ある雑貨屋にて9


「うーん」
理趣経の店主は、唸りながら少し頭を抱える。すると常連客が来店した。
「あれ阿部さんどうしたの?」
常連客はそう店主に挨拶すると
「あっいらしゃいませ。いや最近来店するようになった新規のお客さんが、胡蝶門から出てこなくなっちゃったんだよ。」
と店主は返した。すると常連客は
「また中途半端にしか説明しなかったんでしょ。いい加減治しなよ。」
と答えた。
「それがなかなか治らないんですよね。それよりお代どうしましょう?まだもらってません。」
と店主が言うと常連客は
「薬の材料にでもして売るしか思いつかないね。食用にするには肉が硬そうだし、薪にするには若すぎる。」
と言った。店主は
「そうですね。」
とため息をつきながら答え、準備を始めた。
「その思いは罪になるとは言いましたが、こういうことじゃなかったんですけどね。」
そう言って、空っぽになった新規の客を素材別に解体し始めた。