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お客さまと会える月曜日が待ち遠しい、77歳のリーダークルー小林さん

全国にあるローソンのオーナーさん・クルーさんに、マチの魅力とご自身との関わりをインタビューする企画「#マチのほっとステーションをつくるひと」。
 
第2回目は【ローソン 四谷左門町店(東京)】のリーダークルー、小林美津子(こばやしみつこ)さん(77歳)にインタビュー。小林さんにとってのマチの人々の魅力を伺いました。


生まれて初めて書いた履歴書でローソンに。朝8時~16時まで週5日勤務のエネルギーの源はお客さまとの会話

小林さんは、どうしてこの四谷左門町店で勤務され始めたのですか?お住まいが近いのですか?
 
 もう20年以上前ですかね、叔母がお店をやっていてそこでレジに入っていたのですが、叔母がそのお店を辞める時に、家に篭ろうかなんて思っていて。そのお店で親しくなったお客さまにそれをお話ししたら、「ダメよ、家に入ったら中々会えないから」って言われて、そのお店の近くにあったローソンを紹介していただいたのが始まりですね。その方は、ローソンで働いている方ではなかったのですが(笑)。

なぜ紹介してくださったんですかね?不思議ですね(笑)。
 
 その方が店長と親しかったのか、私も存じませんが…。とにかく、「ローソンがあるから行ってみなさい」と言われまして(笑)。生まれて初めて履歴書を書いて、面接を受けに行きました。
そこで4年程働いていたところ、同じ支店のマネジャーから「四谷左門町店で中心になって働ける人がいないから、来てくれないか」と言われてここ(四谷左門町店)に来ました。

本当に不思議なご縁ですね、それまで四ツ谷にいらっしゃったことはありましたか?
 
 全然(笑)。ちなみに住んでいる場所も全然遠くで。私が住んでいるのは上尾なんですよ、埼玉県の上尾市。

え!?上尾から通われているのですか?
 
 そうなんです。月曜日から金曜日まで、ほとんど毎日来ています。電車で40分くらいです。朝の8時に出勤して、今は夕方の16時まで。知っている人が多い地元ではなく、知らない人が多い場所が良いと思って。それでここに通っているんです(笑)。

知らない人とお話しされるのが好きなんですね。
 
 そうですね。もちろん話しかけるのは、周りにお客さま様がいない時になりますが。ぺちゃくちゃ喋ってばかりと思われるのも良くないので(笑)。
でも、お話しする時間がありそうな時は、最初は「よくいらしてくれますね」と声をかけて、それから色んなことを。そのうち、「どちらから?」とか。


孫よりも若い仲間から「美津子さん」と呼ばれています。みんな素直でいい子ばかり

四谷左門町店はどんなお客さまが多いですか?
 
 会社がいっぱいあるので、そこにお勤めの方がたくさんいらっしゃいます。近くに大きな旅行会社さんがあって、そこの方が非常に多いですね。お昼はほとんど来てくださいます。
出張の多い会社さんですから、大きなスーツケースを持っていらっしゃることもあるんですね。そういう時に、「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」だけではなく、「気をつけていっていらしてくださいね」とか一言添えて。そこからお客さまと会話することも多いですね。

 そのうち、親しくさせていただけるようになってくると、「今日はどちらへいくの?」って伺ったりもして。そうすると、九州だったり、北海道だったり。出張後にお店に顔を出してくれて「小林さん、お土産を買って来たから二、三個あげる」って置いてくれたりすることもあるんですよ(笑)。
 
 ご近所にお住まいの方もいらっしゃいます。お店の裏の方に住宅がありますから。定年になられてから、毎日奥様の代わりにお買い物にお見えになるご主人がいらっしゃるんですが、、週に3回はお店にいらっしゃって、「小林さん元気かい」って言って下さって。嬉しいですね。

印象に残っている、お客さまのお買い物はありますか?
 
 会社の方が多いとお話しましたけど、まとめ買いをされるお客さまがたまにいらっしゃいますね。シュークリームを20個も買っていかれる方がいたりすると、会社で何かあるのかしら?って思って、その時には「頑張ってくださいね」とお気持ちをお伝えしたり。

 この間、一番小さいスナック菓子を50個くらい買っていかれた方がいらっしゃって。「何かあるんですか?」ってお聞きしたら、「いつも一生懸命若い子が頑張っているから、自腹で配るんだ」って仰って。お買い物していただけるのも嬉しいのですが、そういったお話しをしていただけるのも嬉しいですね。次にいらっしゃった時に、「先日はどうもありがとうございました」って必ずお礼を言いますね。
 
 そうそう、お客さまからはスイーツの評判がすごくいいんですよ。だから、新しい商品が入ると、自分で食べて。「おいしかったから、ちょっと食べてみて。」といっておすすめしますね。そうすると、お買い物されたお客さまがまた何日かしていらっしゃって、「この間のやっぱりおいしかった」って、「お友達にあげるからまた買いに来た」ってね。「おいしかったからみんなにあげたのに、その次の週来たらもうなくなっていた」なんて笑いながらお話しされるお客さまもいて(笑)。
 
