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脳と森から学ぶ日本の未来

アロマテラピーの恩師から勧められた本です。著者の稲本正さんは物理学者ですが、恩師とともに日本産アロマの研究をなさっています。

物理、生物、歴史、文学と内容が広いですが、社会学的な内容は少し欠けているかもしれません。日本の若者の死因のトップが自死であること抜きには、今の社会は語れません。そしてその責任は大人である私たちにあります。虐待、自死は本人に非はないのです。

私は統合失調症の当事者ですが、サバイバーとして生きている多くの友人がいることに勇気づけられます。しかし一方で死んでいった友人もいます。彼らにかけられた冷酷な言葉を彼らの責任にしてはいけません。ニートや引きこもりも含めてこの社会は誰でもが当事者になりうる社会なのです。

身近な例ですが、彼女と彼女と同じ高校の同級生Wさんは、同じ年に大学受験をして同じ年に大学生になりました。Wさんは家庭の事情で奨学生として卒業し、就職するときには500万の借金があることになります。学費を出してもらった彼女とはスタート地点で500万もの差があります。私たち大人が子供や若者に「夢を持って、挑戦して」とどんなに言ってもスタートラインに立つことすら出来ない疲弊した若者たちが多いのです。

コロナ禍の中で始まった新しい日常は疲弊した若者たちにとって逆にチャンスかもしれません。著者の言うように、私たち大人が人類の現在を問い直し、経済優先の社会を見直して自然とともに生きる道を選ぶなら、多くの若者が救われるでしょう。親と暮らせない子供たちにも自然の豊かさに触れさせれば、子供時代に体験すべき遊び豊かな子供に育つのです。ITに特化した引きこもりの若者でもテレワークならば、成果も上がる。今はチャンスの時です。ただし、私たちがこの社会を問い直すことができるのならば。

「脳と森から学ぶ日本の未来」には「”共生進化”を考える」という副題が付いています。自然とともに生きることについて考えました。


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