければ顧問先は増えません。まずは経営者の知り合いを増やすことが重要になります。

経営者の知り合い方としては、紹介を含め、現在の仕事関係のルートとプライベートのルートがあります。

仕事関係のルートでの経営者の知り合いを増やすには、企業の顧客が多い事務所に所属するのが手っ取り早いです。

それが無理なら、企業の顧客が多い弁護士と共同受任関係を築けるようにするのが有効です。

私の場合は、即独でしたので後者でした。

といっても、そんな共同受任関係なんてどうやって作るのよ!?って疑問が大半だと思います。

ここは一番勇気がいるのですが、もう率直にお願いするしかないです。割と重鎮の先生って頼られるのに悪い気はしない人が多いので、成功率は高いと思います。

全く知らない先生に連絡するっていうのはさすがに無理なので、ロースクールの先生、修習でお世話になった先生、研修会等の先生、委員会の先生等、なにかしか自分のことを知ってくれてる先生にお願いすることになります。全くいない場合は、委員会や研修会等に参加するしかないでしょう。

その後良い関係を築けるかは、本人の事件処理能力の問題になると思います。よければリピーターとなってもらえたり、大きく難しい事件が降ってくるようになります。

その大きく難しい事件がキーマンと知り合うチャンスでもあります。

次にプライベートでも経営者と知り合う機会を持つことも重要です。

これはもう端的に経営者のいる場に行くのが手っ取り早いです。

ゴルフなどの金持ちが多い趣味の場でいいと思いますが、趣味が特にないという人はJCなどの経営者団体に3年ほど入っておくのが手っ取り早いと思います。

私の場合は、JCなどはめんどくさいので入っておらず、ゴルフや食事会が主な出会いの場となっています。

経営者との接触を増やす

せっかく知り合えた経営者でも、ただ名刺交換しただけではまず依頼はきません。

定期的に接触を続けて、1~3年後くらいに初めて紹介や依頼がくるのが普通です。JCなどの経営者団体ならなら定期的に接触することになるので、この辺りは楽かもしれませんが、昨今では同じ団体に弁護士が何人もいることが多いので、その中でより良い関係を築く必要があります。

まずSNSでつながっておくのは効果があります。実際に会う必要もありませんのでコスパもいいかもしれません。

Facebookでつながっておけば、突然相談の連絡が来ることがありますので、自分から積極的に友達申請メッセージを送っておくのがよいでしょう。

また古いやり方としては年賀状も効果的です。なんだかんだ読んでるものなので、一言メッセージを書いておけば、思い出してもらえることでしょう。

あと定期的に接触を増やすチャンスはゴルフや食事会です。

ゴルフや食事会ってまあまあメンバーに空きが出るものなので、ゴルフや美味しいもの大好きです、いつでも行きますよ!という雰囲気を醸し出していればよく誘われるようになります。

また、自分から会を開催するのも重要です。なかなか取れないゴルフ場や予約が取れないレストランなどを押さえられれば、それだけで参加者に十分メリットがあります。

自分からは誘い辛いということであれば、営業マンの師匠に頼ればよいです。会を開くこと自体は営業マンとWinWinの関係になれますし、どこどこのゴルフ場やレストランに行きたいという経営者が出てきたとき、営業マンが「それなら○○さんに聞いてみるよ」という宣伝をしてくれるようになります。

あとは御用聞きのように会社訪問をさせてもらうという手法もあるようですが、私はそこまでストイックにできていません。

冗談や社交辞令などで「うちの顧問弁護士もよろしくお願いします。」と言われた際などに、「じゃあ今度挨拶しに行きます!」などといってアポを取り付けることくらいしかやってません。

贈り物は効果ある

相手と良い関係を築くのに古今東西行われてきた風習は贈り物です。これははっきし言ってめちゃくちゃ効果があります。

やらしいのでは?と思う人も多いと思いますが、物を貰って悪い気がするという人は珍しいでしょう。

贈り物は高いものでなくてかまいません。相手を想ったセンスがあるものがよいです。

例えば、相手がお菓子が好きな人なら、地域限定や何時間も並ばないと買えないお菓子とかなんかがいいのではないかと思います。

時間がかかるものやなかなか手に入りにくいものというのがポイントです。

相手の誕生日や会社のお祝い事(移転、〇周年、社長就任)等の際にさりげなく渡すのがよいです。

まとめ

こんな感じで3年くらい意識、実行していけばチラホラ顧問先ができてくるのではないかと思います。

とにかく大事なのは出会いなので、そのチャンスを見逃さないことです。

最初のうちはなかなか厳しいですが、ある程度実績ができてくると、向こうがむしろこの弁護士と知り合えてラッキーくらいのモードになり、後は楽になります。

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