一斉授業における「作業」の必要性

作業がないと授業が崩壊する。

確実にそうなる。

なぜなら、何度も経験しているからだ。

私は指名さえすれば授業は安定すると安心していた。

しかし、それは間違いであった。

授業中子どもはざわつき、私も慌てふためいた。

その現象が何度も続いた。あるものの不足に気づいていなかったのだ。

それが「作業」である。

本記事ではなぜ作業が必要かについて3つに分けて綴っていく。


1.作業とは何か

向山洋一氏によると、

「作業とは、身体を動かして行う学習活動」

と定義されている。

これは、次の3点も含んだ上で、である。

①手を使うこと

②用具かものがある

③作業の結果、何か作るか、何かが変化する

つまりは「具体物(あるいは半具体物)の操作であると定義されているのだ。


2.作業は思考させるためにある

向山氏によると作業は授業の中で次の役割があると記されている。

①法則・知識などを理解する

②概念を理解する

③考え・予測を確かめる

④何かを作る

⑤技能・知識を定着させる

とりわけ、向山氏は①と⑤が必要不可欠であると述べる。

なぜなら言葉の説明や思考操作のみでは定着、理解が十分でない児童がいるからである。

私も同意見である。

例えば、低学年におけるブロック操作。

実際に教室で使わせてみると、理解の定着度は言葉の指示よりも格段に違う。

さらに、必要なのは教師側の批評的思考ではないかと考える。

「なぜこの作業が必須なのか」と我々教師の意図がなければならない。

そうしなければたとえ作業があったとしても、“とりあえず作業”になり授業のリズムが崩れる。淀みが生じるのだ。

意図を明確にした上で子どもたちに作業をさせると、その学識は脳に身体に広く浸透していく。だから我々の思考が重要になってくるのだ。

3.作業の条件と評価

向山氏の言葉を借りると、条件は2つになる。

①作業に対する見通しを持つ

②具体的な準備をする

①に関しては、「目的・内容・手順」の3点は落とせない。

加えて、②の例としては「作業グループ(班など)」「作業時間」「作業用具(ブロックなど)」があげられる。

また、評価に関しても明確な観点がある。

①丁寧にやる

②続けてやる

③終わりまでやる

これらの条件・評価を満たした上で作業をさせることが大切であると向山氏は語る。

これには明確な狙いがある。

学習内容を明瞭にし、定着・理解をはかり、さらには3つの観点における学習方法を身につけさせるという目的だ。

このように、作業自体に見通しをもち、評価も明白にした上で子どもたちに行わせることによって、初めてその効果が大いに発揮されるのだ。


作業という言葉1つとっても、役割、条件、評価など細分化する必要性を強く感じた。

コロナの影響で授業を子どもたちにできないのは悔しいが、今この時期だからこそ授業におけるパーツについて思考を深化させてゆき、さらなる授業力向上を目指していきたい。

引用;『授業の腕をみがく』向山洋一著 明治図書 1983年

教師にとって必須の情報ばかりだ。

ぜひお手にとって読んでいただきたい。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?