怪文詩(2022/06/13)

たまには詩を書いてみます。

「砂場の山」

いつからか、砂場に山が作られた。
毎日砂を掬っては、その山の天辺にかけている。
山の下まで転げ落ちる砂があっても、
山は次第に高くなっていく。
時には雨に溶かされたり、風に飛ばされたりもする。
それでも毎日、砂の山を盛る。
いつかその山が、平らになると知っているのに、
それでも毎日、私は砂の山を盛る。

その山の頂上からは何が見えるだろうか。
他の山に何を思うだろうか。
崇高な山、崩れかけた山、丘と見まがう山。
形を真似るか、自分の山を追い求めるか。
よそ見をしている内に、山は小さくなっている。
何故私はこんな山など作っているのだろうか。
考えている内に、山は小さくなっている。
まだその理由すらも知らないのに、
また今日も、私は砂の山を盛る。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?