新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐感想

ただ呟くだけにしようと思いましたが、呟くにしては気持ち悪いくらい長くなったのと、断続的な文章だと自分が見にくいと思ったのでこっちで書きます。思い出しながらなので場面が前後したりします。あと歌舞伎はここ最近になってぱたぱた観だした初心者です。

とにもかくにも。

はーーーーーーー良かった。めっちゃくちゃに良かった。全てが素晴らしかった。

刀剣乱舞の様式美を持ってきつつ、歌舞伎のうまみもしっかり加える。序盤、三日月以外が名乗りを上げた後?だったと思うんですが四本の細い幕が間を空けてばさっと下りて「刀剣乱舞」。そして全振り名乗りを上げた後にその空いた部分にも幕が下りて「月刀剣縁桐」となって、その演出がかっこいいんですよ。時間差でシメにくる。そしてこの流れに、私たちが観てきたものがここへも繋がったんだと思えて涙出た。
知ってるこの流れ。この型。それをこういう風にして持ってきたんだ。

遡行軍の客降りいいですね!あんな間近の時間遡行軍めったにないですよ。さすがの迫力でびっくりした。前に座っていたご夫婦でいらしているっぽい年配の男性が「すごいな……」と思わず声に出していたのが印象的でした。そうでしょう、そうでしょう!楽しんでもらえているのかなあと思ってちょっと嬉しい。

永禄の変を舞台にした介入。とにかく!!!!とにかくこれは!!!!!
三日月宗近が超然としていない!!!!!!ここ好き!!!!
いやーもう胸いっぱい。
紅梅姫に想いを寄せられて申し訳なさそうに断ったり、足利義輝を前に嬉しそうだったり、そんな彼を斬る時に苦悩して涙したり……してなくても涙しているように見えた私には。
そう、今回の三日月宗近は人に寄り添う。そして心がちゃんと揺れる。人に起こる悲劇を「それでも」と乗り越えてしまえるほどの強さはない。一緒に悩んでくれる神様だった。
もちろんこれまでのおじいちゃんも好きです。泰然として何事にも動じない様は各本丸の精神的柱になっているんでしょう、それ故にあっちこっちで悲劇が起きているわけですがそれはそれで好き。
ただどちらかと言えば、涙を流せる男士であってほしい。きっと中村獅童ボイスの歌舞伎本丸はそういう本丸なんだなあ。中村獅童ボイス審神者はかっこいいですよ。
そういや三日月宗近が途中、足利義輝の鷹狩の場面かな?裃のような衣装で出てきたんですよね。あれ武士の正装とのことですが、それは義輝からの賜り物なんですかね……そうでないにしても、それだけの時間を一緒にいてそれを身に着けて義輝の側へ赴けるほどに信を置かれていた。だから苦言を呈する三日月には義輝も従ったわけで、三日月には見せる微かに残った素直さを知っているからこそ、斬る時は苦しいだろうな。ただ義輝は自分を討ってくれるのが三日月で幸せだったかもしれない。

今回の時間遡行軍は純粋なあの時代における悲劇と恨みの象徴なんですよね。それも良かったな。個人的に時間遡行軍とされるものたちの多くは民草だと思っているので。身分が上の人にそれがないとは言わないけれど、ただ踏みつけられた数は多いんじゃないかな。言葉にも残らない人たちの死。それが異界の翁と媼を生み出した、という部分好きです。

あと中村梅玉さんの松永弾正!!!!舞台が引き締まる!!!ゆったりとした丸みのある声に優しさと厳しさが備えられていて、まさにお父さん。
松永弾正というと悪い奴のイメージがあるのですが、いやー今回はひっくり返りましたね!!!

音楽も凄かったなあ。どなたも言ってましたが琵琶がね。凄いですね。べべん、と鳴ると場がしまる。薩摩琵琶、あまり呼ばれることがないんですよと以前、講談のイベントでお話を伺ったことがありますがこれで一気に広まったんじゃないだろうか。
あと今回の楽曲、こちらCDにはなりませんか。してほしい。

歌舞伎本丸の膝丸はぺそぺそ泣く感じなんですね。今回の公演終了後のアナウンスが膝丸だったのですが、兄者を追いかけている感じが出て大変微笑ましかったですかわいい。

そして最後!!!締めがめっちゃくちゃかっこよかった!!!!!
それぞれが口上を述べて背後に控えて、最後、三日月宗近が口上を述べる時に各男士をオレンジ色の光が背後から照らし出すのでシルエットとして浮かび上がる。そして三日月宗近が刀を抜いて振り下ろすのと同時に暗転、終幕!!こんなかっこいい終わり方ありますか!!!ねえな!!!

思い出す限りで書きました。追いチケもしたのでめでたく財布が薄くなりましたが、また記憶を追っかけながら楽しみたいと思います。

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