#20 アメリカの帰化市民(新国民)による投票に関する英文記事,拙訳(2030字程; 2020/8/15; VOA Learning English)

[↑英文元記事591words]

1.(1) Brenda Cienfuegosさんは先ごろ、合衆国国民となりました。今、彼女はアメリカ人としての新しい権利を行使することに躍起になっています。

 エルサルバドル生まれの Clenfuegosさんは、2010年に合法的にアメリカに来ました。彼女は、今年初めのペンシルバニア州でのアメリカ帰化セレモニーの後すぐに、投票権の登録をしました。

 彼女は2人の子供を持つ母親であり、投票は彼女のようなヒスパニック系アメリカ人(ラティーノ)に発言権を与えてくれますと、VOAに語りました。

 Cienfuegosさんは、11月の大統領選挙ではどちらの候補者を支持する予定ですかと問われたとき、返事をすることをしぶりました。

 「エルサルバドルで学んだように、投票の秘密は守られています。」(in my countryがエルサルバドルを指すか、合衆国を指すか迷いました。とりあえず前者の訳にしています。)「しかし、何か言えるとしたら、私は、ラティーノ・コミュニティをよりよく支援してくれる候補者を支持するつもりです。」と、彼女は言いました。

 Cienfuegosさんは、増加傾向にある、アメリカの民主的過程に参加する新しい国民の一団の一部を占めます。アメリカの国勢調査記録によると、2300万人以上の帰化市民が2020年の選挙で投票することができるだろうと考えられます。Pew Research Center(ピュー研究所:ワシントンD.C.を拠点とする非党派的な情報調査シンクタンク)によると、その数は有権者の10%にあたります

 帰化アメリカ人の政治的な力は、多くの異なる政治団体から認知されています。

(2) Mike Madrid氏はリンカーン・プロジェクトという、トランプ大統領に反対する共和党員である活動家の政治活動組織の共同設立者です。Madrid氏は、帰化市民は生粋のアメリカ人よりも投票率が高い、と指摘しています。彼ら自身が移民でもありますので、彼らはまさしく移民に賛成する有権者団です、とも指摘しました。

 トランプ大統領支持者たちもまた、これら帰化アメリカ人の有権者団への働きかけをしようとしています。

 「私たちは、帰化市民も含めて、一人一人のアメリカ人に働きかけることの重要性を承知しています。」と共和党全国委員会ヒスパニック系広報担当官のYali Nuñez氏は答えました(the Republican National Committee’s Director of Hispanic Mediaはよくわかりませんでした。このような役職だろうと推測してとりあえず訳しています。)。

2.帰化市民の投票率は高い

(1) Pew Research Center(ピュー研究所)は、ヒスパニック系とアジア系を併せると、今年投票権を得る新しい国民の3分の2ほどを占める、と報告しています。

 ピュー研究所は、ヒスパニック系帰化市民の53%とアジア系市民の52%が2016年に投票したことを発表しています。これと比べると、アメリカ生まれのヒスパニック系市民においては46%、アメリカ生まれのアジア系市民においては45%です。

 帰化して新しく投票権を得た有権者の属していた国は、多い順で、メキシコ、フィリピン、インド、中国です。

(2) 北カロライナ州で、Juliana Cabrales氏は、ヒスパニック系(ラティーノ)の市民活動を支援する非党派的団体である NALEO育英基金に所属しています。彼女は、各政党は単に選挙の年だけでなく、平時から新しいアメリカ人たちとコミュニケーションをとり続けている必要があると指摘します。

 従来、各政党は、「ヒスパニック系アメリカ人(ラティーノ)は、決して投票しないかあるいは投票先を変えない存在であると、当然視していた」ものです。(しかし)「組織としては、私たちはそれぞれ、自分たちの政党に、ラティーノに働きかけをするように積極的に催促すべきです。」と、Cabrales氏は指摘しました。

 Cabrales氏は、大統領選のキャンペーンは、政治的に拮抗している州では積極的に新しいアメリカ国民に対して働きかけているが、往々にしてそれ以外の州では、彼らに関心を払っていない、と注意喚起しました。

 彼女は、「カリフォルニア州、ニューヨーク州、テキサス州に住むラティーノはしばしば忘れられがちである。」と指摘しました。

3.多くの有権者に訴える

 各意見調査や最近の選挙に関する情報からは、移民有権者団は多くの場合、民主党の候補者を支持することがわかります。共和党員の中にはそのことに驚かない人もいます。

 Brendan Steinhauser氏は、テキサスを地盤とする共和党の顧問です。彼は、党幹部らによるいくつかの声明が、共和党員は合法的にアメリカにやって来た移民についてさえ歓迎しないと、人々に思わせる原因になってきたと、VOAに語りました。

 Steinhauser氏は、テキサス州選出の共和党 John Cornyn上院議員のために働いてきました。彼は、Cornyn上院議員は、テキサス州の帰化セレモニーに出席させるべく、補佐官を定期的に送ってきたと語りました。

 Steinhause氏は、上院議員はヒスパニック系有権者から多くの支持を受けたと指摘しました。将来的にも、新しい国民に訴えることは2つの主要政党にとって重要なものになるだろうとも付け加えました。

 各政党は、アメリカ中の多くの異なったグループに訴えかけなければならないだろうと、彼は語りました。

 「それをしない政党は、この国における将来はないだろう。」と彼は指摘しました。

以上[2029字]

Aline Barros reported this story for VOA News. Mario Ritter Jr. adapted it for VOA Learning English. George Grow was the editor.


P.S. ヒスパニック系アメリカ人以外にラティーノとも呼べることを今回学びました。元英文においても、Latino+名詞あるいは Latinosと書かれているところもあれば、Hispanic+名詞と書かれているところもありました。どういう使い分けのルールがあるのかまでは今回は探求できませんでした。

P.P.S アメリカに帰化し2020年度の選挙で投票することができるようになる帰化市民が、アメリカの有権者の10%にもあたるという割合の大きさに驚きました。つまり、およそ3億2800万人のアメリカ人のうち、2300万人以上が外国で生まれた帰化市民で、有権者数の割合にすると10%にもあたる。すごく多いと思いました。

U.S. Census records suggest that more than 23 million naturalized citizens will be able to vote in the 2020 elections. The Pew Research Center says that represents about 10 percent of the electorate.

P.P.P.S. さらに考えると、帰化市民の子供たちは、親がアメリカ国民なので、native-born citizens(生粋のアメリカ人)ということになります。

 naturalized citizensの訳として、帰化人と帰化市民を見つけました。あるいは帰化者ともいうようです。帰化人の意味を調べました。帰化人とは、帰化によってその国の国籍を得た人という意味のようであり、したがって、帰化によってその国の国籍を取得した親から生まれた子孫は、帰化人にはあたらない。帰化市民、帰化者も同義でしょう。今回、日本語自体の意味もちゃんと調べないと、不用意に訳出できないと、改めて思いました。[2020/8/30 0:41 a.m.]

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