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最終日 免許センターという交差点

免許合宿明け、同僚たちから「で?どうだった?男いたんでしょ?」「乱行パーティーでしたか?」などと色々間違った質問を受けつつ低空飛行で仕事をこなす。
マイナス17度のウラジオストクへ行った同僚は生還したものの風邪を引いていた。

自動車学校卒業後は、免許センターで学科試験に合格すると晴れて免許証が交付されることになっている。
というわけで連休明け休みを取って府中の免許センターへ行ってきた。

試験もひっかけ、サイトもひっかけ

インターネットの公式サイトの情報を信じて調布からバスで試験場まで行ったけれど、サイトにはもうなくなった「北口」の表記。更新されていない。
受付時間もサイトに載っているものと窓口で言われたものでズレている。
免許の学科試験はひっかけが多いことで有名だけれど、手続きでひっかけてどうするのだろう。

試験場という交差点

試験会場には老若男女、服装も様々な人が来ていた。
中にはライダースジャケットに革パンの中年男性も来ており、おそらくバイク乗りで何か事情があって2度目以降の受験なのではないかと思われた。
どうやらここは様々な人生の交差するポイントだ。

前日1時間ほどイヤイヤ復習をして臨んだ試験は、迷う部分を自分で把握できる程度には簡単だった。
制限時間を残して会場を去り、1時間ほど後に結果が発表される。

結果発表は、モニタに合格者の受験番号が映し出される。
発表の瞬間、目を見開いた。

40人ほどの受験者のうち、半数近くが落ちていた。

横にいる先ほどのライダーの中年男性も落ちたし、目の前にいる八王子駅にいそうなスウェット姿で銀髪の女の子も落ちた。
そのことに衝撃を受ける。

この試験に落ちる世界線のことを、私はあまり知らない気がする。

例えばこの先の人生で、事故を起こして免許が取り消しになって、一発試験で再受験する際何も対策をしなければ…落ちるかもしれない。 
生きていると何が起こるかわからない、そのことはこれまでの波だらけの人生で重々承知しているけれど、こうして自分と違う人生に分岐していく人たちをみると、少し怖くなるのだった。

免許交付と、再びあの部屋へ

さらに1時間の待ち時間を経て、無事免許が交付される。
0日目に適正相談を受けた際、取得できたら報告に来て欲しいと言われていたので、できたての免許証を持って、病歴等を聞かれた適正相談室を再び尋ねる。
免許証のコピーを取られ、「おめでとうございます」と口々に声をかけられる。
ありがとうございます、と返し、免許センターを後に。
なんのことはない、ただそれだけのこと。 

私は私の世界線を。

安全運転はこれから

こうして免許をめぐる冒険は終わった。
しかし、本当の勝負はこれからだ。
公道には魑魅魍魎がいるらしいし、ブレーキを踏んでくれる教官もいない。

まずは父の車で週末の買い出しからか。
あるいはカーシェアでも契約して、近場へ狩りにでも出かけようか。
経験はこれからも積み上がっていく。

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