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この仕事を選んだわけ <資格取得編>

 ある日同僚が言ってきた。「仕事に来るのがつらい。」聴く術を知らない私は「がんばれ!」と応じた。またある時元気のない後輩が「仕事を辞めたい。」と言った。終身雇用制の時代である。私は「辞めてはいけない。」と言った。結局どちらも辞めていった。そしてその後もまた辞めたいと話す同僚が仕事を長期に休むケースも経験した。
 同僚、後輩との不本意な別れは、せっかく相談を受けていても役に立たなかったという無力感を増幅させた。

 「あの時どう話せばよかったのだろう。」
 「効果的な助言ってあるのだろうか。」

 私は働いている人やその家族を応援する「産業カウンセラー」という資格を知り、挑戦しようと決意した。
 学び始めると、本当に聞き方がダメだったことに気が付いた。当時の私は、「相談にのってあげる」という立ち位置。上から目線。さらに“聴く”というより、“聞く”のほうで、相手が言い終わる前に遮って口出し、「私の場合は・・」などと必要以上に例をあげる始末。これでは相談者があきらめるのも無理はないとつくづく思い知らされた。
 資格取得の実技学習ではロールプレイも相当の時間を費やし傾聴力を磨いた。在職中はこうして学んだことを活かし職場の環境や、関係に気を配った。仕事を辞めてキャリアアップするという考え方も理解できるようになった。

 退職後は相談業務で困っている人の役にたちたいと思っていた。いざ退職し、相談を仕事として行おうとしたとき、以前の資格取得から十数年経過し、自分の知識がさび付いていることに気が付いた。当時学んだテキストや、試験問題等は津波で流され何も残っていない。労働環境も大分様変わりしていたし、キャリアカウンセラーはキャリアコンサルタントになり、国家資格になっていた。この先この仕事を行うのであればもう一度学びなおし、現制度に適応した知識やスキルが必要だと考えキャリアコンサルタントの資格取得を決意した。
 退職してからの資格取得挑戦は、時間的には余裕があるものの、実技では修正がきかず、学科では覚えにくく難儀するばかりであった。そういう中で仕事をしながら資格取得をめざす若い方々と共に励ましあいながら学べたことは、今でも心の財産になっている。

 現在ジョブカード作成支援事業のキャリアコンサルティング業務を行っている。これまでの自分を振り返り、現在持っている自分の知識や、スキルを踏まえて今後何を目指していくか。そのためには具体的にどう行動するのか相談者様のお話を聴き一緒に考え、助言などを行っている。
 相談者様は一様ではないのでお一人お一人大切に信頼関係が構築できるよう配慮している。
 相談終了時、初めは緊張されていた相談者様が次第に笑顔になり、目標が明確になったとか、自分が受ける訓練の意欲が向上したと話されたときは少し、お役に立てたのかなと思っている。
 現在は、仕事と平行して学びを継続させながらもう少しこの仕事を続けていこうと考えている。

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🔶この仕事を選んだわけ <キャリアプラン編>