8/22~28

日曜日
Ceroの最後の曲途中で、MONONOAWAREに切り替わった。

『「利他」とはなにか』國府さん、人は責任を明確化するために、意志の概念を用いて経緯を断ち切る。面白かった。

18時の終了予定を踏まえて事前購入した映画のチケットが無に帰した。

21時半に現場を後にして丸の内線に乗る。以前にも間違ったのだけど、池袋までは予想以上に遠い。大手町で乗り換えようと地下を歩いているときにふと思いついた。22時の大手町、雨は降っていない。自分の身体を、家と会社の往復から解き放ちたかった。
それで大手町から神保町までの、夜を歩くに一番好きなルートを、およその方向感覚だけでフラフラ歩く。人はもちろん、タクシーすら少ない街は、広告もないせいで一見不気味に思えるかもしれない。が、自分にとってはなじみの、東京にずっといる人間からしたらむしろ非日常的な日常。身体も解けて疾走してしまいたくなるような、人の気配を感じない石とコンクリートの街並み。
神保町の商店街で一か所、おそらくかつてキッチン南海があった場所が駐車場になっていた。まっすぐに帰って、明日のアーのアーカイブ配信を見る時間と引き換えに、なんとなく自由を感じる散歩だった。帰りの電車で見た電気グルーヴのステージは、初めて、怖かった。


月曜日
フジロックを見に行った人たちが帰って来る頃だろう。
電車の中で考える。現地にいた人と、何が異なるのだろう。参加するまで、様々なことを考えて決断したのだと思うし、ライブのMCでもそうしたことを考えるのだと思う。だけど、音楽は人の魂を開放する作用がある、具体的に想像できる。屋外で、芝の匂いがあり、距離に応じた音量で音楽が聞こえる。人の身体は弛緩する、その開放感を具体的に想像できる。それを一切感じない、体がこわばっているな、と気づいた。
脳内で考えることに、現地へ行った人と行かなかった人の間に差があるとは思わない(思いたくない)けど、弛緩を味わったその時間に対して、どうしても羨ましさを感じえない。

火曜日
『スパイダーマンNWH』の予告がついに解禁された。シニスターシックスの予感や、マルチバースがついにやってくる期待なりに心が震えるのだけど、同時に、自分のいる世界がこんな悲惨だと、並行世界の存在にキラキラさせたい目が薄汚れているのだと気づいて虚しくもなる。
ビールを飲んで「ゴールデンカムイ」に手を付ける。7巻まで進んだところで0時になり、そこから1時間くらい散歩をして酔っぱらって寝た。漫画を読むという行為も、スマホを眺めていた過去として蓄積されるのがもどかしい。
三輪亮介『生活記録』ついに彼は就職した。その週から、平日が「会社へ行った」「この日も会社」「この日ももちろん会社」と過ぎていく。あんなに生活を享受していた人の視界が、こんなに定位置からの眺めにさせる労働とはなんだろうと思う。

水曜日
今日ももちろん会社。
Mom「心が壊れそう」を聴きながら出社。「心が壊れそう、何かが崩れそう、賑やかなとこに行かなくちゃ、このピンチを今すぐ食い止めなくちゃ」この通り。「冷蔵庫の前でなんだかつまらなくなってそれでもやっぱり沈んでしまう日は」から始まるクラブナイトが、何よりも手の届かないところにある気がして自然と首が下がってしまう。白いスニーカーが少し汚れていた。
夕方、喫煙所でwebちくまの加納さんの連載を読んだ。お盆休みの、なんてことない家族の団欒に親戚の少女がいて、彼女に何を見せようかとゆっくり連帯する大人たちのふるまい、そして少女への眼差しが自分に帰ってくる結末まで、なんて素敵な文章を書くんだろうと感動した。『小説新潮』連載二回目の、バスに乗って囲碁教室に向かう少女時代のエッセイも、素晴らしかった。
以前ラジオで、これまでは自分の笑いを知っている人が文筆の仕事を提案してくれていたけど、今は文筆仕事をみて文筆オファーをしてくる人がいて、そういう人たちに自分のお笑い活動のどれを見せるか悩むと話していた。こうなってしまうと、加納さんのお笑いを知ったうえで文筆仕事を頼む必然性はあるのだろうか、むしろ別世界の知見がある人の方が、共になる価値があるのではないか。越境の提案者が効果を発揮するのは、山から山へ移動する最初の一回だけなのかもしれない。そう思って、少し落ち込む。
『ゴールデンカムイ』17巻まで進む。

『有吉の壁』箱根修学旅行SPが隅から隅まで面白くて最高だった。
壁とカギはテレビバラエティの希望だと思っている。
『水曜日のダウンタウン』クロちゃん部屋ごと無人島企画も、一行の企画がこれだけ演者のパフォーマンス力と合致したものはなくて感心した。再現性やコンテンツ自体の値付け的な考え方、ようはパッケージで地上波バラエティに感心する唯一の番組かもしれない。ゴッドタンの次のオンラインイベントがお笑いを語るBarなのにげんなり。

木曜日
最近は毎晩冷房にやられた体調で始まる。午前中は在宅にして『ゴールデンカムイ』と『あちこちオードリー』を見ながらぼんやり過ごした。
ようやく『ゴールデンカムイ』最新話286話まで読み終わった、24枚の地図を集める分かりやすい軸がありつつ、敵味方編成が状況ごとに入れ替わる飽き足らなさが面白いのだと思う。金塊が見つかり、その目的もわかったので、完結までおいかけることは正直なさそう。
真空ジェシカ川北が、雨上がり決死隊がドロップキックでコンビを解散したしまりの良さを自分たちに当てはめて考えていて、自然と主人公的思考になっているなと思う。

金曜日
午前中在宅という名の午前休、今日は20時までの打合せがあるし。
最近配信されたと知り、アマプラで『フリクリ』1話を見た。確かチェンソーマン藤本タツキの「邪悪なフリクリ」コメントきっかけだったと思うのだけど、なぜ見ようと思っていたのかも忘れてしまった。渡辺信一郎『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』も同じような引き出しに入っている。光や音の全てからGINAXを感じて、歴史に残るアニメ表現とはこういうものかと思う。
Aマッソ加納が、最近よく見る芸人のネタをつくり続ける意思表示について、テレビで企画を作れている人が少なくなったからではないかという指摘に、納得。「女子メンタル」に対してPILOTで「それまでもっていかれるのか」と話していたことを思い出す。
『新しいカギ』ゴリエを見て思ったこと(アララで書く)

アララで書いた。

土曜日
昼からヴェローチェで久しぶりに文章を書いていく。
飴屋法水『ビニールシート』、『ライティングの哲学』、加納がラジオで街裏ぴんくくらい好きと話していた『短くて恐ろしいフィルの時代』を文庫で買った。
テアトルで『子供はわかってあげない』を見た。
フジテレビ特番「ラフアンドミュージック」爆笑問題と松本人志の共演に注目が集まっていて、実際すごかった。
近年テレビで見る爆笑問題の漫才のなかで一番面白かったし、スーツ姿で躍動する太田はやっぱりかっこよかった。

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