 私からではなく、お客さまからおすすめされることもありますね。レジに持っていらっしゃった時に「小林さん、これおいしいので食べてみて」って。逆ですよね(笑)。でも、それでまた食べてみて、おいしくて他のお客さまにおすすめしたりして。

そうやって話しかけてくださるお客さまがいらっしゃるのもすごいですね。小林さんは、なんでもお話しできるような感じなんですかね?マチのお母さんみたい。
 
 私はもう年齢的に、さっきも言ったように、なんでも話しちゃう方ですから(笑)。でも、私が来てから「お店がアットホームであたたかい」お客さまからそう言われるようになりましたね。すごく声がかけやすくなったと。「ここはあたたかくて、みんな親切よ」って言ってくださると、こちらもやりがいがあるなって。

 このお店(四谷左門町店)は、店長が1年ごとに変わるんですよ。ご異動で。やっぱり違うお店だと雰囲気も違うらしくて、でも、お店独自の雰囲気っていうのもあるでしょ。だから、新しく来た店長も、自然とそれに染まっていきますね。孫よりも若い人たちばかりだけど、みんな素直でいい子ばっかりで、私が何か教えてもすごく素直に聞いてくれて。嬉しくなっちゃう。

取材の数日前に赴任した新任店長(左)と小林さん

お店では「小林さん」ではなく「美津子さん」って呼ばれていらっしゃるとか…。
 
 お店に男の子に小林って苗字の子がいるんです、その前は小林が3人くらいいたときもあったんけどね。その男の子と親子ですかって言われることもあるのよ(笑)。それで、それで少し前の店長から、「美津子さん」って呼ばれはじめて。知らない間に、それが新しい店長でも引き継がれているうちに、お店のみなさんが美津子さんって呼んでくださるようになって。


店内もお店の外も見渡せる場所がレジの定位置。私を見つけて入ってくださるお客さまも。お客さまともっともっとお話ししたい

同じお店の人にも慕われているのですね。小林さんのルーティンみたいなものはあるのですか?
 
 先程お話しをしましたけど、私は月曜から金曜まで、毎朝8時に出勤しているんですが、電車の中で色々と楽しみにしていますね。特におやすみ明けの月曜日は特に。1週間、あの人とどんな話をしようかなとか、あの人がどこかへ行っているはずだよなとかを思いながら、朝電車に乗ってくるんですよ。そうするとあっという間ですね。
 
 それと、レジに私の定位置があります、3つあるレジの一番真ん中(笑)。タバコを買われるお客さまにすぐに届けられるし、一番広いので動きやすいです。お店の中の様子もよく見えますし、お店の外のお客さまにもすぐに気が付くことができます。ああ、あの方がお店の前を通ったなとか。なので、お店の外から私を見つけて、入ってくださるお客さまもいらっしゃって嬉しいですね。
 
 逆に、その場所にいないとお店に違和感があるみたいで、数日休むと「今日小林さんどうしたの?」って心配して言ってくださるらしいんですね。「今日はどうしたんだよ?」って他のクルーに聞いてこられることもあるとか。そういう時、休みが明けると、他のクルーから「お客さまが心配していましたよ」って言われます(笑)。

お店の中の様子、お客さまのこともよく見られているんですね。
 
 そうですね、コンビニって限られたスペースでしょう。だから、見渡せるということもあるかもしれません。正直、ローソンで働くまで、コンビニって入ったことがなかったんです。それまではスーパーしか使ったことがなくて。
 
 入る前までは、コンビニってすごく事務的な場所だと思っていたんですよね。スッと来て、必要なものだけ買って、サッと帰るといいますか。でも、実際に入ってみると、商品をおすすめしたり、お客さまと親しくなる機会がすごく多いなと思いました。
 
 自宅近くのスーパーも利用するのですが、すごく色んな従業員の方がいらっしゃるから、そこまで親しくはなれないですね。私みたいに声をかけてくださる従業員さんはいないですし、そこによく買い物に行っていても、「こんにちは」とか、そういうことはあまりないですね。
 
 コンビニのこのサイズだからこそ、迷われているお客さまを見つけやすいですね。長くやっているから分かるんですね。うろうろされている方を見ると、なにか探しているし、困っているなというのが。他のお客さまがいなくなったら、すぐに「何かお困りですか」って声をかけます。そうすると、「こういうのもないかしら?」とか、そういう会話はコンビニならではだと思います。私は年の功でどんなことでもズケズケと聞けるというのもあるのかもしれないですけど(笑)。

最後に、今後このマチで小林さんがやりたいことを教えてください。
 
 以前は「ギネスブックに載るまで努める」なんて言ってたこともありましたけれど、喜寿の節目も迎えましたし、あと一年くらいですかね(笑)。でも、結局は辞めろって言われるまで働くと思います(笑)。このお店に通っていただいているお客さまと、もっともっとお話ししたいので。

小林さん、ありがとうございました。