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#KAQRIYOTERROR 前衛主義LABoratory 3,0 20201101@下北沢MOSAiC

今年の三月頃からコロナ禍に世界が見舞われ、しばらくライブハウスに行けない月日が続いた。やがてYoutube配信などを通じて自宅に居ながらライブの空気を疑似体験し、なぜか物販には以前と同じようにお金を費やすようになってしまっていた。

僕自身はこのコロナ禍であっても不幸中の幸いにして仕事にはありつけていた。一方ライブハウスやミュージシャンはこの自粛の中みんな苦しんでいた。
それに比べたら僕の苦しみなんて苦しみのうちではないだろう。
そんなライブのできない期間、彼らは来たるべき日のために創作活動やレコーディングを精力的におこないながらもがいていたことだろう。
毎週のように自宅に届く通販の封筒に母親は「また買ったの?」と呆れながら、「でも歌手の人たちって、今コンサートできなくて大変みたいだしね」と理解してくれているのには感謝している。

そうしていよいよ出来上がった新曲を彼女たちは配信ライブで披露し、僕はその新曲を通販で購入し、郵送されて開封したその作品には、直筆のメッセージが添えられていた。そして僕もまた、同じCDは何枚も要らないのが本来の姿だけど、それでも彼女たちの気持ちに応えたい、そして彼女たちからのメッセージだって欲しい。そんなWin-winな気持ちで買うことによって彼女たちが活動し続けられればいいと思ってた。

そして届いたKAQRIYOTERRORのシングル「BWG」の歌詞カードには、それほどライブたくさん行ってなくて話した機会も数える程の僕に対しても、僕のこと思い出しながらたくさん書いてくれてたんだなという様子が伝わってきたのが嬉しくて、そしてこの作品をたくさん聴いてほしいという気持ちに応えたいと思った。もちろんその音楽自体が僕は好きなので、例え頼まれなくても聴くけど。
それが嬉しかったのでアルバム「アヴァンギャルド0チテン」でも歌詞カードにメッセージを書いてもらった。

そして発表された東名阪ツアー、題して「前衛主義LABoratory 3,0」。
僕のハンドルネームとかぶってるのに惹かれたこともあり、気づいたらチケットを注文していた。
しかしここ最近はつれづれのライブさえ行けない日々が続いてたので、もしも他の予定が被ってしまったらキャンセルするかもしれないという気持ちもあった。
しかし数週間経ってコンビニで発券したらその整理番号があまりにも良かったので、これは行くしかないと思った。

早めに下北沢に着いたので喫茶店や模型屋さんをぶらぶらしていた。開場時刻が近づいたのでライブハウスに着いたら、つれづれやコドメンまつりでも会う群青でもありYOMIBITOでもある仲間たちから「なんでいるんですか!?」と訊ねられた。
そう言われるのも無理ないなw

つれづれのライブでも度々会う仲間が「らぼさんのような群青が今日来てくれてうれしいよ」と言ってくれた。
彼は幽世の頃からKAQRIYOを中心に観てきたYOMIBITOさんで、今までの幽世そしてKAQRIYOに変わってからの苦難も共に過ごしてきた人だから、今こうしてKAQRIYOが成長して多くの人たちに観に来てもらえるのを、まるで自分のことかのように喜んでいた。

僕もまた逆の立場として、いつもKAQRIYO中心のYOMIBITOさんがつれづれのライブを観に来てくれることは自分のことのように嬉しい。
って僕は群青ヅラ下げてて良いのだろうかという疑念もあるのだが。

久しぶりにスタッフの伊津さんに会えて伊津さん元気そうでよかった。
搬入などで忙しそうにしていた高木さんも僕の姿を見つけて「来てくれたんだ、よろしくね」という意味であろう目配せをしてくれた。
今回のチケットは運営に直接メールを送るのではなくプレイガイドでの予約購入だったから、誰が来るか運営側は当日まで分からなかったのだろう。

そして最前列のゼロポジションを有り難く頂戴し開演を待つ。
KAQRIYOのジャパネスクなSEが流れ最初に涙丸が登場しステージ後方のDJブースでトラックを始めると、他のメンバーも揃い、一曲目「BWG」で始まる。
なんちゃらソーシャルでステージから1m後方に最前列のボーダーラインが引かれているものの、アクリル板も最前柵もない下北沢MOSAiCの最前列はものすごい迫力だ。
そういえばここMOSAiCでは、昨年の5月にCyber minkさんも出演してたコドメンまつりの時も最前列から観てたのを思い出す。
一曲目が始まるやいなや心鞠と目が合った。涙丸が「珍しい人が来てくれた」みたいな一瞬驚いた表情をしてたのも印象的だった。

