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voices -LIVE FUN!!- アルストロメリア特集

FUN INTERVIEW

(取材・文:蜷川)

それでは、まず最初に自己紹介をお願いします。

ツァッキツァッキと申します。ストレイライト、そして黛冬優子担当をしていますが、シャニマスの中ではアルストロメリアが曲で一番好きというところがありますのでこちらの部門に参加させていただきました。しっかりとアルストロメリア担当というわけではない観点からお話ができればと思います。よろしくお願いします。

ponponと申します。シャニマスのサービス開始当初からアルスト推し、特に甜花担当としてやってきています。グレ7には届かないような感じでまったりとプレイしています

☆アルストロメリアと楽曲の印象

それでは早速本題に入りまして、一番最初にアルストに対して抱いていた印象はどうでしたか?

ツァッキ:まずそもそもの前提としてシャニマスに入ったきっかけが芹沢あさひと浅倉透だったんですよね。なんですけど、ゲームをやり始めるも W.I.N.G. で負けて投げる、というのを何回も繰り返していまして実は塩漬けにしていた時期も結構ありました。その繰り返しの中でたまたま甜花ちゃんを選んで始めた際にグッと本格的にハマったので、甜花ちゃんは個人的に思い入れがあるアイドルだったりします。アルストロメリア全体の印象としてはベタですけどガーリーな印象を抱きつつ、特に甘奈に危うい色気のようなものを感じていまして、単純なガーリーさだけではない少女性とアダルトな雰囲気が同居しているユニットだなと感じていました。
pon:僕はそれこそ事前登録の頃から始めていて、デレマス(アイドルマスターシンデレラガールズ)でいうところの Cute 属性が好きだったところもあって、そのような枠のアイドル・ユニットはいるかなという目線でみていたら甜花ちゃんやアルストがまさにその方向性だったので「これはアルストで始めるしかないな」と思ったのが第一印象です。僕がシャニマスに入るきっかけとしてもアルストのキュート感が強く影響していましたね。

アルストの第一印象としてはやはりガーリー・キュート方面が一つ重要な見方になってきそうですね。そんなアルストですが、初めてアルストの曲を聴く人にオススメしたい曲はありますか?

ツァッキ:これはさすがに『アルストロメリア』ですね。
pon
:はい、僕もアルストロメリアの『アルストロメリア』です。ユニット名を楽曲に持ってきているのももちろんそうなのですが、それ以降 6 年にわたっていろいろな方向性のキャッチ―さがあるアルスト楽曲がリリースされていく中で、それらを楽しむためのすべての下地になるようなアルストが持っているエッセンスを一番前面に出しているのがこの曲の良さかなと思います。個々人の良さよりもアルストロメリアとはどいうユニットなのかという点にフォーカスを当てて理解を進める一助になるのかなと思いますので、新規の方にはこの曲から入ることをオススメしたいです。
ツァッキ:僕はこの曲のグルーヴ感があると言いますか、ダンサブルな感じがあるところに一番最初に驚きました。もともと地下アイドルも含めたアイドルオタクをやっていた時期もありまして、その文脈を踏まえて『アルストロメリア』を聴いたときに現地で聴いて楽しい曲という枠でこの曲が最も衝撃的でした。今からシャニマスをハマった人にも現地で『アルストロメリア』を浴びてほしいし、なんなら 6th 横浜 DAY2 のだぶるは(コメティック 鈴木羽那・郁田はるき)のカバーなんかはもうとんでもない衝撃を受けたのですが、とにかく何かしらの形で新規の方にも『アルストロメリア』を生で聴く機会はあってほしいと思いますね。

それでは続きまして、原点としての『アルストロメリア』から時が進んだ今のアルストロメリアについて、印象が変わったところはありますでしょうか?

