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http://tanzwalzer.wp.xdomain.jp/ / 小説『マリアと犬の夜(milk and alcohol)』は山梨県富士吉田市「下吉田倶楽部」「M-2」「HOSTEL SARUYA」「カリアムドゥ」様にてお読みいただけます。

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あなたを想って色とりどりに

”自分のために服を着る”ことが良いことみたいに言われるけれど、 誰かのために服を着るとき、わたしは無敵になる。 ** ちょっと前、冬から長いこと会えていなかった祖母に会いに行った。恋人より誰よりわたしのいちばん愛しい人。 もう100歳も超えた祖母はいまだに人と接することや活気のある場所が好きで、 世の中がこんな具合であることまでは分からなかったとしても、人が訪ねてきたり訪ねて行ったりすることが極端に少なくなったことで、しょんぼりしている日が増えた。ぼんやりすることも

    • 花びらをかさねて塔をつくる

      私たちは、花びらを重ねて塔をつくるように。 コミュニケーションとはとても難儀なものだなと、わたしはたいがい億劫になって とっくに脱出したはずの象牙の塔に、駆けて戻っては扉を閉める。本に埋もれて身をまもり、画面という距離に安堵する。遠くにあれば世界は綺麗だ。 本来、他者とはるかな距離が必要な人間なのだろうと自分のことを思っている。 その距離はなんでもいい。時間や、年齢や、性別。 それははるかなる距離があるほどよく見ることができるからで、反対に身近なものになればなるほど、わた

      • 遥か遠くから、聴こえた気がしてしまうような

        衣擦れの音で掻き消えていくくらいの音が好き。 ** 東京に住んでいるくせに騒がしいのが苦手だ。 そのくせ音楽が好きなものだから、目隠ししたまま手の鳴る方に歩いていくみたいにして音の鳴っているところに出かけてしまう。 学生のときからジャズ喫茶みたいなところにわけもわからず出入りしていたし、そこからライブハウスを通り、音楽家や演劇人の集まるモンパルナスのようなバーが居場所になり、そうまでしてもそれでもどこかそれらの居心地が、完全によいわけではないと本当は分かっていた。 映

        • 旅の記憶を閉じ込める

          旅先でなにか、化粧品や香水みたいなものを普通に買うのが好きです。 それを手に取るたびに、その場所のことを思いだすから。

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        あなたを想って色とりどりに

          心が乱れるからと、もう長いこと音楽を心の中に仕舞ったままにしていた。 していたけど、していたのだけれど。 ああわたしやっぱりロックンロールが好きで、ロックンロールに救われていまここにいて、ロックンロールがわたしのことを分かってくれたから。 ずっとロックンロールを愛してる。

          心が乱れるからと、もう長いこと音楽を心の中に仕舞ったままにしていた。 していたけど、していたのだけれど。 ああわたしやっぱりロックンロールが好きで、ロックンロールに救われていまここにいて、ロックンロールがわたしのことを分かってくれたから。 ずっとロックンロールを愛してる。

          それぞれの眩い輝きの

          画家であるXu Ningさんの個展『天下(WORLD)』に行ったときのお話です。 いつか彼女の絵が欲しいと思っているのですが、それは彼女の絵から、ままなったりままならなかったりする人間というものへの優しさを感じるからなのです。 こちらのリンクよりお聴きください。

          それぞれの眩い輝きの

          服を脱ぐように服を着る

          愛するお洋服とそのデザイナー、そしてお洋服を着たわたしとわたしのまわりの人々のことを話しました。 よろしければ下のサムネイルからご視聴ください。 poscast配信、そこそこ続いていて楽しいです。

          服を脱ぐように服を着る

          『恋恋風塵』という人生の映画

          前回に続き台湾映画のはなしです。 前回お話ししたエドワード・ヤン監督の盟友でもあった侯孝賢監督。その手になる名作『恋恋風塵』について。 台湾ニューシネマ、ほんとうに素晴らしいのです。 この人たちは絶対に人生から逃げないのです。 そのこと、忘れてはならないこと。 よろしければ、眠る前のひとときにお聴きください。

          『恋恋風塵』という人生の映画

          愛する映画の話でも

          いちばん好きな『ヤンヤン 夏の想い出』という台湾映画の話をしました。 こんなにも静かで構造的に完璧な美しさをつくりだせるエドワード・ヤンという人を心から尊敬します。

          愛する映画の話でも

          傷を癒す、祈りのようなレストランのこと

          podcastを始めてみました。 ベッドで眠る前に思い出すような、とりとめもない話です。 文章はあとから追加するかもしれませんが、ひとまず音声をどうぞ。

          傷を癒す、祈りのようなレストランのこと

          podcastを始めようと思っています。今週、火曜日か木曜日の夜にひとつめをアップしようと思いますので、お気に留めていただければ幸いです。

          podcastを始めようと思っています。今週、火曜日か木曜日の夜にひとつめをアップしようと思いますので、お気に留めていただければ幸いです。

          ご無沙汰しております。こちらにいます。 https://tanzwalzer.wp.xdomain.jp/

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          そこはかとなくモード、になりたい

          久しぶりにお洋服のことを考える気分。 このところちょっと、いままで完璧だと思っていたワードローブがなにかすこし違うような気がして それがどうしてなのかとか、クローゼットを眺めながら試行錯誤していたのだった。そして無事に乗り越えたから、ここに書いておこうかなって思ったのだった。 わたしは保守的なお洋服も好きだし、一風変わったお洋服のことも愛している。 だけどなにかが足りないような、そんな感じが春先からずっとしていた。閉塞感みたいな。 その気持ちはぎらぎらに光るグリッタ

          そこはかとなくモード、になりたい

          不確かな約束

          わたしは苦手なものが多いので、とどこかで書いたような気がするけれど 実際のところこれはすごくものやわらかにした言い回しで、 ほんとうは嫌いなものがすごくある。人生というものを送るのがしんどくなる程度には、ある。 わたしの文字を読んでくれるあなたは美しいものが好きだろうし、わたしもできれば美しいものばかりを見て過ごしていたいので、それは表沙汰にはしないほうがいいのだろうなと思っていた。 だけどもうなんか言いたくなってしまった。 ** ほんとうのところを言えば、わたし

          不確かな約束

          傷つくということ

          「役者というのは傷付く職業です。 傷付いたまま観客のほうを向くのです。」 以前ある演出家からもらった言葉だ。 岡村靖幸という歌手がいて、 『真夜中のサイクリング』という曲がわたしはいちばん好き。 エピック時代の最後のほうに発売された、なんとなくひっそりとした立ち位置の曲だけど まず迷うことなくいちばん好きな曲。 この曲のことを思い出して、さっきまた聴いてみて そしたらあの演出家の言葉がどうにも、頭の中で響いてやまない。 真夜中の紺色みたいにゆっくりはじまる、

          傷つくということ

          愛について

          I love youを何と訳す? という話を以前に友人たちとしたことがあって。 夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳し、スカパラの谷中さんが「もうあとに戻れないな」と訳したそれを、私たちならどう訳すだろうかとそれぞれが考えた。 「きょうは何食べる?」とか「明日どこ行く?」とかいろんな訳がでて、 そしてそのどれも分かりはするけれど、その当人以外にははっきりと理解し得ない、そんなところもまた面白かった。 これを読んでいるあなたならどんなふうに訳すだろう。 すこし考えてみて

          愛について