続いて「うすうす」。KAQRIYOの今回のアルバムの曲は以前よりもクラブミュージック色が濃く、メタル・ハードコア要素は比較的薄めであるが、ライブハウスの大音量でリズムに揺られていると、こんなジャンルも悪くないと思えるのだ。別に嫌いではないけど聴きたいTPOってあるじゃん。
そして続く「だいいんぐあかさたな」や「摩訶不思議イズム」はモッシュやヘドバンよりも、ヘタクソなりに振り付けをゆる~い感じに真似したり、季の「うたのおねえさん」感に癒しを感じたり。
アルバムで聴いてたメンバーのパート割りを最前列で確認して新たな発見をしたり、今こうしてレポを綴りながらアルバムを聴いてると、昨夜の姿が再び甦ったり、アルバムをより愛着深いものにしてくれるのである。

そしてアルバムのリード曲の「Avant-gardE」。
イントロがジリジリと始まり高揚感が昂る。
これはもはや、スラッシュ四天王という枠に留まらぬ個性のオルタナティブになって以降のメタリカのようなヘヴィネス・スピーディネスにも通ずるところがあるとても好きな曲。ノアから涙丸へと続くシャウトがかっこいい。
心鞠と季がこのツアーに賭ける意気込みを挨拶がわりに、「かごめかごめ」で疾走し続ける。
最前列でモッシュに巻き込まれることもなくじっくり観ていると途中のウイスパーパートだったりヘドバン用パートだったり、改めてこの秒数にしては短い曲にギュッと詰められたミクスチュアルに息を呑まされる。

アルバムに収録されてる「Human fly」はどこか脱力していてメロディーも間延びして聴こえるけど、ライブで観るこの曲はメンバーの振り付けや目線などをじっくり堪能できて、このライブハウスならではの低音の圧の高さが心地よい。
心鞠と涙丸が互いのおっぱいを比べてちちくり合ってるところなんか、もうキャーッって感じでした。

アルバムではここからテンポの軽快なSOSとつながるのが好きだが今回は「TEKITWO」と、やはりクラブミュージックが続くのであったが、その緩やかなリズムの中にあって振り付けがなかなか激しくて、DKIが長い手足を振り回してるのがとても迫力あった。
現在のKAQRIYOはDKIと心鞠が、心鞠と涙丸が、ノアと季が対照的だったり、大きさも色彩も凸凹でサイケな程の極彩色なグループであって、どうしてもそういう場に於いて大きな人は猫背になりがちだが、こんなふうに大胆に画面からはみ出るくらいがかっこいいなと思った。
僕の個人的イメージだけど、KAQRIYOTERRORの凸凹感が生み出す妙に「サイボーグ009」のような頼もしさを最近感じるようになった。

とここまで多幸感の続くライブであったが、「Like a fake」が始まると雰囲気は一転し5人の顔つきもシリアスに変わる。
そしてその歌詞だったり、ノアの影のある佇まいだったりが叙情を誘う。
それは、ダサくてキモくてカッコ悪くて惨めな僕自身に語りかけるようだった。それでも不器用ながらまっとうでない世界でもがいている、本当にまっとうでないのは僕なのだろうけど、そんな僕に対してもここに居場所を与えてくれたことに感謝している。
君も僕も不器用だけど、それでも此処にいる。
そう語りかけてくれているように映った。

そんなふうに感極まる涙腺のいく先を掻き消すように「アイデンティティークライシス」の激しいイントロが流れる。メンバーの舐め回すような狂気に満ちた目線が堪らない。と感じていたら突如としてトラックは「Hide and Seek」に切り替わり翻弄される。
DJを採り入れて以来のKAQRIYOのライブを生で観るのは初めてだったけど、こういうライブならではの展開は僕はとても好きだ。

幽世からKAQRIYOに変わり「Original Satire」の間奏が長くなり、またコドメンのDJ配信の経験を通じてその構想が進化し続けてして今があるのだろうが、今後メンバーの機材の使いこなしも上達し続けてライブは更に変化に富んだ一夜限りのものであることを、より深く実感させてくれるものになるだろう。

