硬貨の使い道 13

「ごめんね。気を悪くしたでしょ。夏目くんの前ではカッコつけてたつもりだけど、多分バレちゃってたよね。」夏目さんはそういうとテーブルの上にあるタッチパネルからお会計という文字を触った。話し続けてお酒がまわったのか、宮部さんの足取りは少し拙くなっていた。
「タクシーで帰りましょう。家まで送りますよ」
僕はそういうと宮部さんは
「ちょっと待って最後にあそこだけ寄らせて」
と言って、前方にあったラブホテルを指差した。
「宮部さんいくらなんでも」
と僕はいうと宮部さんは無言で僕の手を引いた。ラブホテルの一室に入ると宮部さんは再び話し始めた。
「夏目くんは多分気づいてるんだよね。私があの人の代わりとしてあなたを利用してたこと。でも今日は最初からこうするつもりだったことは気づいてた。」
その言葉を言った刹那だった。宮部さんは僕をベッドへ押し倒し、その両手を僕の首にかけたのだった。
「ごめんね。ごめんね。」
宮部さんはその言葉しか言わなかった。目に溜まっていた涙は、我慢しきれずに流れ出ていた。でもその違和感にはすぐに気づいた。僕の首を絞める手の力が中途半端に込められていたない。少なくとも脳が動く程度の酸素は今でもなお送り続けられいる。僕は自分の両手で自分の首にあった宮部さんの手を解いた。そしてそこで僕は宮部さんに初めて口撃した。今まで考えたことをここで全てぶつけてみようと思った。
「宮部さん手に力が入ってないよ。もしかしたら迷ってるんじゃないの。このまま僕を殺して、あの人の気持ちを理解できなかったら。何の収穫もないまま、人を殺したという事実だけが残っちゃうもんね。ただの人殺しになるのはやっぱり抵抗あるよね。宮部さんは今でもあの人のことが好きなんでしょ、だから僕を恋人と見立てて、あの人がやったみたいに殺すことにしたんでしょ。あの人と同じことをすれば、自分がどう思われてたのか知ることができると思ったから。慣れないパチンコまで行って大変だったでしょ。パチンコ屋と換金所が違うなんて知ってた?僕は初めて言った時分からなくてパチンコ屋の周りをうろうろしてたよ。ねぇ宮部さん。僕はあの人の気持ち少し分かっだ気がするよ。あの人はきっと宮部さんのことが大事だったから、幸せになって欲しかったからこういう行動に出たんだと思うよ。」