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自分には無理って決めつける前に—アメリカ大学院での勉強量って?

海外の大学・大学院ってめちゃくちゃ勉強するって聞くけど
自分なんかがついていけるんだろうか...?

私が大学院への進学を考え始めたときに、一番不安だったのがこれでした。相当勉強させられるんだろうけど、その「相当」ってどんななの…?

留学している方のブログなどを読むと、目につくのは
・予習・復習・課題の量が尋常じゃない
・ネイティブですらヒーヒー言ってる
・食べる寝る以外の時間は勉強、1日3.4時間睡眠も珍しくない
・人生であんなに勉強したことはない  などなど...。

いや、自分には無理…。

私もそう思ってしまっていた一人でした。
受験生だったときすらそんなに勉強したことなんてないし、睡眠不足になるほどの勉強漬けなんで想像できないし、ネイティブでさえ大変な勉強を英語もまだまだな自分ができるのか、そもそも私そんなに根性もないしな・・・。

でも、それだけで諦めないで。


留学先での勉強量が多いのは事実です。
特に日本の大学と比べると、学生に求められる勉強量は格段に上がります。

そのため、上に触れたような留学に関するエピソードも嘘ではないと思います。大学(学部)レベルですらそうなのに、大学院ともなれば出される課題やリーディングも相当なもの。「勉強」は当たり前で、そこから考えを発展させ、成果物を求められます。ぜんぶ英語で。
きつくないはずがないですよね。

た!だ!
こうした情報のインパクト「だけ」を真に受けて、自分には無理だなと思っている留学を尻込みしたり諦めてしまうとしたら、もったいないです!

あくまで私の場合ですが、課題提出や発表準備などで寝るのが遅くなったりする日はあっても、家事をしたり少しはのんびりする時間も持ちながら大学院での生活を楽しめています。大学での専攻とは少し違う分野の大学院プログラムに、TOEFLの点数が足りずに条件付きで入学するという、ギリギリすべりこんだような私が、です。

大学や専攻によって、大学か大学院かによっても、色々な違いがあるので、すべての留学生に当てはまる内容ではないと思いますが、必ずしも「毎日3時間睡眠の生活」が全てじゃないよ!ということで、今回は私の1年目の大学院の例を紹介します。

かかるとされている勉強時間を計算してみた

まずは、どのくらいの授業があってどのくらいの課題があるのかについて。
(繰り返しますが、あくまで一例です。)

アメリカの大学には1年を2学期に分けるセメスター制と、4学期に分けるターム制があります。私の通うポートランド州立大学はターム制。一年の間に秋、冬、春、夏、と4タームありますが、私のプログラムは夏は開講される授業がないので実質1年に3タームです。

1タームにとる科目は基本的に2科目。
そう、3ヶ月の間に勉強する科目は2つだけです。

じゃあ、その2科目にどのくらい時間を割くことになるのか。
オリエンテーションではこのような説明がありました。

”大学院での勉強時間のめやすとして、1単位あたり授業外で週3〜4時間の勉強量を想定しています。1科目4単位なので、授業時間4時間 + 授業外での勉強時間最低12時間 =16時間。皆さんのほとんどが2科目とっているので、週に最低でも32時間は必要と見積もっておいてほしいです。これはあくまで最低ラインの数字なので、実際もっとかかることもあります。”

あくまで目安ではあるものの、週に最低32時間見積もってね、と教授が明示してくれているんです。

でも留学生の場合は…?
確かに、母国ではない英語で教科書を読んだりペーパーを書いたりするのにはネイティブより時間はかかりますよね。仮に、授業外の勉強量がネイティブの1.5倍かかるものとして考えて見ると…

1科目あたりの授業時間 
  週4時間 (ここはネイティブと一緒)
1科目あたりの授業外での勉強時間 
  4単位×4.5時間(ネイティブが1単位あたり3時間勉強するという
  目安の1.5倍)=18時間  
合計すると、1科目あたり 22時間 必要

2科目取るので、1週間あたり学業に割く時間は44時間

あ、れ…?
そうなんです。週44時間って、週5日・9時〜7時で働いているのと所用時間は同じ。少し乱暴な括り方かもしれませんが、会社勤めして少し残業して帰るのと、時間数だけ見ると同じくらいなんです。

ここで伝えたいのは、学校側(プログラムだったり教授だったり)がカリキュラムを作成する際に、ガイドラインとなるものがあるということ。

もちろん、学校のペースに慣れるまでには余計に時間がかかるし、大きい提出物の期日の前は土日も課題に追われたりします。また、院生としては、与えられたものだけでなく、自主的に関連文献などを読んで広く深く勉強することを目指すべきだし、勉強時間より質が大事なのは言うまでもありません。

ただ、あくまで学校が示す目安としての勉強時間は、必ずしも不可能な数字ではないんですよね。


授業、勉強以外には

じゃあ大学院生は何で忙しいの?