今回のツアーは東名阪の3ヵ所のみで僕が行けるのはこの下北沢だけなので、まさに一夜限りになるのだろうが、こうしてセトリやその時々の彼女たちの姿を記憶に残したくて、彼女たちがより進化したとき、ふとこの日のことも思い出せたらなと思い、最前列の有り難みを誰かにお裾分けしなきゃという気持ちも含めて綴っている。

Hide and Seekからアイデンティティークライシスに戻って締めて次の曲に進もうとしたところ、音源が止まってしまった。しかしメンバーはそれに怯むことなくMCで場を繋ごうとする。練習を積んだら積んだだけ焦る気持ちもあるだろう。しかしそこはYOMIBITOたちもよく分かっててあたたかな目で見守っている。

ライブは演者側が提供するものであると共に演者と観客とで作っていくものだと改めて思った。

やがて流れた音源の冒頭がですぐには把握できなかったが、これは「ユビキリゲンマン」だ。ユビキリ好きだからフルで聴きたかった気持ちもあるけど、また次のライブに期待しよう。

Persona_」がのイントロが始まるとセンターに立つ心鞠がより威風堂々として大きく映った。
歌詞にある「いっそ今、灰になれ」「夢の残滓」「僕はいらない」などが僕の胸に刺さる。
KAQRIYOに来てまで僕はこんな気持ちにならなければならないのだろうか、いやその気持ちを抱え続けているからこそ、僕はこの「非日常」に居るのだ。

──深夜に聴くのがオススメ──
こう言うイメージも確かに解る。
眠れぬ夜というものが懐かしい。
そんな夜にこそ響いてくる歌というのがあることは経験から知っているし、総じてアーティストの夜は深く朝は遅い。何故だか分からんけど本来の人間の体内時計に逆らうと創作が生まれるのだろうか。僕もそんな風に音楽を楽しみたかった。
だけどその音楽に触れて楽しむために、僕は灰になることを自ら選んで生きているのだから。今の僕は、まさに灰になる様に寝潰れ、夜明け前にアラームで自ら叩き起きる日常を過ごしている。耳だけに快感を与えながらJRに揺られて終わる日々なんて、本音を言えばFxxKだ。
だけどFxxKin'な日々にこの夜の記憶を思い描いて再び君たちに会える日を待ちながら死に者狂いで生き延びるよ。

The forbidden masturbating」のイントロのビンタでそんな僕のくだらねえセンチメンタリズムをブッ飛ばしてきた。涙丸の叩き付けるような歌声に、かつて「WORLD END CRISIS」でインパクトを叩き付けてきたあの子のことをふと思い出したり。
そんなあの子だって歌の中では今も生き続けているし、かつてここにいた彼女だって今は「狂せよつれづれに 逝き未来はゆくえしれず」と歌っている。
そんな数々の命たちが、まるで散り飛んでいった種がどこかで芽を吹き花を咲かせるが如く生きている。それが「常世」であり「隠世」であり、「幽世」「KAQRIYO」なのだろう。
今まで何度かKAQRIYOのライブを観たけど、ワンマンフルサイズで観たのは数えるほどしかないが、楽曲も歌もパフォーマンスも、様々な表情にあふれているとても満足感のある夜だった。

5人が横一列に並んでカーテンコールのように「ありがとうございました!」と挨拶して袖へ捌けていった。


しかしフロアの照明は明るくなりそうにない。
そういえば、あの曲もあの曲も観たかったな…
腕に書いたセトリから消去法で導こうにも、フロアは真っ暗なままで腕が見えない。
しばしの静寂のあと、どこからかアンコールの拍手が鳴り始める。もちろんこのご時世だからアンコールの声は出せない。時折その拍手は車のダッシュボードに置いたまま暑さで伸びてしまったカセットテープのようにテンポを崩すものの、次第にタイトなリズムに合わさって刻み続けていた。