ツァッキ:コミュをしっかりと追っているわけではないのですが、『薄桃色にこんがらがって』は一つのターニングポイントだと思っていまして、アルストロメリアの 3 人という関係性は同じユニットで活動している仲良しな側面だけではなくて、このコミュではライバル心やそれにとどまらない複雑な感情までもが複雑にもつれ合って人間ドラマが描かれていくところが印象的です。それに加えて、僕自身兄弟がいるということもあって『アンカーボルトソング』で兄弟姉妹が互いに持っているコンプレックスを的確に描いているなとも思っていまして、冒頭に言いましたガーリーの裏にある色気があるというもともと持っていた印象から、人間ドラマを描こうとしているんだとアルストの 2 ~3 年目のコミュで思うようになりました。
pon:そういった人間ドラマに通底するテーマとして「愛」や「恋」のような自分の持っている感情を進めるか否かと向き合うコミュが多いなと思っているんですが、やはりツァッキさんも仰っていた転換点前後で見比べてみると今のコミュってそれぞれの歩みのペースは違いながらも変わることに対してポジティブに進んでいるなという変化を感じています。彼女たちが進んでいく中でアルストを始めた際に思い描いていた幸福の形がいい意味で変容している、変容していく様子が感じられるところをシンプルに良いなと思っています。『薄桃色にこんがらがって』が何かと話題に上がって実際に僕もすごくいいコミュだとは思うのですが、こういった観点からも『アンカーボルトソング』が個人的にはすごく刺さっていまして、ぜひとも『アンカーボルトソング』については GR@DATE WING 05 の 2 曲と合わせて一緒に読んでいただけたらと思います。
ツァッキ:『アンカーボルトソング』で印象的な表現といえばやはりアルストの 3 人が雨の中建物に入っていくシーンが何度か描かれるじゃないですか。あれがすごく映画的だなと思っていまして、コミュを読むゲームとしてのシャニマスにおいて小説っぽい語り口ではなくああいった構成・演出の妙みたいなところからも攻めてくるところもこのコミュの面白さかなと思っています。
pon:『流れ星が消えるまでのジャーニー』にも近い方法論が使われていて、一つのまとまった作品を読めたような読了感が感じられますね。

☆少しずつ変わり、伝えていくユニットとしてのアルストロメリア

ここまでいくつか印象的なコミュの話にもなりましたが、そんなアルストのコミュとあわせて聴きたい楽曲の組み合わせはありますか?

pon:先ほどからお話させていただいている『アンカーボルトソング』とあわせて、曲の方では『ラブ・ボナペティート』を聴いていただきたいです。

pon:この曲って普通に聴いているとレトロポップで可愛い曲という印象があって、実際歌詞のストーリーとしてはお菓子を作っていたりかわいらしいフレーズが多用されるキャッチ―さも強く前面に押し出されているのですが、『アンカーボルトソング』の後に歌詞を振り返ってみると少しダークで重めなところがちらっと見えてきまして、例えば「ふわふわクレーム重ねて」というフレーズではこのコミュが描いている個人それぞれでの仕事が増えていくユニット内やファンとのすれ違いを裏の方で暗に描いているように見えるなど少しずつ散りばめられいるように感じています。でも、最終的には「匂わせ」をキーワードとしてアルストロメリアというユニットに対して 3 人それぞれの想いや、ファンのアルストロメリアに対する想いを『薄桃色にこんがらがって』とは異なる視点で描かれていたな、という印象です。
歌詞や曲調の第一印象が与える可愛さはもちろん表面としてそれでコーティングされているんですが、中身としてはそういった感情も秘められているところがより深く読み込んでいくと隠れているのがちょっと気持ち悪いなと感じちゃうぐらいすごいなと思います。
ツァッキ:僕の方のオススメとしては、これに言及しないのは嘘になっちゃうので言わざるを得ない部分もいくらかあるのですが、やはり『YOUR/MY Love letter』と『Anniversarry』ですね。

