ペトロールズと生活と
ペトロールズの好きなところ。
挙げればキリがないけれど、一貫して言えるのは利益やエゴ、建前といった邪念がなく、ただ音楽とその空間を愛して、飾らずありのまま、演奏していることが伝わるところ。
3ピースというバンドの構成も間(ま)を大切にしたサウンドも、究極まで削ぎ落とされていて、ダイレクトに演奏の素晴らしさが伝わってくるところが大好き。
確か高校1年生の時、雨の弾き語りに出逢った。
弾き語りだけで最後まで動画を見てしまうのは初めてで、なんだこの曲は と思った。その関連動画に出てきたのがペトロールズのProfileだった。
直感的にビビッときた。このバンド、私大好きだと思った。この音楽たちのように生きていきたいかも、なんてマセたことを結構本気で思った。この3人が紡ぐ音に乗っていたら本当に風になっている感覚だった。
高校生の間、ライブに行くお金も時間もなくてそもそも会いに行けるという発想もなく、ライブ動画を勉強の合間に見て、聴いて、3人の奏でる音楽が私にとってヒーリング剤になるのに時間は要さなかった。
大学1年生の秋、初めてペトロールズのライヴに行けた。誘える同士もいなくて1人で向かう初めてのライヴだった。
バイト代で買えた紙のチケットがとにかく嬉しくて。3年越しに会えるんだ!って。
まだコロナ前だったから、会場もディスタンスなんぞ考えず、小さなライブハウスだった。
早く行ったら前列で観れる、なんて知識はまだなく、予定を終えて悠々と向かうと、ステージのほぼ真ん中をドンっと遮るような大きな柱の後ろしか空きがなかった。
そこに向かい、3人見切れる姿を横目に、ほぼ聴覚だけで初ライヴを楽しんだ。もちろん距離なんて弊害は全く問題なく、めっっっっちゃくちゃ楽しかった。
ポワポワ温かい気持ちになれて、ナチュラルなのに研ぎ澄まされた音楽と、ただ3人が会場に話しかけてくれる雑談中心のMC。Renaissance収録以外の新曲もたくさん聴けて、その全てが今まで聴いたことのない類いの音楽で、既存曲も音源よりもっと耳心地が良くて、3人のライヴの虜だった。
毎年この3人の音楽を聴くために、勉強しよう、仕事しよう、生活をしよう、大袈裟ではなく本当にそう決心した。
日常に寄り添ってくれるペトロールズという存在が、辛いことやるせないことで泣きそうな時どれだけそっと胸を貸してくれたか。上手くいっているときにどれほど追い風になってくれたか。肩に力が入ってしまう身構えてしまう、そんな場面で、気楽にやっていいんじゃない?もっとシンプルでいいんじゃない?とどれほど包み込んでくれたか。
くだらないことで笑い合う3人の空気感にお邪魔させてもらって、とりあえず明日も頑張るかという気持ちにさせてもらったことが何度あったか。計り知れない。
ありがとうを伝えたくて、Twitterも始めた。
沢山の同じ気持ちのファンと仲良くなれた。
同等の熱量で、3人の良さをこれでもかと語り倒した。
遠征という手があるんだ!ということを知り、ペトロールズきっかけでいろんな地に足を運んだ。セトリとMCをいつでも思い返せるように、自分で拙いながらも記録をつけ始めた。
いつの間にか足を運んだ公演数も20を超え、高校生から大学生、そして社会人になった。
目覚ましもスマホの背面もペトロールズにして、それら全部大切なお守りになった。
サブスクが主流になりそうなころに初めて買ったペトロールズのRenaissance。フィルムを剥がして、真っ白なCDと奇抜な形の歌詞カードが三角形の一辺から出てきた時はとにかく心が躍った。
最近のライヴでは、ペトロールズの未来を想像させていただくMCが多くて。それが本当に嬉しくて。
必ず「次もやります」「年始にもう一度」「追加公演が、、」って言葉が出てくる。ライヴをご本人たちもたくさんやろうとしてくれているのが分かる。
あー御三方がおじいちゃんになって私たちも老いても、ペトロールズがいれば幸せだな〜年に2回は肩の力抜いて楽しめるなって本気で思って救われてたんだよね。
ついこの間の11/11の追加公演にも、翌日在宅で丸一日試験だったくせに、在宅の大荷物抱えて仕事終わりに行った。
社会人になっても執着すごいな〜と自分で笑っちゃいそうになるぐらいの愛に驚いたけど、今になってみたら何にも間違えてなかったな。
ライヴの金八先生、もう聞けないのかな。
ペトロールズ専属ですからねと笑っている彼を見ることはできないのかな。
大好きなレッツゴゥとキレキレのドラムを同時に見ることは叶わないのかな。
「俺からか」とMCから曲入りのタイミングを伺う、控えめボブさんはどこにいらっしゃるんだろう。
急にドラムをかき鳴らして「今からお前らに🎶この一曲をお届けするゼ」とイケてるボイスで会場の温度を上げようと試みて、長岡さんジャンボさんから「びっくりした〜」と言われる、2人との温度差が激しいお茶目なボブさんが大好きなんだよな。
SEKKINSENの前奏で2人がボブさんに寄っていくやつ、最近やってくれないからそろそろ来るかもなって勝手に思ってた。
ドライアイスで後頭部が焦げた話ももう一回聞いて大笑いしたい。
高校の同級生らしい、長岡さんとの無邪気な掛け合いが見たい。
まだしばらく実感がわかないし、受け止められず、涙も出て来ず、心ここに在らずな状態ではある。
でも、過去の思い出は確かに自分の中にある。
それを今は楽しく遡っていくことがボブさんへの弔いになったらいいな。
ご家族の皆様と長岡さんとジャンボさんと花岡さんと出口さん。それから沢山のスタッフの皆さんが心配でなりません。どうか暖かくしてご飯を食べてほしいです。
表舞台に出るのにいくら時間がかかっても構わないです。ファンはきっといつまでも待っているし、この先どんな形になっても、もしその機会が無かったとしても、音源はずっとそれぞれの手元に、ライヴの思い出はそれぞれの心の中にあるから、確かにここに。
沢山、ありがとう。
ボブさん、大好きです。
ペトロールズの3人が、大好きです。
いままでも、これからも。