メンバーが出てきて拍手が沸き起こり、5人がそれぞれのフォーメーションに立つと「SOS」が始まった。
この曲はどこか80'sニューウェーヴを彷彿とさせる比較的ユルめの曲なはずなのに、何故か激しい予感とどよめきが沸き起こる不思議な曲だ。僕もギターコピーしたほど好きな曲でもある。
そうそう、この曲聴きたかったんだよ。
そして"小島よしお"こと「Original Satire」。幽世からの定番曲なので振り付けから何から楽しいがたくさん詰まっている。間奏でのノアのMCが更に熱くさせてくれる。この時間がまだまだ続けばいいのに。
そしてこのメンバーでの初のシングル「lilithpride」が流れるとやはり気が引き締まる。最後にみんなでジャンプを続けて気持ちのいいアンコールでした。
そして再び「ありがとうございました!」と言ってステージを後にした。

あのステージから捌けるときの最後の一人って、フロアの観客に向かって名残惜しそうにもう一度、もう二度手を振って目線はフロアに向けたままだから、楽屋への段差で躓きそうになったりめくり落ちたカーテンが顔に被さったり、ドジっ子な一面を覗かせたりするよね。(ライブあるある)
季がそれだった。

#KAQRIYOTERROR 前衛主義LABoratory 3,0 @下北沢MOSAiC

1.BWG
2.うすうす
3.だいいんぐあかさたな
4.摩訶不思議イズム
5.Avant-gardE
(MC: 心鞠・季)
6.かごめかごめ
7.Human fly
8.TEKITWO
9. Like a fake
10.アイデンティティークライシス→
11.Hide and Seek→アイデンティティ
(MC)
12.ユビキリゲンマン
13.Persona_
14.The forbidden masturbating

encore
15. SOS
16.Original Satire
17.lilithpride

特典会はいつも何話そうかなとか考えながら遅めに並ぶことが多いけど、今回はあまり考えずに早めに並んだ。
通常の特典会だったら一人ずつの方がゆっくり話せるだろうけど、このご時世でループはできないので、一人一人忙しくなっちゃうだろう、でもやっぱり全員と話がしたい。全員とそれぞれ2チェキ撮ってコメント書いてもらうことにした。またしても伊津さんに泣き付かれてチェキくじも追加で購入した。


僕はチェキくじそのものに加え、チェキくじを通じて「○○持ってたら交換したい」、「○○たくさん当たったので書い取りませんか?」などと声を掛けられたりするのもまたひとつの楽しみだと思ってるし、前物販で購入してメンバーの目の前で即開封してメンバーから「それかわいい!ちょうだいー!」とせびられるのもまた楽しい。
(鴨とか言うな)
なので通販よりは現場で買う方がいいし、そしてまた前物販が復活できる日を待っている。

僕が並んでる間、少し空き時間のできたすももがこっち見てキモいポーズで変顔してくる。さっきのかっこいい季はどこ行ったんだよ…。

いよいよ僕の順番になって一人ずつ撮ってもらったけど、このまとまった慌ただしさは囲みチェキに通じるものがある。でもそれぞれお話もできたしコメント書いてもらえので嬉しかった。
KAQRIYOを生で観るのはHareトQueツアーファイナルの8月9日のチェルシーホテル以来でその時はまだ特典会は無かった。遡れば1月10日の涙丸の復活祭以来の彼女たちとの対面だったけど、みんな僕のこと覚えててくれて嬉しかった。
みんなとツアータイトルのことや腕のセトリの話などをした。

最後にノアと話した。
配信リリイベの時に歌詞カードにメッセージを書いてもらって嬉しかったことを伝えたら、らぼさんが買ってくれたことが嬉しかったから書いた。と言ってくれた。
"嬉しかったの応酬"である。

歌を通じて喜びや悲しみを伝えること、それが伝わること、そしてその歌を作品として売ること・買うことを通じて嬉しいと嬉しいが交わる──そんな当たり前だと麻痺して見過ごしがちなことを、改めて確かめ合えたことが有り難く、嬉しかった。

またいつかライブで嬉しいを伝え合えたらいいな。
メンタルはお腹一杯だったけど、フィジカルではお腹が空いたので、前回下北沢に来たとき開いてなかった「中華そば こてつ」でラーメンŧ‹"(๑´ڡ`๑)ŧ‹"して帰りました。


帰りの電車でこのレポを綴りながら眠ってしまい、三浦海岸まで乗り過ごしちゃいました。
楽しかったです。
ありがとう。

次また会えるのはいつになるか分からないけど、分からないからこそ、ひとつひとつのライブをこれからも大切にしてほしいと思った。
でも必ずまた会いに行くから待っててね。

2020.11.3.
らぼーちきん

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