先ほど映画的な表現という話もしましたが、このコミュでは今まで以上に多くの視点が出てきてアルストロメリアがほとんど出てこないというコミュだったんですよね。一番最後にアルストロメリアがラジオでリスナーに呼び掛けて『Anniversarry』が流れるシーンは、単純に話を読むだけのゲームやフルボイスでないゲームでは得られない感動を出してきたなと。僕は『Anniversarry』という曲単体にはそこまで強い愛着はないのですが、当時これはズルいなと思ってしまいました。『YOUR/MY Love letter』は実際すごく人気のコミュで一番良かったイベントコミュとして挙げる人が多いですが、コミュとしては搦め手だし一回きりの芸だとは思いつつ、シャニマスでしかできないコミュだなと思います。シャニマスを全く知らない人にも読めるとは思いますが、シャニマスが描こうとしているところも含めてシャニマスがどういったゲームなのかを知ってから読むとたぶん感動もより深くなると思っていまして。シャニマスの通底するテーマとして「昨日より良い自分になる」というものがあると仮定したとして、このコミュで出てくる登場人物が抱えているパッとしなさや煮え切らなさに対してアルストロメリアがラジオを通してその登場人物たちが何かしらの変化を被る構成ではあるのですが、このシャニマスのテーマをシャニマスをプレイしていく中で直観することで『YOUR/MY Love letter』の威力がより増すんじゃないかなと思います。
pon:……あと追加で、話もすごく変わってしまう上に半分思い出にはなてしまうのですが、6th 横浜 DAY1 にアルストロメリアの 3 人で『デビ太郎のうた』を歌ってくれまして、【Pop-Up!My ♡】大崎 甜花の後でそれをやってくれたのが非常に嬉しかったです。本当に【Pop-Up!My ♡】に関しては甜花Pのご褒美のようなコミュだったのに、さらにやらないと思っていた『デビ太郎のうた』をユニットとして見ることができたのは、個人的な感謝でしかないですけど、心からありがとう……と伝えたいです。

これまでのお話の中でも「変わっていく」ことがアルストのテーマの大きな一部になっていると感じますが、楽曲面でアルストの変化を感じるところはありますか?

ツァッキ:歌い方や曲調に着目すると、初期は『アルストロメリア』『ハピリリ』『Bloomy!』などのアップテンポでダンサブルのアイドルアイドルした曲が続いていたのですが、それこそ先ほど話に上げさせていただいた『Anniversarry』やソロ曲の方では『Sweet Memories』や『また明日』などのスローテンポな曲を歌うことによって、その後の曲でアルストロメリアの複雑なニュアンスをだんだんと表現できるようになったのではないかなと思います。
pon:おそらくその変化とあわせてなところもあるとは思うのですが、アルストの歌詞って誰かに何かをしてもらうのではなくて、自分の考えをきちんと持って誰かに何かを与えるっていうところが徐々に歌詞の方でも移り変わっていくテーマとしてある気がしていて、そうしたときにじゃあアルスト自体は何を受け取るんだろうと感じているところが強いです。『Love Addiction』とかは恋愛に夢中になっている女の子というイメージはあるのですが、『アルストロメリア』や『Bloomy!』ではあまり自分のことを念頭に置いていないというか相手のことをすごく考えてどう動くかが強く描かれていると思っています。一方でその後の曲では相手に何かをしてあげるというよりかは自分はこう思っているから相手に対してこういった感情を向けているよ、という描き方をする歌詞がより多くなってきて、彼女たち自身の成長の中で優しさの形が少しずつ変わっていっているところにある意味での説得力というか力強さを感じます。まあでもその流れで考えると『Give me some more…』とかびっくりしちゃって……(笑)
ツァッキ:いやぁ、『Give me some more…』いいですよね!ちょっと話はそれちゃうかもしれないんですけど、僕はアルストロメリアの本質のようなものの一つとして 10 代後半から 20 台前半の女の子がふとした瞬間に見せる単なる色気だけじゃないエロティックさがあると思っていて、アルストロメリアってたぶん確信犯的に楽曲でもそれをやっていると思うんですよ。
pon:ですね(笑)。それはすごく感じます。
ツァッキ:これも『アルストロメリア』からずっと通底しているテーマの一つだと思うし、『Anniverssary』みたいな曲がある一方で『Give me some more…』みたいな曲もあるという幅の広さは当初では考えられなかった魅力だと思いますよね。

そんないろいろな楽曲にも挑戦しているアルストロメリアですが、ライブでのパフォーマンスで印象に残っているものはありますか?

