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職務経歴シートの一工夫をお勧めします。その3

 ジョブ・カード様式2職務経歴シートについて引き続きお伝えします。

 一つ目は、どのような事業を行っている会社で働いていたのか。
 二つ目は、そこで自分はどんな仕事・役割・責任を果たしていたのか。ということでした。(ジョブ・カード様式2の真ん中の列の“内容”)
 そして、そこで働いた期間に、「何を学び、何を身につけたのか。」(右側の列)に記入するということです。
 同じ会社でも、部署が変わったりすれば、仕事内容と学び・身につけたことも変わってくるわけです。営業職から事務職に移動したなどの場合、基本的には行を変えて書いていくとわかりやすくなります。
 同じ営業職で仕事内容は変わらずに、各地営業所や支店に転勤した場合は、行を変えずに職種でまとめて記載するほうがわかりやすいと思います。

 さて、最後の三つ目は、職務経歴シートから様式1キャリアプランシートへの展開についてのヒントです。

 キャリア・アンカー(職業生活の錨いかり)とよばれるものをご案内します。私たちは、一人ひとりが仕事の経験や周囲の反応や評価をされつつ、職業生活体験を積み重ねることによって、自然と内面では整理や洞察が進んでいき、キャリアを決める際の基盤となる自分の強みや弱み、能力、価値観等について「自己イメージ」が形づくられていくと言われています。

 この「自己イメージ」と置かれた環境との相互作用によってキャリアに対する個人の指向パターンのことを「キャリア・アンカー(職業生活の錨いかり)」と呼びます。

 キャリア・アンカーは、個人がキャリアの選択をしなければならないときに、放棄することのできない「欲求・価値観・能力など」のことで、その人の核となるものです。「船をしっかり停留させる錨(アンカー)」に例えられ、その人がキャリア選択の際に最も大切にしているもの、譲れないものです。前回ご案内したシャイン博士の唱えた考え方です。

 「実際には、MITスローンの卒業生44名の追跡調査において、実際についている仕事やその後の経験(外的キャリア)が異なるにもかかわらず、キャリア、職業上のセルフイメージにいくつかのパターンが認められた。当初は5つ、現在では8つパターンとして提示されている。職業上のセルフイメージのバランス(強弱)が認められ、キャリア・アンカーはset of category(ある1つの分類方法)であり理論ではない、と主張しており、つまり今までの調査結果から8つが認められるため、職業上のセルフイメージがそれら8つのバランス(強弱)で表現できるということであり、理論ではないということです。」※1

 実際には、8つの種類で見るよりも、8つの特徴(幸せに感じることや仕事の仕方など。)から見ていくと「あるあるの感」があります。

 

キャリア・アンカー(職業生活の錨いかり)

以上※1、※2

 なお、キャリア・アンカーについて重要な補足ポイントがあります。
① このキャリア・アンカーはキャリア選択とか仕事選びの時の指針として無意識でも意識して仕事を選んでいるわけですが、反面、逆に自分自身の選択の制約となのです。今の仕事にしっくりこなければアンカーに引き戻されキャリア・プランを改めて見直すことも必要になると考えます。

② アンカーと職業を一対一で結びつけないこと。
どのような仕事でも、それぞれのアンカーとマッチする部分があるということです。
例えば大学教授という職業(外的キャリア)も、「世の中のためになる研究成果を上げたい(奉仕・社会貢献)」という人もいれば、勤務形態が比較的自由である(自立・自律)」「自分が興味あるテーマを追求できる(専門・職能的コンピタンス)」「大学教授の収入は安定している(保障・安定)という人もいる。人それぞれにどこに価値を置くか(内的キャリア)は様々です。※1
③ アンカーは実際の職務経験により展開し7~10年の職業経験を積んだ方が対象です。「また外部から定めることはできず自分自身では気づいていなかったが面接を続ける中で、気づいていくものであり、自ら語る中で認識するものです。」※1

 以上を参考にして、様式2職務経歴シートに取組むことをお勧めします。その結果が様式1キャリアプランシートにつながります。
「価値観、興味、関心等」、「強み等」、「将来取り組みたい仕事や働き方等」の欄につながるわけです。

参考:
※1、「新版キャリアの心理学(第2版)」渡辺三枝子編著:ナカニシヤ出版
※2、キャリアカウンセリング協会テキスト
キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival) 単行本 – 2003/6/1
エドガー・H. シャイン (著), Edgar H. Schein (原著), 金井 寿宏 (翻訳)

・・・04/01/17・・・