経営分析の前にやるべきこと【事業計画書の作り方②】
おはようございます。現役信用金庫マン 兼 中小企業診断士事務所代表の山西です。当noteでは、経営力強化につながる情報を経営者や支援機関に向けて発信しています。
事業計画を立てる上で欠かせないのが「経営分析」。企業を取り巻く環境を捉える現状分析です。
しかし、経営分析をしていく上で「分析麻痺症候群」に陥ることが珍しくありません。分析麻痺症候群とは、分析をすることで情報が増えすぎてしまい、却ってどういう行動を取るべきか分からなくなることです。
経営の意思決定のために経営分析をするのに、どういう行動を取るべきか分からなくなってしまうのでは本末転倒です。
そこで今回は、分析麻痺症候群に陥らないために行うべき経営分析の前さばきについて説明していきます。
経営戦略の仮説を立てること
分析麻痺症候群に陥らないためには、あらかじめ経営戦略の仮説を立てることがで必要です。経営戦略は3つの要素で成り立っています。
経営戦略の仮説①:WHO?
まずは、メインターゲットの仮説を立てます。
メインターゲットを定める方法は様々ですが、この段階では直感で考えれば問題ありません。リピーターの人はどんな人が多いのか、利益貢献してくれる人はどんな人なのかを直感的に考えていきます。
ここで考えるメインターゲットは、基本的に当社が直接売上を頂いている相手(直接顧客)のことですが、BtoBの企業であれば、最終消費者についても考える必要があります。
最終消費者とは、当社が提供する商品を最終的に消費する顧客のことです。顧客が求めるプロダクトを作るためには、最終消費者を起点としてニーズを捉える必要があります。BtoBの企業であれば直接顧客と最終消費者の双方に満足して頂く必要があります。
なお、実際にメインターゲットを決めるのは、経営分析後の経営戦略策定フェーズです。
経営戦略の仮説②:WHAT?
次に、顧客への提供価値について仮説を立てます。
提供価値とは、当社が提供しているプロダクトが顧客に与えている本質的な価値のことです。顧客が受け取る便益とも言えます。こちらも戦略立案フェーズで精緻に考えるので、この段階では直感的な想定でOKです。
こちらも直接顧客にとっての価値と最終消費者にとっての価値を両方考える必要があります。
また、顧客から見た当社のプロダクトの価値を考える上では、独自性も考慮に入れる必要があります。つまり、当社の提供している価値と同様の価値を競合他社も提供しているのであれば、顧客から見て特別な価値と認識しづらいためです。
経営戦略の仮説③:HOW?
活用できる自社の強みの仮説を立てます。
HOWというと方法論を考えがちですが、ここで考えるの企業の強みです。つまり、メインターゲットに対して価値提供するために活用できる強みは何かを考えるのです。
繰り返しになりますが、この段階では仮説で良いので、直観的に考えればOKです。
経営戦略の仮説を使った経営分析の方法
以上のように、あらかじめ戦略の仮説を立てることで、格段に経営分析がやりやすくなります。
経営分析をする際には、経営戦略の仮説が正しいことを証明するためには、どんな情報を取得すれば良いのか?という意識を持つと良いです。
仮説の証明というゴールがあるので、分析麻痺症候群に陥らず、有意義な経営分析となることでしょう。もし仮説が間違えていたとしても、収集した情報をもとに仮説を立て直し、再度証明していくことがで、早く質の高い経営分析になります。
まとめ
次回予告
次回は、外部環境分析の一環としてPEST分析を活用する方法を投稿します。1月27日(土)投稿予定ですので、ぜひご覧下さい。
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