pon:外せないなって思うものとしては、1.5 周年の感謝祭(283プロダクション プロデューサー感謝祭 ~1.5 Anniversary Festival~)で披露された『Bloomy!』ですかね。朗読劇もよかったんですが、あのカメラワーク……いやぁ足トントンやりやがったなお前!みたいに思いまして……。それ以降も 「MUSIC DAWN」 などでも続いていましたが、一番最初にやろうと思った人は本当に天才だなと思ってこれは確実に挙げないといけないかなというところです。それと「MUSIC DAWN」ではドローンの演出も斬新で、「よう考えるねぇ、君ィ!」と映像観ながらおっちゃんムーブをしていましたね(笑)。シャニソンの MV でも足トントンのところはしっかりと踏襲されていて、あれはプロデューサーたちがあの映像に対して熱狂しているっていうのがちゃんと調べた上で取り込んでいくれているようにも感じて嬉しいです。

pon:また、もう一つ挙げるとしたら 5th DAY2 の『Love Addition』ですね。正直ライブ会場でお茶会開くって結構狂ってるじゃないですか(笑)。考えたにしてもそれ本当にやるんだという驚きがあったのと、前川さん(大崎甜花役前川涼子さん)が持っている甜花のイメージを演技としても出力する際に、テーブルでお茶会して移動してダンスという流れの中で甜花ちゃんだけ結構長めにお菓子をつまんでバタバタとダンスに入っていくところでも僕らの持っているイメージにちゃんと寄り添って演じられているとすごく感じられましたね。プロデューサーたちが好きだと思っているところを丁寧に汲み取って表現していくという意味ではその部分でも同じようなものを感じました。
ツァッキ:僕の方からですけど、pon さんの熱量を聴いた後だとなかなかかなわないところもあるんですが、僕自身の経験として初めて現地に行ったシャニマスのライブが 4th DAY2 でして、たしか最初の全体曲の次にやったユニット最初の曲が『パステルカラー パスカラカラー』だったと思うんですよ。やっぱりずっと 2nd ライブあたりからシャニマスを始めて曲も聴いていて、アルストの曲が好きだなと思いながら最初に行ったライブで最初に浴びた曲がこの曲だったというのが個人的にすごく印象に残っています。4th のセトリや幕張メッセの音響はあまり褒められたものではないなど思わずにいられないところはあるにはあるんですけれど、それでも最初に行ったライブでデカい音でアルストロメリアのあの甘くて踊れる音がスピーカーからガンと出てきた衝撃というのは今でも覚えていますね。

pon:4th はそれこそ『Secret utopIA』などのこれまでのユニットじゃない組み合わせの初披露の場でもあったので、当時時点でかなり曲としての可能性が広がった印象を受けるライブでもありましたね。
ツァッキ:その流れでいうと、SHHis が正規メンバーとしてパフォーマンスしたのも 4th でしたし、……いろいろと考えざるを得ないところが多いのは認めるのですが(笑)、手紙演出なども含めて一定の意味で可能性の広がりが形になった良いライブでしたね。
pon:良くも悪くも「シャニマスらしい」ライブではあったかと思います(笑)。

☆アルスト楽曲の魅力、そしてこれからのアルストに期待すること

4th から 5th にかけてはシャニマスの「真面目さ」みたいなものがギュッと凝縮されていたようにも思いますね(笑)。それではパフォーマンスも含め、これまでのお話を振り返りつつアルスト楽曲の魅力とは何かについて迫っていければと思います。

