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中国のパリ

こちらの物件に移り住んだ人達は、2000年代という中国が国を挙げて不動産ラッシュに熱狂した時代に建設されたパリそっくりの豪華マンション物件を、誰よりも早く手に入れられたことで、人に自慢のできると(少なくとも当時はそう思っていた)喜んでいたのだろうか。

中国の建築の老朽化のスピードは残酷なほど早い。すでに、彼らのマンションには、くたびれ果てたテーマパークのようなやりきれない風情が漂っている。いまとなっては、こんな気をてらった物件ではなく、ごくふつうのマンションを選んでおけばよかった、という悔恨にとらわれているかもしれない。

今日、多くの中国の人たちは、かつての盲目的な西洋崇拝に陥っていた自分の姿に対する「後悔」の念を抱えているようだ。

貿易戦争での敗北が中国にとってよいことである理由は、不動産バブルの崩壊と住宅価格の下落の可能性が高まることだ。若い世代が手ごろな価格で住宅を購入できるようになることは、家族の形成と個人消費の増加にとって重要な要素だ。これらは、中国経済の輸出型主導型から内需主導型への移行を助けることになる。


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