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小6に立憲主義を教えてみた。~実践編~

こんにちは!
largehillです。
いかがお過ごしでしょうか。
 
大学院に入って早2カ月、怒涛の勢いで時は流れています。
大変なことも多いですが、楽しい日々です♪

さて今回は私がアルバイトしている塾で実施した社会科授業についてです。
お題は「立憲主義」、これを小学校6年生に教える授業をしました。
「立憲主義を小6で!?」と思う方も多いでしょうか。
しかし立憲主義は憲法を読み解く上で欠かせない概念であり、将来訪れる可能性のある憲法改正でも働かせる見方考え方になるはずです。

中心の問いは「日本国憲法は○○が××に守らせるルールである。○○と××には何が入る?」です。
小6最初の社会科授業、まずは身の回りをふり返ることからはじめました。

みんなの知ってるルールって何?

思いつく限り、自分のノートに書き出させます。
「人を殺してはいけない」
「赤信号はわたってはいけない」
「廊下を走ってはいけない」
いろいろ出てきます。
どうやら子どもはルールと聞くと「~してはいけない」という文言を思いつくようです。
私としては、道徳的なルールと法的なルールについてどこまで踏み込んでフィードバックすべきかは悩みました。

「~してはいけない」という以外のルールはないの?

これを聞くと「そんなルールある?」と子どもは聞き返してきます。
そこで授業者はこんな例を出します。
「20才以上はお酒を飲んでもよい」
「私たちは税金を納めないといけない」
なるほど、「~してもよい」「~しないといけない」というルールもあるぞ。
これに気づかせることが必要です。
そしてここで「~してもよい」というのは「~する権利がある」、「~しないといけない」というのは「~する義務がある」という形で、権利・義務というワードを出します。
権利と義務は憲法学習で必ず出てくるワードです。
ここでその意味を確認しておきます。

では、ルールを守るのはだれ?守らせるのはだれ?

ルールには3つのタイプがあることが分かったところで、中心の問いに繋げる次のフェーズに進みます。
たとえば「廊下を走ってはいけない」というルール。
これは誰が守るルールでしょうか?
子どもは「生徒」といいました。
そうですね、ではルールを守らせるのは?
「うーん、校長先生?」「学校の先生!」
そう、このルールは先生が守らせますね。
つまり「廊下を走ってはいけない」というルールは「先生が生徒に守らせるルール」といえそうですね。
先ほどみんなで出したルールを「○○が××に守らせるルール」という形で表してみましょう。

ここから言えるのは「ルール(きまり)は守る側と守らせる側が存在する」という一種の法則です。
この視点は法概念を理解するうえで欠かせないものではないでしょうか。

となると、日本国憲法は…?

日本にあるルールの中で頂点にいるのが「日本国憲法」というルールです。
ルールということは「守る側と守らせる側」がいますよね?
では、日本国憲法はだれがだれに守らせるルールなのでしょうか??
今回の授業では、日本国憲法の大きな三本柱『国民主権・平和主義・基本的人権の尊重』それぞれで確認してみましょう。

実は「日本国憲法は○○が××に守らせるルール」に正しく答えられる大人は意外と少ないんだよ。
こんな風に子どもたちを探求へといざないました。

その後の展開

国民主権、平和主義、基本的人権の尊重はどれも日本国民が日本政府に課したルールだと言えます。
授業ではそれぞれの項目についても押さえつつ、それぞれのまとめで「国民主権は○○が××に守らせるルールである!」という形式のまとめを作りました。
子どもからよく出た言葉は「国民が政治家に守らせるルール」である、という形です。
この発想は間違っていないですよね。
ただ、××にあたる言葉を子どもたちから導き出すのは難しかったです。
授業者の足場架けによって「政治家」という言葉が出てきたという感じです。
ここはとくに改善の余地がありますね。

三本柱から「日本国憲法は国民が政府(国家)に守らせるルールである」という最終的な答えをつくりあげました。
そして「憲法によって政府の力を制限するという考え方」である立憲主義というワードにも触れ、今回の小単元を終えました。

あなたなら何と説明する?

やはり実践をしたうえで理解しているかを評価することは大事なことです。
政治単元(日本国憲法・地方自治・国政)のまとめテストで次のような簡単な論述問題を出しました。
皆さんならば、何とお答えになるでしょうか。

中学生のAくんは憲法記念日に親せきのおじさんと学校で学んだ憲法の話をしているときに、おじさんに「憲法というのは国民の三大義務というのがあるように、政府が国民に対して命令しているものなんだよ。だから大切に守らないといけない!」と言われました。しかしAくんは学校で「憲法は国民が政府に対して命令しているきまり」だと教わっています。おじさんにこのことを伝えるために、あなたならば何と説明しますか。日本国憲法の三本柱のどれかと関係づけて、おじさんへ伝えるように書きなさい。 

子どもたちは自分なりの言葉で立憲主義の発想で説明を試みていました。
(さすがに子どもの回答はお見せできないので、そこはご容赦を💦)
小6であっても「難しい」と思われている立憲主義を説明することはできるようです。

(続きはこちらから!)


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