一つ目の理由は、なんだかんだやっぱり目安より時間はかかるということ。

特に大学院レベルともなると、教科書の内容は学部レベルより難しくなっているので、内容を理解するために調べ物をしたり他の文献にあたったり…なんてしているとどんどん時間がたってしまいます。ペーパーも、何らか参考文献を交えて書けばOKだった学部と違い、いかに論理的に考え表現できているかが問われるため、ひとつのペーパーを何度も修正し推敲しないと良い評価はもらえません。こうした内容は終わりがないので、結果的に予想以上に時間がかかった…と、多くの大学院生が苦労している部分だと思います。

二つ目は、研究。

この部分については、私は当てはまっていないので参考にならないかもしれません。というのも、私のプログラムでは修士論文はオプショナルで、研究・論文をやる学生は通常のコースワーク(約2年)の後に取りかかるケースがほとんど。そして多くの学生が論文は書かずに卒業します。

2年間のコースワークと並行して研究・論文執筆をする場合は、かなり状況が変わってくると思いますが、その場合は研究とオーバーラップするような授業があるんじゃないかなと思います、想像ですが。


そして三つ目の理由は、勉強以外の活動。

私は近くのコミュニティカレッジの英語のクラスで週に1、2回ボランティアをしており、週2〜4時間はそのために使っています。実際に教えた経験が少ないので、少しでも他の先生の授業を見学しつつ、授業のサポートの中で教える経験を増やすためです。

また、私のクラスメイトのほとんどが、アルバイトをしたり、すでに英語講師としてクラスを持っていたり、教授のリサーチの補助をしたり、と大学院での勉強・課題以外の活動をしています。

この点で言えば、週2〜4時間ボランティアしている私はおそらく暇なほう。クラスを持っている人が授業準備に時間を取られていたり、週2日はパートで働いていたりする人が仕事後に何とか課題やったよ〜なんて言っているのを聞くと、学業により専念できる私はもっと頑張ろうと思わされます。

ただ、印象的なのは、みんな忙しいながらも、趣味や運動など息抜きの時間をちゃんと取っていること。インスタのストーリーなんかをみると、日曜日は家でゆっくりブランチを食べたり家族と外出したり、ハイキングに行ったりバンド活動をしたり…最初はそんな姿にびっくりもしました。

みんなこの量の課題どうやってこなしてるの??

最初は私がネイティブでないからなんだ、と思っていましたが、どうやらそれだけではないようで。
私は、「英語の勉強にもなるから教科書や論文はしっかり読まなきゃ、英語にハンデがあるんだから」ととりあえず量でカバーできる部分はカバーしようと変に時間をかけて勉強していました。

でも、ネイティブも他の留学生も、忙しい中でもあえて「休む」時間をとっているんですよね。そこに気づいてからは、自分の生産性を高めることや、いい意味で「手を抜く」方法を見つけることができ、より大学院生活を楽しめるようになりました。

無理と決めつけるのは早い

最初にも触れた通り、海外の大学・大学院で学ぶのはある程度の語学力と勉強量は必要です。大学のレベル、専攻、先生個人の教え方、論文執筆が必須か選択か、実習の有無によって、実際の生活は大きく変まります。私は専門でないので聞きかじった情報ですが、数学系は問題演習、科学系はラボでの研究や実験の方が比較的多くなり、社会科学やMBAはとにかくリーディングの多さが際立つようです。

私の例が全ての留学生に当てはまるとは決して言えません。
でも、ネットに溢れている「留学生活は過酷である」という情報だけに圧倒されて、自分には無理だと諦めないでほしい
そうじゃないケースもたくさんあります。むしろプログラムの数だけ、様々な大学院生活があると言ってもいいくらい。

そして、いざその環境に飛び込んでしまうと、意外と人って順応します。

入学して最初のターム、もう無理だ…と思ったことは1度や2度ではありませんでした。努力で何とかなるならやるけど、とにかく時間が足りなすぎる…。それでも試行錯誤する中で、いわゆる「コツ」のようなものが掴めてきます。そのときは気づかなくても、いつの間にか、「あれ、やれてるかも…」という時がきます。

いま大学院留学やを考えている人。
いざ飛び込んだけど思った以上に大変で悩んでる人。

「ついていけるかな」「やっぱり無理かも」。
そういう不安にぶち当たるのは当然です。でも諦めちゃう前に、自分が望む環境について、とにかくたくさん情報に当たってみてください。

これから留学する人は、大学のインフォメーション・セッションに参加したり、質問したいことはメールで聞いてみたり、行きたいプログラムにすでに留学生(あわよくば日本人)がいるかもしれないので、先輩の学生から話を聞きたいとプログラム担当者に聞いてみるのもありだと思います。すでに在籍・卒業している先輩からざっくばらんに話を聞くのが、様子を知るには一番です。

入学したけど、なかなか学校のペースに慣れずに苦労している人は、話せる人に話しましょう。できれば教授に。学生の相談にのりサポートするのも教授の仕事なので、アドバイスをくれると思います。むしろ、こちらから動かないと、先生側が心配して声をかけてくれることはあまりありません。クラスメイトにもどんどん頼っていいと思います。

挑戦したい気持ちがあるなら、できることは全部やる気持ちで!
諦めるのはいつだってできることなので。





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