小論文解答例(平成12年度京都大学法学部3年次編入試験)

AとBを読んで比較、検討せよ。

人権と民主主義の概念は歴史的に欧米諸国のみが育むことに成功した、概念である。これらは普遍的に価値を持つ概念であり、アジア、アフリカ諸国でも実現されなければならない。よって、これらの実現に失敗している途上国に先進諸国が介入し、人権と民主主義が確立するよう指導することは当然の義務である。

人権や民主主義は欧米諸国で発達した特殊な観念であり、これらをアジア、アフリカ諸国の発展途上国にそのまま適用することは間違っている。アジア、アフリカ諸国の独自の文化に根ざした価値の実現を、人権と民主主義の観念の確立に、優先させる権利を認めるべきである。

平成12年度京都大学法学部第3年次編入試験

解答例

◯はじめに

 人権や民主主義は、国連が重きを置いている価値であることや、我が国を含む先進諸国においても、憲法に明記されるなどし、その価値は非常に重視されている。人権や民主主義といった概念は普遍的であるかのように語られることが多い。しかしながら、これらの概念はあくまで西欧諸国に由来するものであり、普遍的であるとすることは傲慢であるという批判もある。以下、AとBの見解について、その特徴を整理し、比較した上で、若干の考察をしたい。

ここから先は

1,571字
この記事のみ ¥ 580

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?