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その価値観、あってる?

「フルーツトマト」を何でそう呼ぶのか分かった日。普通のトマトが、腫れた田舎者に見えた。

パスタソースにでもしてしまえ。
まな板を叩く包丁の乱暴な言葉を思い浮かべてしまう。田舎者の方は、ゆるく赤い汁が漏れ出ているが、「フルーツ」さんの方はツンと綺麗な形のままで、刃を添わせる包丁も何やら内緒話をしているようだ。
パスタソースには勿体無い。サラダで食べるべき。ファンにそう推されるのも納得のパフォーマンスを味わう。

しかし、悔しいかな、田舎者は仲が良い。
玉ネギ、卵とでトマトスープが食べたくなる。ウィンナーを入れても良いかもしれない。
輪切りにしてモッツアレラとオリーブオイルでもいいのに。そうなると今度はフルーツさんのほうが、可哀想になってしまう。
産毛すら無い肌に包丁がヒソヒソと耳打ちしてくるは、綺麗な切り口が見たいだけかもしれない。
済んだあとに、まな板さえ汚せないのも上品に育てらたから。パリッとしたレタスやキュウリだってサラダのときだけの関係。「田舎者」とは、熱いスープの中で一緒にクタクタになるまで楽しんでいるのは知らないのだろう。
ああ、可哀想なフルーツトマト。
何も知らないフルーツトマト。
世間は認めてるようで、何も認めちゃいないのだから。
トマトは、フルーツなの?
だとしたらフルーツトマトって、そもそもなにさ。
そんな皮肉たっぷりの名前で呼ばないでもいいじゃない。


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