pon:僕は音楽自体に明るいわけではない立場からになるのですが、ポップで可愛い曲調と哲学的なワードセンスが印象的だと思っています。けれどそういったワードが多く使われていながらも自分たちに寄り添ってくれるような歌詞でもあるのかなと。曲の全体で持っている柔らかさがもともとデレマス楽曲でも好きだったので、そこに良さを見出しているところはあります。また、そういった哲学的なワードに関しては、これってどういう意味なんだろうという良い意味での引っ掛かりがあって、そこから調べてユニット自体のコミュへと興味が派生していく奥深さを個人的に他のユニットより強く感じて、そこがアルスト楽曲の魅力の一つかなと思っています。自分で調べて発見がある、という体験があるのがわかりやすく散りばめられているのがアルスト楽曲の特徴ですね。例えば、『ダブル・イフェクト』の「マージナルマン」なんか正直最初は誰やねん、とか思ってましたけど、それを調べて掘り下げていくと千雪の立場がわかる、みたいな流れですね。
ツァッキ
:僕はやはり入口が曲の良さでアルストロメリアに入ったのでそういった別の目線からになるんですけど、アニソンやアイドルポップスって基本的にロー(低音)がカットされて高音がシャリシャリしちゃうっていうのが傾向としてあると思っていて、でもアルストロメリアの曲って特に『アルストロメリア』だったりとか『Give me some more…』だったり、低音が充実しているっていうのが凄くうれしいです。最近印象に残っているところだと、 6th 横浜 DAY2 は K アリーナ最上段の LEVEL 7 で参加していたんですけど、『Love Letter』のキックが強すぎて(笑)。間奏中のMCが終わったあとキックがかましてくるんですけど、もうハチャメチャで最高でしたね。……で、そんな感じでベースやドラムがガンガンに躍らせてくるってところもあったりグルーヴ感も出せたりするのと、客と 3 人それぞれの独特な声の甘ったるさがユニゾンで入ってくるときに思わぬマリアージュがあったりするところが僕は非常に好きです。アイドルを観ながら身体を動かすということにおいて、凄く本能的に訴えかけてくるのはアルストロメリアが随一なんじゃないでしょうか。しかし、その一方で三次元アイドルのポップスの構造的なセオリーにも則っていて、例えば MIX や口上が入るな、なんて無意識的に思っちゃうんですよ。そういった三次元アイドルの流れを受けつつも美少女ゲームにおけるアイドルのポップスとしても成立していて、単なる三次元アイドルのパロディにもなっていないし、アニソン的なものから安易にアイデアを流用もしていないので、ある意味で美少女ゲームにおけるアイドルポップスの立場というものを自分たちなりに再解釈・再定義しているのがいいところだと思います。
pon:ほぉ~~~。そういった視点はないので、お話聞いててすごく面白いです。
ツァッキ:それでは少しだけ掘り下げて話をすると、アルストロメリアの曲の方向性の元になってる三次元アイドルって、AKBとかももクロとかよりかはライブを中心に活動していたアイドルの文脈がより強いと思っているんですよね。その中でも松井寛という方がプロデュースしていた東京女子流とかはアルストロメリアが好きな方はハマるかと思います。女子流は完全に UK ファンクの文脈ですけど、その文脈でアイドルポップスとしても完成度が高い、という在り方の側面からもアルスト楽曲が好きな人にはオススメですね。

私もそれなりに三次元アイドルを追いかけている身なので、今日こういったお話を伺えて非常に楽しいです。ponさんの方にも是非いろいろと曲を聴くきっかけになってくれたら嬉しいですね。……それでは最後になりますが、これからのアルストの活動や楽曲に期待することをお聞かせいただけますでしょうか。

pon:ある意味で『YOUR/MY Love letter』が第一部の節目だと思っていたので、そこから彼女たちがまた違う幸福について辿っていくその姿をちょっとでも長く見られたらというのを特に 5th DAY1 以降は……ね、凄く感じたなぁっていうところがあります(笑)。アルストロメリアじゃなくなっても彼女たち 3 人の関係は変わらないっていうところは改めて感じられたんですけど、可能なのであれば少しでも長くそばで各個人・ユニットとしての活動を見守っていきたいなと思っています。
ツァッキ:僕の方は、僕自身兄という立場もある分シンパシーを感じるところもあってやはり断トツで思い入れがあるのは甜花ちゃんで、甜花ちゃんが最初何もできない人間として描かれて、それからいろんな人に愛されて存在自体が祝福されている人として描かれているのが良さだと思っているんですね。そういうのを改めて甜花ちゃん個人のコミュでもユニットのコミュでも 3 人それぞれ、例えば千雪だったら少女性だけではない何かがあるとしたらそれは何なのかとか、それとこれは気を悪くしていただかないでほしいんですけど、語弊を恐れずに言うとシャニマスっていうゲームの中でも七草にちかが凡庸さの象徴として描かれていると思うんですが、本当に凡庸なのって甘奈だと思っているんですよね。この意味での彼女の何もなさもまた魅力だと思っていまして、こういった形で 3 人各々が抱えている人間性の本質的な問題に肉薄していくコミュが読めるといいなと思っています。また、曲の方では、先ほども少し触れましたが、アルストロメリアはアイドルポップスの再解釈だけで終わらずに、よくあるコード進行やリズムなどのアイドルポップスの形式性に則りつつジャンルを破壊するような前衛的な表現を望んでいますし、アルストロメリアにはそれができると思っています。

