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もうすぐ誕生日

 「朝に食べるチョコパイは美味しい」と言えるくらいには素直に育った。差し出される手はにぎり、だれも手を出さなくなったらそれは仕方の無いことだと恨むこともなく過ごしてしまう。だから、良くも悪くも衝突を避ける癖がある。
 あるとき、「自分の誕生日は絶対楽しいことをする」と決めている女性に出会った。わたしなんて間近になってふと気が付くのが誕生日という日なのに、その彼女は誕生日の予定決めていた。
 わたしは、「どうして?」といったニュアンスのことを聞いてみた。すると、彼女の返答は私の予想するものと角度の違うものだった。
「一年の最後なんだからそれを誤魔化すためよ」と。そういう事らしい。
 彼女曰く、その日でちょうど一年のたったのだからエネルギーが減っているのは当然で、好きことをして回復を待つのだと言う。彼女のイメージでは、誕生日が過ぎるとゲームで宿屋に泊まった後みたいに勝手に全快するらしい。加えて「エネルギー切れで死ぬなんて嫌だから」と付け足した。

そんなドライな考え方をする人が好きだ。確かにその人ごとに産まれてから1年後は違う日だよなと、変に納得してしまった。
生きていると不思議なひとに会う。

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