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12月15日、加藤兄弟が後楽園ホールをジャックする! 20191215加藤兄弟試合直前戦況解説

LARA column series.2
20191215加藤兄弟試合直前戦況解説


2019年12月15日、後楽園ホール、K-1実行委員会主催興行「K-1 KRUSH FIGHT.109」でLARA TOKYOのトレーナー、レオナ・ペタス(加藤玲於奈)と加藤玲於奈が出場。しかもメインイベントとセミファイナル。レオナは、K-1 KRUSH FIGHTスーパーフェザー級タイトル初防衛戦。虎於奈は、元チャンピオン(第3代Krushウェルター級王者)、牧平圭太と対戦。加藤兄弟が大看板となる初めてのイベント。

これに際し、直前情報として彼らの師である半澤英俊(LARA TOKYO会長)の話を元にLARA発信の試合見所解説をお届けしよう。

“石の拳”という伝説のニックネーム(※1)をK-1シリーズにて継承するレオナのナックルの硬さはプロデビュー前から相当のものだったという。それは試合やスパーリングでグラブを合わせたファイターたちの一致する感想だが、そんなレオナの最大の武器は、それよりも“闘争本能”にあるという。

「アマ時代から相手が倒れるまで打ち続ける気持ちの強さは際立っていましたね。新空手(※2)の時なんか、ワンデイトーナメントで武尊選手に勝ちながら決勝戦でパンチの連打で倒れた相手にヒザを入れちゃって反則負けでKO優勝を逃しちゃう。冷静さに欠く甘さは若さとしても、あの殺気は今も衰えることがないですね」

この反則攻撃は、本人曰く「腰を落としただけと思って打ち込んだら……」と故意ではないというが、ヤングレオナの暴走は、まだしばらく続いた。

「アイツ、中島(第3代Krushスーパーウェルター級王者の中島弘貴)とか格上で階級も上の先輩に『マススパーだ』っちゅうても常にガチをしかける(※3)んで、よくキレられていました(笑)。まー、無謀というかなんちゅうか……けど、普通にすれば手加減されて遊ばれるところを『本気を出させたい』って計算している節はありましたね」

“倒すこと”“強くなること”におそろしく貪欲なレオナは、ずっと真正面を向いている。そこに難敵、山本直樹が立ちふさがろうと、視線は彼を通り抜け、ずっと先を睨んで動かない。

「どんな試合になるかですか? レオナのコメント通り(※4)ですよ。余裕はなわけじゃないです。ただ、時期尚早。今はまだレオナには勝てない」

小宮山工介、大雅、山本真弘といった強者を屠ってきた万全の王者レオナに死角はない。勝負に関して異常に神経質な半澤は、具体的な作戦や用意している武器についての明言を避けたが、堅い口を開いて以下を漏らした。

「山本直樹をナメてはいないですよ。強いと思ってます。ただ、レオナのレベルではまだない。向こうはダムの一角を崩すように一点突破で狙ってくると思っています。基本がキチンとした選手なんでそこが怖いです。こっちも城に籠ってベルトを護るではなく、早めに相手の弱点をついて迎撃しようかなと」

その前にセミファイナルで兄の露払いを務める虎於奈。プロ6戦目にしてこの試合順で相手は名うての強豪と相当の扱いだ。

「お兄ちゃんのバーターで良くしてもらっていることは、いくらなんでもわかってますよ(笑)」

虎於奈は、KING GEARのインタビュー(※5)で「今回は兄がメインで、僕はセミファイナルですが、いずれ逆パターンでやりたいと思っています」と語っているが、相手はレジェンドファイター、山本優弥(レオナの相手、直樹の実兄かつ所属ジム代表)を激闘の上くだしている牧平。どう戦おうというのだろう?

「作戦は何通りかありますが、凄い秘策があるんですよ。何って? そりゃあ言えるわけないけど、決まればビックリするような。まー、お楽しみに!」

レオナと違い、虎於奈を語る半澤はリラックスして笑みが絶えない様子で楽しそうに語る。

「ムエタイで“フィームー(※6)”って言うんですか? とにかく目がいいんですよ。反応速度というか。特に危険察知能力の高さが尋常じゃなくって、勝ち負けじゃなくて『生き残ること』が試合の決着なら世界チャンピオンですよ」

そんな虎於奈だからこそ、ともすれば防御をかなぐり捨ててしまう攻撃型のレオナは、必ずセコンドにこの弟をつけてその指示を重宝してきた。ディフェンシブな虎於奈、ところが今回は真逆に針を振るという。

「倒しますよ。『やられないけど勝てない』ってんじゃ、今回ばかりはどうにもなりません。“判定イコール敗北”って俺もアイツも思っています。これまでみたいにダラダラやって勝たせてもらえるほど甘い相手じゃない」

スポーツ工学の権威、池田充宏博士(※7)が「素質は五輪メダリスト級」と太鼓判を押す“未完の大器”は、そろそろ大輪の花を咲かせる気配を漂わせているのではないだろうか?

「将来、虎於奈がメインでレオナがセミになる? ぶっはははっ、頑張って!」

令和元年12月15日、シリアスな兄とどこまでも快活な弟、対照的な凸凹兄弟が“聖地”後楽園ホールをジャックする!

2019年12月14日 了

※1 伝説のニックネーム “石の拳”は、パナマの国民的英雄ボクサー、ロベルト・デュランの代名詞。

※2 新空手 グローブを着用したアマチュアキックボクシング的要素の強いNPO法人 全日本新空手道連盟が運営する競技。1985年より現在に至るまで無数の名キックボクサーを輩出し続けている。

※3 ガチをしかける スパーリングはあくまで模擬試合の練習であり、マススパーリングは輪をかけてライトコンタクトでなくてはならないが、掟破りに本気を出す非常識。

※4  コメント通り K-1公式インタビュー https://www.k-1.co.jp/news/31514/

※5  KING GEARのインタビュー http://king-gear.com/articles/1185

※6  フィームー ムエタイ用語のタイ語で「万能型」の意。

※7 池田充宏博士 池田博士(http://ikedamitsuhiro.com/)は、長きにわたりボクシングの一流選手などに並行して加藤兄弟のフィジカルトレーニングを監督してきた。
レオナ・ペタスのK-1プロフィールページ:https://www.k-1.co.jp/fighter/261/

加藤虎於奈のK-1プロフィールページ:https://www.k-1.co.jp/fighter/838/
イベント名:K-1 KRUSH FIGHT.109
主催:K-1実行委員会
会場:後楽園ホール
日時:2019年12月15日(日) 17:00開場/17:10プレリミナリーファイト開始/18:00本戦開始
公式興行案内:https://www.k-1.co.jp/schedule/16494/

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