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あの街、あのお店巡り Vol.3-1 三軒茶屋 東京茶寮

・あの街、あのお店巡り
ビビっとくるお店を巡っては、感じたことを書いていきます。エリアを定めたら、2~3軒をはしごします。リサーチでもグルメでもありません。すてきなお店、そこに居るすてきな人とのであいを楽しむツアーです。

第三弾では、住みたい町ランキングでよくランクインしている三軒茶屋を巡ります。さて、どんなであいがあるでしょうか。

・・・

3-1. @三軒茶屋 東京茶寮

246号線を一本入ったところ、マンションが立ち並ぶエリアの1階。
店内から漏れる光が、水平・垂直・簡素な影を浮かびあがらせます。
車道から眺めると、
夕闇の町並みに忽然とテレビの液晶画面が現れたような。
すべてがデザインされた空間。東京茶寮。

7時に到着すると、お店手前のカウンターには数名のお客さん。
1人分席をつめていただいて、3人の席を確保。
美しい内装に弾む心と対照的に、店内はいい感じに落ち着いていて、
お店の奥では茶葉も販売しています。

2017年のオープン当時からずっと来たかった場所。
コーヒー豆のように、シングルオリジンの緑茶をドリップで楽しめる、世界唯一のお店。
運営はLucy Alter Designというデザイン会社で、
かっこいいお兄さん二人がやっているそうです。

4つのドリップ台で手際よくお茶を淹れるのは、マネージャーのお姉さん。
彼女は元バーテンダーで、ウイスキーをメインにされていたとか。
「シングル」や「ブレンド」、生産者の想いなど、
一見意外ではありますが、ウイスキーと緑茶は共通点だらけなんですって。 

まず、先月から期間限定で楽しめるお茶漬けを注文しました。
ご飯の上には、たくさんのお茶葉とあられがふりかけられています。
そして、ていねいに淹れたお茶。美味しくないわけがないのです。
こんぶとかつおのだし以上に、ふりかけたお茶葉がいい味を出しています。

そして、茶器やおしぼり、お皿、おぼん、
出てくるものすべてが美しいのです。

こりゃーデザイナーさん、かなり気合いれているなあ。
と、ほれぼれしてしまいます。

お茶漬けの次は、お茶と和菓子をいただきます。
お茶は渋みの強いという「いなぐち」を選び、
70度、80度と少しずつ温度をあげて、三番茶まで楽しみました。
いわく、淹れる温度によって味わいが全然変わるんですって。   
本当に、沸騰して即注いだりなんてしちゃ、ぜったいだめですよ。まったく。

お店の奥にかかっているのれんには、ロゴが三つ並んでいます。
一番右のロゴは、なんだかよくわからないな。
どんな意味なんだろう。おもむろに尋ねます。

——ところでお姉さん、奥ののれんなんですけど。
  いちばん右のロゴは何を意味しているのでしょうか?

「では、まず左から説明しますね」。
ん、左からですか。なんかお姉さんイキイキし始めたな。

「左から、会社で扱っている茶葉の商品ロゴ。」 ——うんうん、茶葉っぽいかも。
「真ん中は、東京茶寮のロゴ。」 ——うんうん、「茶」って字が読めますね。
「そして右は、真ん中の空白を『口』に見立てていて。」 ——うんうん…?
「4つの記号は、それぞれのへんが『口』とくっつくと、それぞれある漢字になるんです。」 ——ええ、まってまって。
「上から『吾』、右が『唯』、下が『足』、左が『知』となるんですね」 ——ひゃあああー、、、
「これをつなげると、『われ、ただ足るを知る』となるのです」 ——やーーーばーーーい!!!
「さらにこれを逆によむと、『るしおるた』、すなわち運営会社の”Lucy Alter”となるんですね。」—— ぎゃーーーーー!!!!!!
※龍安寺の「つくばい」にこれと同じものがあるそうです。

一同、お客さんがもう居ないことをいいことに、最大限に興奮を表します。
ミステリー小説の大詰め、なぞが解ける瞬間のあのゾワゾワ感。
鳥肌モノでした。

デザインって、こういうことね。この、突き詰めちゃうかんじね。
ひゃー、恐れ入りました。

とってもクールでスタイリッシュな空間なのだけれども、
実はスタッフの方の気持ちがとーーっても熱くて、お話すると、とーーっても盛り上がってしまいました。
お店を楽しむって、きっとこういうことなんだろうな。

外に出ると、生温い風と一緒に、色彩も造形もぐちゃぐちゃに入り混じった世界に引き戻れます。
デザインしつくされた東京茶寮との好対照。不思議な空間だったなあ。

冷めやらぬ興奮をたたえながら、次のお店へと向かいます。

#食 #Thinkful #あの街あのお店巡り #三軒茶屋 #東京茶寮

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