ミュージックレビュー

BRILLI@NT WING

アルストロメリア
作詞:鈴木静那 作曲・編曲:森本貴大

ギターのカッティングに渋谷系の面影を漂わせながら、Bメロに三拍子を挿入するキッチュな趣向、そして全体のカタルシスを導く劇的な構築は、さながら4分半の官能的なアヴァンチュール。「アルストロメリア」の毒薬じみた甘さは、シャニマスリリースから6年を経た今なお多くのリスナーを陶酔へと誘っている。

text by ツァッキ

ハピリリ
作詞:鈴木静那 作曲・編曲:SHOW(Digz, Inc. Group)

シンプルなメロディ構成でありながら、単なる「アルストロメリア」のB面ではなく、ポップスの古典的な様式の中に示されるシンセのリフやリズム隊の生音と打ち込みの往還など、随所にピリッと効いた小技が光る一曲。特に脇役に徹しつつ確かな存在感を放つベースラインは必聴。初々しさの残るヴォーカルも聴きどころ。

text by ツァッキ


FR@GMENT WING

Bloomy!
作詞:鈴木静那 作曲:北ノ原 凉 編曲:伊藤 立

『ファン感謝祭』『薄桃色』を想起させる本曲。この年からより強調されるようになった「変わっていくこと」に対し、あきらめず進めるようアルストロメリアから贈られたエールのように感じる歌詞に、明日の希望の種が芽吹いたPも多いのではないだろうか。誰が欠けても成り立たない、「3人でアルストロメリア」なんだよなぁ。

text by pon

Love Addiction
作詞:鈴木静那 作曲:家原正樹、Jam9 編曲:家原正樹 弦管編曲:森 悠也

「恋愛中毒」というとんでもワードなこの曲。気になるあの人に夢中になっている女の子の恋愛感情を、まるで砂糖菓子のようなかわいく甘いフレーズとおしゃれなサウンドで彩った、アルストロメリアらしさ全開の曲になっている。5thDay2のライブを見ていなければぜひ見ていただきたい、みたかった景色がそこにはある。

text by pon

GR@DATE WING

ダブル・イフェクト
作詞:鈴木静那 作曲:丸山真由子 編曲:ats-

明るい曲調ではあるものの、堕天した者と守護天使の一途な愛による楽園からの逃避行という歌詞の中に、『薄桃色』での甘奈と千雪の葛藤もみられる非常にヘヴィな曲になっている。また、『楽園に背く』が関連コミュとなるが、絶賛発売中のスタイルブックでは初めて明かされた設定もあるため、ぜひ読んでいただきたい。

text by pon

Anniversary
作詞:鈴木静那 作曲・編曲:三好啓太

無償の愛がそのまま曲となった、そう感じてしまうほどにこの曲は慈愛に満ちている、アルストロメリアの集大成。大切な誰かの門出を祝福する歌詞であり、様々な想いを運んでくれる。『ダブル・イフェクト』や各々の『GRAD』、イベスト『YOUR/MY Love letter』で異なる想いを感じてみても良いだろう。

