2022年11月
一日が終わる気配のしはじめてシャワー浴びつつ「なにを読もうか」
こどもべやの壁紙まるまるカットしてそのままペーストしたら秋空
手さぐりで耳、目、鼻をつかまえて指でつまんでいびきを止める
フレズノに来て三ヶ月 今日もまたBOOKOFFからメールがとどく
〈食べやすいまろやかな酸味〉の輪ゴムのような珍味をむさぼりて夜
青空が自信なさげにしぼんでく白くてごつごつしたやつらが来て
捨てられる寸前のボロ雑巾の千々に裂けゆくごとくに叫ぶ
一冊を読めばすぐまた二冊目に追われて三月 四面楚歌の吾
夏の君を三十一文字に閉じ込めた ノースリーブに木枯らしが吹く
真夜中にトイレに起きること三度 起きては水を飲んでは起きる
垂直に天を貫くセコイヤに見下ろされつつ雪を踏みしむ
地に斃るセコイヤは洞に道を敷きくぐらむ人を養分となす
ミレニアルを超えて生きたる老木に若人たちの名を刻みたる
置いてきた、と思っていた文房具たちが出てきた。今日は秋晴れ。
「ゾウさんが住んでるくらいすごかった?」自分のイビキに起きて聞く君
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