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「来てください」とは言えないけれど、 僕らは待ってます!

緊急事態宣言の発令後、僕が経営している美容室『らふる』は一気に客足が遠のいた。

1月、2月は、ありがたいことに前年売上比はそれぞれ単月で120%〜130%。らふるは毎年、前年同月比20%〜30%の売上成長を続けてきたので、計画通りの経営状態であった。

それが、3月に休校要請が出た瞬間からキャンセルが始まり、徐々に予約減少が拡大。3月は前年同月比で95%。4月はついに前年同日比で55%。

いよいよ恐れていた事態が急速にやってきた。

このまま、この状況が長引くのはマズい……。

これは事業を営んでいる多くの人が感じていることだろう。僕も苦虫を噛み潰している状況だ。どうすれば事業を継続できるのか? 誰も経験したことがない状況を目の前に、正しい解を導き出すのは難しい。

もちろん、変化することで価値を生み出している人も大勢いる。

飲食であれば「テイクアウト」や「デリバリー」。
イベントや講師業であれば「オンライン配信」。
小売であれば「EC販売」。

ただ、上記の例は、人が直に対面しなくても売り上げを作ることはできるが、美容師はそうはいかない。お客様が足を運んでくれないことには、なかなか価値を提供できない。

この一ヶ月間、美容業に何ができるのか。どうやって収益をあげるかをずっと考えて続けてきた。

こうした危機を乗り越えていくには、従来の美容業のあり方とは違った形も必要となる。毎日予約は空いているのだから、考える機会を与えられたボーナスタイムだと思うしかない。微力でもいいから、自粛期間を心地よく過ごしていただけるような髪に関する情報、サービスを出していきたい。

現在、行なっている「感染防止対策」

一方、現在『らふる』は時間を短縮しながらも営業を続けている。

※ 平日 11:00〜19:00 / 土日 10:00〜19:00

東京都の休業要請対象には当初、美容室や理容室が対象業種に入っていた。

しかし、緊急事態宣言の発令後には、休業要請対象からは外れ、感染防止対策を行うことのみ要請された。国と都の判断に従い、防止策をとりながらの営業を続けている。

現在、らふるでは以下の感染防止対策をとっている。

・手洗い・うがい・手指消毒の徹底
・スタッフの常時マスク着用
・スタッフの検温
・店内のこまめな消毒(アルコールと塩素系)
・入り口ドア開放による換気
・座席数の削減
・席間の距離を2m空ける
・営業時間の短縮
・サロン内の人数が7人を超えない予約調整

・手洗い・うがい・手指消毒の徹底

今こんなことを言うのは不謹慎かもしれないが、僕と相方の安田は元から潔癖な気があるので、今回の防止策は行っていて非常に心地よいと感じている(笑)。もはや、ことあるごとに洗っている。

・店内のこまめな消毒(アルコールと塩素系)

理美容所は、生活衛生の仕事であるから、もともと消毒液はある。らふるでは無水エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、安定型二酸化塩素の3種で消毒を行っている。

タイミングとしては、1人お帰りになった後に、席周辺・ドアノブ・トイレなど、人が触れるところを消毒する。もちろん、器具も忘れずに。

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・座席数の削減
・席間の距離を2m空ける
・サロン内の人数が7人を超えない予約調整

密集を避けるため、4席あったセット椅子を3席に減らした。元々、隣との距離に余裕があったため、3席にしたことで隣の席と2mの距離を確保することもできた。また、らふる内の人数は常に7人以下になるようにしている。

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美容室に行くことは、不要不急の外出か?

感染対策はこれで十分だなんてことは無いけれど、この難しい状況で、テンション下げて白旗を振るよりも、しっかりと問題の本質を見て、できる限りの策をとりながら事業を続けて行く。

なぜなら、美容室が提供する価値は、髪をカットしたり、ケアすることによって、同時に「気持ち」を整えることだと思うからだ。

現在、新型ウイルスの影響によって、自分や家族が感染する不安や、自宅に篭ることによるストレスはもちろん、ネットやテレビで流れる不安を煽る情報を大量に見てしまい、心が消耗していると感じる人も少なくないだろう。

そんな情勢の中、美容室が果たせる役割は小さくないと思う。

ファッションだけでなく、衛生面でも、メンタルケアの面でも、「髪を切る」という行為は人間にとって、「食べる」「寝る」と同じように生きる上で絶対に必要なものだと僕は思う。だからこそ、「不要不急の外出」を控えるよう呼びかけられるなかで、美容室や理容室は休業要請から外れたのではないだろうか。

来てくださいとは言えませんが、僕らは待ってます!

僕は、今回の新型ウイルスとは非常に長いお付き合いになると思っている。 緊急事態宣言が解除されたからといって、いきなり以前のような生活には戻らないだろう。感染防止対策は徹底していくが、感染リスクをゼロにすることは不可能だ。

正しく怖がり、正しく対策をとり、どう折り合いをつけていくかが、僕らは問われている。うまく付き合って行くしかないと思うのだ。

人間、生きていれば、絶対に髪は伸びる。僕らは、髪を整えることを通じて、お客様の暮らしを支えていきたい

移動することで、感染するかもしれないリスクがある今、「お店に来てください!」とは、声を大にして言えない。

でも、僕らは待ってます!

今は、それしか言えませんが、お互いに無理せず、そして諦めず頑張っていきましょう。


編集協力: 井手 佳司

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