text by pon

L@YERED WING

パステルカラー パスカラカラー
作詞:鈴木静那 作曲:YUU for YOU、Giz’Mo(from Jam9) 編曲:YUU for YOU

ファンの様々な想いの花びらたちを、呪文のようなフレーズ(ラテン語)に愛の香りをのせて夢の舞台へ誘ってくれる本曲。曲中では彼女たち一人一人が変化していく中、それでも変わらないアルストロメリアへの想いを届けてくれる。LWは両面『アンカーボルトソング』のコミュが強く反映されているため、興味がある方はぜひ。

text by pon

ラブ・ボナペティート
作詞:鈴木静那 作曲・編曲:石井健太郎

昭和ポップ調のかわいい曲とは裏腹に、アルストらしい甘さの中にちょっぴり隠れるほろ苦さを感じる曲。こちらもイベントコミュとリンクする歌詞が多く、「ふわふわクレーム重ねて」という歌詞から気づいた方も多いのではないだろうか。お菓子作りに合わせて紡がれる、彼女たちの想いの香りに誘われてみてはいかが?

text by pon

PANOR@MA WING

VERY BERRY LOVE
作詞:鈴木静那 作曲・編曲:5u5h1

妖しく明滅する三拍子に貫かれるウッドベースのぬくもりやジャジーなピアノのきらめきにまず心をつかまれたかと思えば、サビではどこか郷愁じみた切なさを感じさせるソングライティングが聴き物。アルストロメリア楽曲ではおなじみとなったストリングスとクリーミーなシンセの合わせ技も光っている。

text by ツァッキ

Give me some more...
作詞:鈴木静那 作曲:石黑剛、常楽寺澪 編曲:ArmySlick

流行りのエレクトロスウィングだが、単にダンサブルなジャズというだけではなく、カットアップ的に切り刻まれた生音セクションや2番Bメロでリズムとヴォーカルが裸で絡み合う部分など、エロティシズムと技巧的な卓越を高度に両立させている。恐らくアルストロメリアポップスの中で同時に鳴っている音が一番多い曲。

text by ツァッキ

“CANVAS”

https://youtu.be/xdpTbG4JSpA

メッセージ
作詞:鈴木静那 作曲・編曲:amazuti

その楽曲史の初期から「生音と打ち込みの官能的なマリアージュ」が性質だったアルストロメリア楽曲がベーシックなアイドルポップスに舵を切ったという意味でメルクマール。単にキュートなだけではなく、落ちサビでうごめく低音部はもちろん、円熟した三人の歌声が気持ちよく突き抜ける佳作。

text by ツァッキ

Love Letter
作詞:鈴木静那 作曲:栁沼 廉 編曲:ヤナガワタカオ

「CANVAS」の中ではこの楽曲が一番アルストロメリアらしい搦め手。細かく切り刻まれたドライなエレクトリックピアノにユニゾンで三人の声が乗る印象的なイントロはもちろん、大きなアーチを描くようなメロディラインと異様に細かいリズムパターンが対照的なポリフォニックなサビまで、聴きどころが尽きない。

text by ツァッキ

グラデーション
作詞:鈴木静那 作曲:YUU for YOU、Giz’Mo (from Jam9) 編曲:YUU for YOU

テン年代前半の良質なアイドルポップスを思わせる、地味だが丁寧な作り込みが光る。一聴では聴き逃してしまいがちだが、「踊る」ことに特化したファンクやR&Bにルーツがあるであろうベース・リズムのグルーヴと流麗でガーリーなヴォーカルラインが果てしない研鑽の上に成り立っているスルメ楽曲。

text by ツァッキ

Song for Prism

明日もBeautiful Day
作詞:鈴木静那 作曲:丸山真由子 (Blue Bird's Nest) 編曲:清水武仁 (Blue Bird's Nest)

アルストロメリアの3人が言葉だけではない、「やさしさ」を歌に乗せて「あなた」に届けてくれる曲。ファンとのすれ違う感情にも諦めることなく、「やさしさ」を届けようとしてくれる彼女たちが紡ぐ歌は、まるで花畑に漂う甘美な香りのように、日々を懸命に生きる「あなた」をそっと包み込んでくれるのではないだろうか。

text by pon

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