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和の色名~薫風そよぐころ~

こんにちは、カラープランナーの かわべ みえ です。

清々しい5月に入りました。 心地よいお天気の季節。
個人的に1年の中で、1番好きな時期です。
乾いた風がそよそよと吹き、 なんとも言えない幸せを感じます。

四季を通して、自然の豊かさを感じられる。
そして、その中でたくさんの色を作ってきた 日本人の感性の素晴らしさを思います。 今日は、5月のこの時期らしい和の色名を紹介していきたいと思います。

牡丹華(ぼたんはなさく)美しき頃

百花の王と言われる華やかな牡丹の咲く頃。
牡丹は富貴草(ふきそう)、百花王(ひゃっかおう)、 天香国色(てんこうこくしょく)など、 数々の褒めたたえる美しい別名を持っています。

また「牡丹に唐獅子」という言葉がありますが、 獅子は牡丹の花の下で安心して休む、ことから 「安住の地」を表しているとのこと。


牡丹色(ぼたんいろ)
中国から日本に奈良時代に入ってきた 牡丹の花からとられた色名で、紫がかった赤です。 襲の色目としては平安時代末期よりありますが、 明治時代以降に化学染料が普及し、色名として定着しました。

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牡丹鼠(ぼたんねず)
牡丹色に鼠色を重ねた色です。

農業の吉日 八十八夜

立春から八十八日目の夏も近づく日。 若々しい緑色の新茶を摘み始める日でもあります。 八十八夜に摘んだ茶葉は、長寿の薬ともいわれています。

また、米という字は八と十と八を重ねていることから、 縁起のいい農業の吉日とされ、かつては種蒔きの 大事な目安となっていたともいいます。

鯉のぼりは関東の文化だった 端午の節句

丹後の節句は元々、中国の風習が日本に入ってきたもので、 平安時代は、臣下が髪に菖蒲を飾り、天皇に菖蒲を献上し、 天皇から薬玉(くすだま)を賜り、邪気を祓うという行事でした。 このころは男女問わず、大人も子供も楽しむお祭りでしたが、 武士の力が強くなる鎌倉時代に入り、男子の節句となりました。

兜を飾るようになったのは、武家社会の習わしから。 そして、鯉のぼりは江戸時代以降の関東地方の風習で、 当時の関西にはない風習でした。

色も真鯉(黒)だけだったのが、緋鯉(赤)、 子鯉(青)の順に加わったそうです。 また、中国では健康を願って菖蒲酒を飲みますが、 日本では菖蒲湯になっており、菖蒲の葉の香りと 茎が保温効果や血行促進に繋がります。 柏餅を食べるのは日本の風習で、柏は新芽が出るまで葉が 落ちないことから、家系が絶えない子孫繁栄の縁起物とされました。

和の色名

季節を感じる和の色名。 春から初夏にかけての美しい時期に ちなんだ色名をご紹介したいと思います。

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山吹色(やまぶきいろ)
春の終わりを告げる山吹の花からつけられた色名です。 鮮やかな赤みの黄色。 花そのものは万葉の時代から親しまれていましたが、 色名は平安時代に誕生し、伝統色では珍しい黄色の花の名前です。 山の中で風に揺れている様から「山振り(やまぶり)」が 由来だとも言われています。 「源氏物語 若紫の帖」で光源氏が初めて (紫の上となる)少女と出会うシーンは 中に十ばかりにやあらむと見えて、 白き衣、山吹などのなえたる着て、 走り来たる女子 と、山吹色の汗衫(かざみ)を着た少女を描いています。

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天色(てんしょく)
晴天の澄んだ空の色です。

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空色(そらいろ)
晴れた日の空のような明るく薄い青で、 平安時代から使われている古い色名ですが当時の色は不明です。 江戸時代後期の書物に、「花色より薄く、浅葱よりも濃い」と 記されています。 また、空天色(くうてんしょく)、碧天(へきてん)という 美しい別名があります。

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み空色(みそらいろ)
み空の「み(御)」は尊いものの美称です。

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紺碧(こんぺき)
空や海の深く透明感のある美しい青です。

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紅掛空色(べにかけそらいろ)
明るい青空の空色に紅色を重ねた色です。


今日は5月らしい和の色名をご紹介しました。
清々しい季節の中、お散歩したりする中で 色を感じていただけたらいいなと思います。 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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